
大手メーカーの経理の年収は、どの程度の水準でしょうか。一般的な大手上場企業の経理職では、20代のスタッフクラスで500万円以上、40代以降の管理職なら1,000万円以上も視野に入ります。
特に、中小企業の経理部で実務経験を積み、仕事には手応えを感じつつも、年収や待遇に物足りなさを覚えている皆様にとって、年収水準の高い大手メーカーへの転職は有力な選択肢の一つになるでしょう。
そこで、本記事では大手メーカーの経理職の仕事内容を整理したうえで、役職・年代別の年収目安、福利厚生を含めた実質的な待遇、転職で求められる経験・スキルを解説します。
高年収を狙うためのポイントも紹介しますので、転職活動の参考にしてください。
目次
大手メーカーの経理職とは│仕事内容と特徴

まず、本記事における「大手メーカー」の捉え方から整理していきます。
法的な区分(中小企業基本法)では、中小企業の定義である「資本金3億円」かつ「従業員300人」を超える企業が、大企業に分類できると考えられます。
一方で、転職市場で一般的に「大手メーカー」と呼ばれるのは、東証プライム上場で従業員1,000人以上、高い業界シェアや数千億円以上の売上高といった「業界内での高い影響力を持つ企業」を指すケースが多いでしょう。
こうした“扱う金額スケールの大きさ”が、高い年収水準につながっているといえます。
そうした大手メーカーの経理職は、決算や税務といった経理共通の業務に加えて、原価計算や工場経理などメーカーならではの業務を担う点に特徴があります。
転職後の年収を考えるうえでも、どのような業務に、どの程度の専門性が求められるのかを把握しておくことが欠かせません。
こちらでは、以下の3点について順に解説していきます。
大手メーカーの経理職が担う主な業務
経理職は、日々の仕訳・伝票処理や入出金の管理といった日常業務を土台に、月次・四半期・年次決算の作成を担います。
上場企業であれば、決算短信や有価証券報告書といった開示資料の作成サポート、監査法人による監査への対応、法人税や消費税などの税務申告も重要な業務です。
加えて、内部統制(J-SOX)への対応として、承認フローの整備や証憑の管理、モニタリングにも関わります。
大手メーカーを含む大手上場企業では、経理部門の人数が多く、売掛金管理、固定資産管理、税務、開示といった領域ごとに担当が分かれているのが一般的です。
そのため、それぞれの担当者が自身の領域の専門性を深めながら、決算期にはチームで連携して業務を進めます。
また、M&Aや組織再編に伴う会計処理、新しい会計基準への対応、ERPなどのシステム導入プロジェクトといった臨時業務が発生することもあり、担当領域を超えて経験を広げる機会も得られるでしょう。
企業によってはジョブローテーションで幅広いスキルを身につけることも可能です。
メーカー経理ならではの特徴的な業務
メーカーでは原材料・仕掛品・製品などの棚卸資産や、生産設備などの固定資産を保有します。
そのため、一般的な会計処理に加えて、これらの原価計算や資産管理といったメーカー特有の専門業務が求められます。
| 業務 | 特徴 |
|---|---|
| 原価計算 | 製品ごとに材料費・労務費・経費を集計し、標準原価と実際原価の差異を分析して製造現場や経営層に報告する。 集計した原価情報は、製品の価格設定や生産計画の見直しといった経営判断の基礎資料になる。 |
| 資産管理 | 期末の実地棚卸への立ち会いや在庫の評価、設備投資に伴う固定資産の計上・減価償却の管理を担う。 |
また、海外に工場や子会社を持つ企業では、海外拠点を含めた連結決算への対応が必要になります。
原材料や部材の輸出入に伴う関税・消費税の処理、外貨建取引の換算や為替差損益の処理といった貿易関連の会計も、海外取引のあるメーカーで発生する業務です。
こうした業務には工業簿記や原価計算の知識が求められ、商業簿記が中心の経理とは異なる専門性を磨けます。
大手上場企業と非上場中小企業の違い
非上場中小企業の経理は、少人数で日次の記帳から月次・年次決算、資金繰り管理、給与計算、税務申告の補助まで幅広く担うのが一般的です。
経営者との距離が近く、業務の全体像をつかみやすい一方で、開示や連結決算といった上場企業特有の業務を経験する機会は限られます。
一方、大手メーカーを含む大手上場企業では業務が細分化され、担当領域ごとに深い専門性が求められます。
連結決算や開示資料の作成、監査法人対応、内部統制への対応など、業務の難易度と責任の重さは中小企業と大きく異なります。
