
経理部長とCFO(最高財務責任者)は、どちらも企業の財務を担う重要な職位ですが、その役割や責任範囲、求められるスキルは大きく異なります。
経理部マネージャーとして経験を重ね、次のキャリアを描くうえで、両者の違いを理解することは欠かせません。
本記事では、経理部長とCFOそれぞれの役割や年収相場を比較し、CFOを目指すために必要な経験やキャリアパスを整理して解説します。
今後のキャリア戦略を具体化するための判断材料としてお役立てください。
目次
経理部長とCFO(最高財務責任者)の違い│役割や業務、年収相場の比較

経理部長とCFOは、いずれも企業の財務・会計領域を担う職位ですが、経理部長は決算・開示などの経理機能を統括し、CFOは財務戦略を通じて全社的な意思決定に関与します。
こちらでは、両者の役割の違いに加え、業務範囲や責任範囲、年収相場、企業規模による違いという観点から両職位を比較します。
経理部長の役割│企業の『財務状況と資金の流れ』を正確に把握・管理し、経営陣の意思決定を支えるかじ取り役
経理部長は、企業の財務情報の信頼性を確保する責任者です。経理部門を統括し、月次・四半期・年次の決算から、有価証券報告書や決算短信といった開示書類の作成まで、その最終責任を担います。
連結決算やグループ会社の数値管理、会計方針の整備も含め、企業全体の数字を一貫した基準でまとめる立場です。
また、税務当局や監査法人との折衝も担い、複雑な会計基準に基づいた判断を下しながら、企業の透明性を守ります。
経理部長の業務の中心にあるのは、すでに発生した取引を正確に記録し、適時に開示するという「過去の数値」への責任です。
売上計上のタイミングや会計処理の方法に判断が必要な場面では、会計基準に照らして適切な処理を決定し、チームに指示を出します。
数字の正確性を担保して株主や投資家、金融機関からの信頼を確保するとともに、経営判断に必要な財務情報を整備して企業活動の基盤を築きます。
CFOの役割│持続的な企業価値向上に向けて、財務戦略の立案・実行を通じて事業成長を牽引する経営パートナー
CFOは、財務の視点から企業価値の最大化を主導する経営陣の一員です。実務責任者である経理部長との一番の違いは、「経営者の一員として意思決定に直接関与するかどうか」という点にあります。
CFOは単なる財務の管理職ではなく、アメリカなどでは「CEOの右腕」として会社を引っ張るNo.2の立ち位置を意味します。
業務の役割を見ても、経理部長が決算・開示など「過去から現在の実績数値の正確性」を担保するのに対し、CFOはそれらの数値をもとに「将来、未来に向けての財務戦略や経営判断」に関与します。
例えば、新規事業への投資判断や資金調達(増資・社債・借入など)の最適化、M&A戦略の指揮、投資家向けのIR活動など、その責務は“経理”の枠を大きく超えるものです。
ただし、日本におけるCFOの実態は企業によって様々です。
資金調達が成長のカギを握るスタートアップ企業では、アメリカ同様に経営のNo.2として活躍するCFOが増えています。
一方で、日本の大手企業(いわゆるJTC)では、肩書きこそCFOであっても、実質的な役割は「従来の経理部長の延長(決算管理やコンプライアンス対応が中心)」にとどまっているケースもまだ多いのが現状といえるでしょう。
業務範囲・責任範囲と年収相場の違い

部門の責任者である経理部長に対し、CFOは経営陣の一員として、財務面から全社的な意思決定に関与する点が大きな違いです。
経理部長の責任は会計・決算・開示を中心とした領域に置かれるのに対し、CFOは財務戦略・資金調達・IR・リスク管理まで、全社的な財務領域を統括します。
この違いは年収相場にも表れます。大手上場企業では、経理部長の想定年収は、おおよそ1,200万〜2,500万円であるのに対し、CFOは、おおよそ3,000万〜1億円以上とされています。
経理部長から一段視野を広げた先に、CFOというポジションが位置づけられます。
なお、資金調達や投資判断を担う財務部長の想定年収は1,200万〜2,500万円程度であり、経理部長と近い水準です。
会計の責任者が経理部長、資金の責任者が財務部長、そして両者を含む財務と会計全体を統括し経営に関わるのがCFOです。
このように整理していただくと、責任範囲と報酬水準の関係が理解しやすくなると思います。
企業規模による違い
経理部長とCFOに求められる役割や年収相場は、企業規模やフェーズ、業績によっても異なります。
大手上場企業のCFOの想定年収は3,000万〜1億円以上ですが、新興上場企業のCFOは1,500万〜6,000万円程度、スタートアップ企業では1,000万〜2,500万円程度とされています。
経理部長も同様に、大手上場企業では1,200万〜2,500万円ですが、上場子会社では700万〜1,400万円程度、スタートアップ企業では800万〜1,200万円程度、中小企業では500万〜800万円程度にとどまります。
このように、同じ役職でも企業によって報酬水準は大きく異なります。
また、企業規模が小さい場合には、経理部長とCFOの役割を1人が兼務する例も珍しくありません。特にスタートアップ企業では、経理の統括と財務戦略の両方を兼務し担うことがあります。
一方、大手上場企業では両者の役割が明確に分かれ、経理部長は決算・開示を、CFOは経営全体の財務を担う傾向にあります。
このように、規模やフェーズによって役割の範囲も報酬水準も変わるため、目指すポジションを考える際には、どの規模の企業で働くかという視点も欠かせません。
経理部長に求められる業務範囲や経験

前述の通り、経理部長は経理部門を統括し、企業の財務報告の信頼性を担保する責任者です。
その役割を果たすためには、決算や開示に関する専門知識に加え、組織を動かすマネジメント能力や経営層への説明力が求められます。
こちらでは、経理部長に求められる代表的な業務範囲を、5つの観点から整理します。
決算統括│月次・四半期・年次決算を管理するだけでなく最終責任を担う
経理部長に求められる中核的な経験が、決算の統括です。月次・四半期・年次の各決算について、スケジュール管理から最終チェックまでを統括し、正確な財務情報を適時に提供する責任を負います。
ただし、年次決算や税務が中心になりやすい中小企業と、四半期決算や月次開示が求められる上場企業とでは、必要とされるスキルや経験の質が異なる点はしっかり理解しておきたいところです。
経理部マネージャーが現場で決算作業をまとめる立場であるのに対し、経理部長は部門全体の決算プロセスに最終責任を持ちます。
単に作業を管理するだけでなく、判断が必要な会計論点に対して方針を決定する力が問われます。
例えば、売上計上の時期や引当金の見積もり、減損の要否といった論点では、会計基準に照らして適切な処理を判断し、その根拠を整理する必要があります。