また、大手上場企業は研修制度や教育体制、会計システムなどの業務環境が整っており、専門性を体系的に高めやすい点も違いの1つです。
これらの違いにより、大手上場企業のほうが年収相場は高い傾向にあります。
業務の幅広さを強みとしつつ、専門性と年収を高めたい場合、大手上場企業への転職は有力な選択肢といえます。
| 項目 | 大手上場企業 | 非上場中小企業 |
|---|---|---|
| 業務の範囲と役割 | ・役割が細分化され、担当領域に特化 ・連結決算や開示、内部統制など高度な実務を担う | ・記帳から決算、資金繰りまで幅広く担当 ・経営者と近く、業務の全体像をつかみやすい |
| 業務環境・教育 | 研修やシステムなどの環境が整っており、専門性を体系的に高めやすい | 実践を通じた幅広い経験が積める一方、上場特有の業務機会は限定的 |
| 年収・キャリア | 業務の難易度や責任の重さに応じて、年収相場が高くなる傾向に | 幅広い業務対応力を強みにできるが、年収相場は控えめ |
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【役職・年代別】大手メーカーの経理職の年収目安

大手メーカーの経理職の年収は、役職と経験年数に応じて段階的に上がる傾向にあります。こちらでは、以下にあげる3つの年代に分けて、役職ごとの年収目安を解説します。
なお、メーカーに限定した経理職の年収データは限られるため、本記事では一般的な大手上場企業の経理職の水準を参考値として紹介します。
実際の金額は企業の規模や業績、評価によって変動する点に留意してください。
20代(スタッフ)│年収500万〜700万円台
20代のスタッフクラスは年収500万〜700万円台が目安で、月次決算の担当や年次決算の補助といった経験を積みながら、評価に応じて昇給していきます。
経理経験3年以上の人材に対しては、転職市場でも600万円を超えるオファーが一般的とされており、20代のうちから着実に年収を伸ばせる環境です。
中小企業の20代経理職の年収は300万〜400万円程度が目安とされているため、同じ年代でも大手上場企業とは100万円前後の差が生じることがあります。
大手メーカーは賞与の水準が高い傾向にあり、基本給が同程度でも年収ベースでは差が開きやすい点も特徴です。
若いうちに転職して大手上場企業の給与テーブルに乗ることは、生涯年収の観点からも合理的な選択といえます。
ただし、転職時には、基本給・賞与の支給実績・昇給制度を個別に確認することが重要です。
30代(主任・係長)│年収700万〜1,000万円程度
30代になると、主任や係長といった役職に就く人が増え、年収は700万〜1,000万円程度が目安になります。
30代前半の主任クラスの年収は700万〜850万円、30代後半で課長代理クラスに昇格すると950万円を超える水準も見えてきます。
なお、中小企業の30代経理職の年収は450万〜550万円程度が目安とされており、大手上場企業との差は20代よりもさらに広がる傾向にあります。
この年代で年収を左右するのは、担える業務の範囲です。
年次決算を一通り理解し主担当として締め対応ができる、後輩の指導や業務の割り振りを担える、監査法人対応の窓口を務められるといったスキルセットを備えた人材は、社内での昇格だけでなく転職市場でも高く評価されます。
経理の年収は保有資格よりもスキルセットで決まる傾向が強いため、30代のうちに決算の主担当や開示関連業務など、責任のある業務を経験しておくことが、その後の年収アップの土台になります。
40代以降(課長・部長)│年収1,000万円以上も視野に入る
40代以降で課長や部長といった管理職に昇格すると、年収1,000万円以上も視野に入ります。
大手上場企業の経理部では、課長代理・課長クラスの年収は700万〜1,000万円、40歳以上の管理職では1,000万円を超えるケースもあります。
また、経理チームを統括するマネージャーの想定年収は600万〜1,000万円程度、部長になると1,200万〜2,500万円程度と、職責に応じて大きく水準が上がります。
管理職に求められるのは、決算実務に加えて、部門のマネジメントや経営層への報告、監査法人・税務当局との折衝といった役割です。
さらにその先には、経理担当取締役やCFO(最高財務責任者)といった経営ポジションへの道も開いています。
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| 年代 | 役職(目安) | 年収水準 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 20代 | スタッフ | 500万〜700万円台 | 経理経験3年以上の人材に対しては、転職市場でも600万円を超えるオファーが一般的とされ、20代のうちから着実に年収を伸ばせる環境。 |
| 30代 | 主任・係長 | 700万〜1,000万円程度 主任・係長クラス: 700万〜850万円 30代後半で課長代理クラスに昇格すると950万円を超える | ・年次決算を一通り理解し主担当として締め対応ができる ・後輩の指導や業務の割り振りを担える ・監査法人対応の窓口を務められる などのスキルセットが高く評価される。 |
| 40代 | 課長・部長 | 課長代理・課長: 700万〜1,000万円 部長: 1,200万〜2,500万円 | 決算実務に加えて、部門のマネジメントや経営層への報告、監査法人・税務当局との折衝といった役割を担う。 経理担当取締役やCFO(最高財務責任者)といった経営ポジションへの道も開かれる。 |
大手メーカー経理の報酬・待遇の仕組み

(CPASSキャリア編集部 作成)
転職後の待遇を正しく見極めるには、年収の金額だけでなく、その内訳や福利厚生まで含めた報酬の仕組みを理解しておくことが大切です。
経理は年収が低いといわれることもありますが、大手メーカーに限れば実態は異なります。
そもそも「経理は年収が低い」といわれる理由と実態
経理の年収が低いといわれる背景には、企業によっては、経理部門が売上を“直接”生み出さない部門と捉えられ、専門性が給与に反映されにくい場合があることが挙げられます。
特に中小企業では、経理担当者が総務や人事を兼務するケースも多く、専門職としての評価制度や給与テーブルが整備されていない場合があります。
しかし、実態は勤務先とスキルセットによって大きく異なります。特に、年次決算を締められる人材や、連結決算・開示に対応できる人材は転職市場で高く評価されます。
近年は、IFRS(国際財務報告基準)への対応やDX推進などにより、高度な専門スキルを持つ経理人材への需要が高まっており、経理関連部門の報酬水準は上昇傾向にあります。
年収に伸び悩みを感じている場合、原因が自身のスキルではなく所属企業の給与水準にあるケースも少なくありません。
所属する企業を変えることで、同じ経理という仕事でも年収水準は大きく変わる可能性はあります。
大手メーカーの経理で給料が高くなる理由
大手メーカーの経理の給料がなぜ高いかを考えると、要因は大手上場企業に共通するものと、メーカーならではのものの2つに分けられます。
1つ目は、大手上場企業に共通する給与水準の高さです。人件費に充てられる原資が大きいため、基本給や賞与の水準そのものを高く設定できます。
また、等級制度に基づくベースアップの仕組みが明確で、昇格するほど年収が伸びる構造になっている点も特徴です。経験を積んで職階が上がるにつれて、収入を着実に増やしていける環境といえます。
2つ目は、メーカーならではの要因です。原価計算や工場経理、貿易関連の会計といったメーカー特有の専門業務をこなせる経理は代替が難しく、その希少性が処遇に反映されやすくなります。
加えて、労働組合の存在もあり、住宅手当や退職金制度をはじめとする福利厚生が手厚い傾向にあります。
制度の有無や利用条件は企業によって異なりますが、額面の給料だけでなく、こうした制度面の充実により実質的な待遇が高くなりやすいことも、大手メーカーの経理が高年収といわれる理由です。
報酬体系│基本給・賞与・各種手当で構成される
大手メーカーの経理職の報酬は、基本給を軸に、賞与と各種手当を組み合わせた体系で構成されるのが一般的です。基本給は等級や職階に応じて定められ、昇格に伴って段階的に引き上げられます。
賞与は年間4〜6ヶ月分が目安で、会社業績や個人の評価に連動して変動します。
手当としては、時間外手当や休日出勤手当のほか、住宅手当・通勤手当・家族手当などが支給されます。
企業によっては、公認会計士や税理士、日商簿記1級などの資格保有者に対する手当や、資格取得時の一時金といったインセンティブを設けている場合もあります。
転職時には、提示された年収がどのような内訳で構成されているかを確認することが重要です。
基本給の比率が高ければ賞与や退職金の算定基礎も大きくなる一方、みなし残業代が含まれている場合は、実質的な時間あたりの単価が想定より低くなることもあります。
同じ年収600万円でも、内訳によって待遇の実態や将来的な昇給の余地は異なります。
福利厚生│住宅手当などで実質待遇が高くなる
大手メーカーの待遇を評価するうえで見逃せないのが、福利厚生の充実度です。代表的なものが住宅関連の支援で、住宅手当や家賃補助、独身寮・社宅の提供などが挙げられます。
仮に月3万円の住宅手当が支給される場合、年間では36万円に相当し、額面年収に上乗せされるのと近い効果があります。独身寮や借上社宅を利用できれば、住居費の負担はさらに軽くなります。
このほか、家族手当、退職金制度や企業年金、従業員持株会、財形貯蓄、社員食堂など、大手メーカーは福利厚生の選択肢が幅広い傾向にあります。
企業によっては、自身のライフスタイルにあわせて支援内容を選べるカフェテリアプラン制度を設けている場合もあります。
教育制度や資格取得支援が整っている企業も多く、スキルアップの費用を会社が負担してくれる点も、長期的に見れば待遇の一部といえます。
転職による年収の上がり幅が小さく見えても、こうした福利厚生を金額に換算すると、実質的な待遇が大きく改善するケースがあります。
大手メーカーの経理職に求められる経験・スキル

大手メーカーの経理職への転職では、これまでの実務経験とスキルが選考の中心的な評価対象になります。中小企業で幅広い業務を担ってきた経験は十分に強みになります。
そのうえで、メーカー特有の業務や上場企業ならではの業務で、どの程度の知識が求められるのかを把握しておくと、準備の方向性が明確になります。
決算業務(月次・四半期・年次)の経験
経理の転職で最も重視されるのが決算業務の経験です。月次決算を主担当として締めた経験や、年次決算・税務申告への関与は、実務能力を示す明確な材料になります。
中小企業の経理として、試算表の作成から決算整理、財務諸表の作成まで一連の流れを担ってきた経験は、大手メーカーの選考でも十分に評価されます。
応募時には、決算にどの範囲まで関与したかを具体的に伝えることがポイントです。
例えば「月次決算を5営業日で締めていた」「年次決算の決算整理仕訳を自分で起票していた」といった具体性があると、採用側は入社後の活躍をイメージしやすくなります。
また、四半期決算や開示資料の作成は上場企業特有の業務のため、経験がなくても直ちに不利になるわけではありません。
求人によっては、単体決算の経験を重視し、四半期決算や開示業務の経験を必須としない場合もあります。応募前に求人ごとの必須条件・歓迎条件を確認しましょう。
原価計算・管理や税制の知識
メーカーの経理を目指すなら、原価計算の知識は大きな強みになります。材料費・労務費・経費の集計、標準原価計算、原価差異分析といった工業簿記の領域は、メーカー経理の中核業務となるためです。
中小メーカーで原価計算に携わった経験があれば積極的にアピールし、経験がない場合も日商簿記2級の工業簿記レベルの知識を身につけておくと、選考での評価につながります。
税制の知識も欠かせません。法人税や消費税の申告実務に関わった経験、税理士とのやり取りを通じて得た知識は、大手メーカーでも活きる場面が多くあります。
税制は毎年のように改正されるため、最新の情報をキャッチアップする姿勢も評価の対象です。
特に近年は、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応など、実務に直結する制度変更が続いており、こうした変化に主体的に対応してきた経験は、変化への適応力を示す材料にもなります。
連結決算・グループ会計への対応力
大手メーカーは国内外に多くの子会社・関連会社を持つため、連結決算やグループ会計への対応力が求められます。具体的には、連結パッケージの回収・チェック、内部取引の消去、持分法の適用といった業務です。
海外子会社が多い企業では、IFRSや外貨換算に関する知識が必要になる場合もあります。
中小企業の経理では連結決算を経験する機会が少ないため、この点を不安に感じる皆様も多いかもしれません。
しかし、連結決算の経験を必須とするかどうかは求人によって異なります。連結決算の経験が必須条件ではないケースもあり、前述のとおり、大手上場企業の採用では単体決算の実力が重視されます。
特に20代〜30代前半であれば、学ぶ意欲と基礎力を評価するポテンシャル採用の余地も十分にあります。
未経験で応募する場合は、単体決算の経験に加えて、連結会計の基礎知識や学習状況を伝えることが重要です。
年収アップにつながる資格
経理の年収は、資格そのものよりもスキルセットと実務経験で決まる傾向が強いため、資格はあくまで実務を補強する位置づけと考えるのが現実的です。
そのうえで、転職や年収アップにつながりやすい資格として、まず日商簿記が挙げられます。
簿記2級は経理の基礎力を示す標準的な資格であり、工業簿記を含むためメーカー経理との親和性も高い資格といえます。
簿記1級まで取得すれば、原価計算や連結会計を体系的に学べるうえ、資格手当の対象とする企業もあります。
より高い専門性を示す資格としては公認会計士や税理士があり、これらの有資格者には手当や給与加算を設けている企業も見られます。
また、海外展開するメーカーであれば、米国公認会計士(USCPA)や英語力が評価されるケースもあります。
ただし、資格取得だけで年収が大きく上がるわけではない点は留意しておきましょう。
大手メーカーの経理職への転職で高年収を狙うポイント

(CPASSキャリア編集部 作成)
大手メーカーの経理職への転職で高年収を実現するには、求人を探し始める前の準備が重要です。
同じ経歴でも、伝え方や比較の視点によって提示される条件は変わり得るため、経験の棚卸しや求人の比較を丁寧に行うことが、納得のいく転職につながります。
こちらでは、転職活動を進めるうえで押さえておきたい3つのポイントを解説します。
これまでの経験を棚卸しして強みを整理する
転職活動の最初のステップは、これまでの経験の棚卸しです。担当してきた業務を書き出し、決算への関与度合い、使用してきた会計システム、業務改善の実績などを整理します。
その際、「月次決算を2名体制で5営業日以内に締めていた」「会計ソフトの入替プロジェクトを担当した」のように、体制や期間、成果を具体的な数字で示せるようにしておくと、職務経歴書や面接での説得力が高まります。
中小企業の経理は業務範囲が広いため、自分では当たり前と思っている経験が、実は選考で評価される強みであるケースも少なくありません。
資金繰り管理や税理士との折衝、給与計算といった経験も、業務の全体像を理解している証拠として評価されます。
棚卸しを通じて、大手メーカーの求人が求める要件と自身の経験の重なりを確認し、足りない部分は入社後に学ぶ姿勢を示す準備をしておきましょう。
ここまで整理できていれば、年収交渉でも根拠を持って希望を伝えられるようになります。
額面だけでなく福利厚生を含めた「実質年収」で比較する
求人を比較する際は、提示された額面年収だけで判断しないことが重要です。
同じ年収500万円の求人でも、住宅手当の有無、賞与の支給実績、退職金制度や企業年金の有無によって、実質的な待遇には大きな差が生まれます。
例えば、前述の住宅手当のように、手当の有無だけで年間数十万円の差が生じることもあり、税や社会保険料を考慮すると、額面の差以上に手元に残る金額へ影響する場合もあります。
確認しておきたい項目としては、賞与の直近の支給実績(月数)、各種手当の支給条件、退職金・企業年金の制度内容、残業代の支給方法(みなし残業の有無)などが挙げられます。
求人票だけではわからない情報も多いため、面接の場や転職エージェント経由で確認するとよいでしょう。
目先の額面に加えて、昇給カーブや賞与の安定性といった中長期の視点も含めて比較することで、転職後に「思っていた待遇と違った」という後悔を避けられます。
会計ファイナンス特化の転職エージェントを活用する
高年収での転職を目指すなら、会計ファイナンス領域に特化した転職エージェントの活用が有効です。
総合型のサービスと異なり、特化型のエージェントは経理・財務の業務内容を深く理解しているため、決算経験や原価計算の知見といった専門性を適切に評価し、それに見合った求人を提案してくれます。
また、一般には公開されていない非公開求人を保有していることも、特化型エージェントの特徴です。
企業ごとの社風や経理部門の体制といった、求人票に載らない内部情報を得られることもあり、情報量の差は選考対策の質に直結します。
経理職の転職市場を熟知したキャリアアドバイザーに相談することで、自身の市場価値を客観的に把握でき、根拠のある年収交渉が可能になります。
転職が初めての皆様には特に、専門家の支援を受けながら進めることをおすすめします。
大手メーカーの経理職への転職に関するよくある質問

大手メーカーの経理職への転職を検討する際、年収以外にも気になる点は多いものです。
こちらでは、転勤の可能性、未経験からの転職、経理職の年収水準という、転職希望者の皆様から特によく寄せられる3つの質問に回答します。
大手メーカーの経理は転勤や勤務地の異動が多いですか?
大手メーカーは国内外に工場や支社を持つため、経理職でも転勤の可能性はあります。特に工場経理の担当になった場合、生産拠点への配属や拠点間の異動が発生することがあります。
また、海外子会社の管理を担う部署では、海外駐在の機会がある企業も見られます。工場が地方にあるメーカーでは、本社と工場の間で人材をローテーションさせる方針の企業もあります。
ただし、転勤の頻度や範囲は企業によって大きく異なります。近年は、勤務地を限定できるコース別採用や、転勤に本人の同意を求める制度を導入する企業もあります。
リモートワークやフレックスタイム制を併用できる企業もあり、働き方の柔軟性は以前より高まっています。
転勤の可能性を重視する場合は、求人票の勤務地欄だけでなく、募集ポジションの配属先や異動の運用実態を、面接や転職エージェント経由で確認しておくと安心です。
未経験でも大手メーカーの経理に転職できますか?
経理の実務が完全に未経験の場合、大手メーカーの経理職への転職は難易度が高いのが実情です。大手上場企業の中途採用では、決算業務などの実務経験が応募条件に設定されることがあります。
そのため、完全未経験からの転職は、経験者と比べて選択できる求人が限られる可能性があります。
一方、中小企業で経理の実務経験がある皆様は「未経験」には該当しません。メーカー業界での勤務経験がなくても、月次・年次決算の経験があれば応募できる求人は多くあります。
原価計算の経験がない場合でも、簿記2級レベルの工業簿記の知識があれば、入社後の習得を前提に採用する企業も見られます。
20代であれば、基礎的な実務経験と学ぶ意欲を評価するポテンシャル採用の可能性も広がります。
自身の経験がどの求人に通用するのか判断が難しい場合は、転職エージェントに相談して客観的な評価を得るとよいでしょう。
経理職の年収の中央値はいくらですか?
経理職全体の年収の中央値を正確に示す公的なデータは限られますが、実際の求人情報などから、おおよその水準を把握することは可能です。
中小企業の経理スタッフの想定年収は400万〜500万円程度、大手上場企業の経理部スタッフの想定年収は450万〜700万円(別途諸手当)とされています。
ただし、これらはあくまで全体の目安であり、実際の年収は企業規模と本人のスキルセットによって大きく変わります。
同じ30代でも、中小企業で月次決算を担当している場合と、大手上場企業で連結決算や開示に関わっている場合では、年収に数百万円の差がつくこともあります。
なお、転職を検討する際は、中央値よりも、目指す企業規模・役職の相場を基準にするほうが実践的です。
中央値や平均と自身の年収を比べるだけでなく、勤務先の規模や担当業務を踏まえて、自身の市場価値を確認することが大切です。
大手メーカーの経理職への転職事例
こちらでは、「CPASSキャリア」で転職支援を行い、キャリアアップを実現した事例をご紹介します。
【転職事例1】中堅メーカー経理から大手プライム上場メーカー経理の管理職候補に

(CPASSキャリア編集部 作成)
中堅メーカー経理で勤務されていた方の事例です。前職では、経理だけではなく総務などの他の管理部門業務も任されていました。
その中で、より財務経理に集中して経験を伸ばせる環境を求め、転職を決意されました。
「CPASSキャリア」では、単純な条件でマッチングする求人を提案するのではなく、候補者様が叶えたい潜在ニーズも汲み取りながら、本当に叶えたいキャリアの方向性や条件を明確にした上で転職を支援いたしました。
その結果、大手プライム上場メーカーの経理の管理職候補として内定に至っています。
転職後は、年収が960万円から1,250万円と年収が大幅にアップしただけでなく、ご自身が目標としていた財務経理に集中して経験を伸ばし、キャリアを築くことにも成功いたしました。
ご本人からは、
「担当者と面談を重ねる中で、自身のキャリアの方向性や条件を明確にしていただいたことで、条件面や年収面を上げながら関わりたかった領域に転職することができました。
管理職候補として入社したため管理職へのステップアップも見えており、非常に挑戦しがいのある日々を過ごしています。本当にありがとうございました」
というお声をいただいています。
【転職事例2】中堅FASから大手上場メーカー経理に転職

(CPASSキャリア編集部 作成)
中堅の企業でFAS業務をされていた方の事例です。大手企業ではないことから比較的難易度の低い業務を担っており、自身の経験をあまり積めていないことに悩んでおられました。
そこで、事業会社にて連結決算やIFRS導入など難易度の高い会計関連業務の経験を積んでキャリアアップしていきたいと考え、転職を決意されました。
「CPASSキャリア」では、ただ条件に合うだけの企業を提案するのではなく、ご本人のキャリアパスを見据えて企業をリサーチし、提案いたしました。
短期的な目標だけではなく、長期的な目標を明確にしたうえで大手メーカーへの転職を支援いたしました。その結果、ご希望通り大手メーカーの経理として内定に至っています。
転職後は年収が800万円から850万円にアップし、ワークライフバランスも大幅に改善することができました。また、転職を決意した当初からの目標であった連結決算やIFRSにも携わることができています。
ご本人からは、
「年収が上がっただけでなく、ワークライフバランスも非常に良くなり家族と過ごす時間を作ることができています。
転職活動当初より希望していた、難易度の高いテーマにも携わることができて、キャリアの面でもやりがいを感じています。転職を支援していただきありがとうございました」
というお声をいただいています。
大手メーカーの経理職に転職するなら「CPASSキャリア」「CPAジョブズ」をご活用ください

大手メーカーの経理職への転職を検討している皆様には、会計ファイナンス人材特化型転職エージェントの「CPASSキャリア」の活用をおすすめします。
「CPASSキャリア」には、経理領域の転職市場を熟知したキャリアアドバイザーが在籍しており、公認会計士資格を持つアドバイザーに相談することも可能です。
一般には公開されていないオリジナル求人の紹介から、職務経歴書の添削、面接対策、年収交渉まで、転職活動の全プロセスを無料でサポートします。
また、自分のペースで求人を探したい皆様には、会計ファイナンス人材特化型求人サイトの「CPAジョブズ」が便利です。
経理のみならず、財務や経営企画など、会計ファイナンス人材向けの求人を多数掲載しており、実務経験や希望条件にあわせて検索・応募できます。
キャリアアドバイザーによる手厚い支援を受けたい場合は「CPASSキャリア」、まずは求人情報を見て相場感をつかみたい場合は「CPAジョブズ」と、状況にあわせて使い分けることで、転職活動を効率的に進められます。
大手メーカーの経理職への転職を目指す皆様は、ぜひお気軽に無料のキャリア相談をご利用ください。
まとめ
大手メーカーの経理職の年収は、20代のスタッフクラスで500万〜700万円台、30代の主任・係長クラスで700万〜1,000万円程度が目安であり、40代以降に課長・部長へ昇格すれば年収1,000万円以上も視野に入ります。
住宅手当や社宅、退職金制度などを設けている企業であれば、額面年収以外の待遇が改善する可能性があります。
転職で評価されるのは、月次・年次決算をはじめとする実務経験とスキルセットです。
中小企業で幅広い業務を担ってきた経験は大手メーカーを含む大手上場企業の選考でも強みになり、原価計算や連結決算の知識を補強すれば、応募できる求人の幅はさらに広がります。
求人を比較する際は、額面の年収だけでなく、賞与や手当、退職金制度まで含めた実質年収で判断することが大切です。
自身の経験がどの程度評価されるのか、どのような求人に手が届くのかを知りたい皆様は、会計ファイナンス人材特化型転職エージェントの「CPASSキャリア」に相談しながら、転職活動を進めてみてはいかがでしょうか。









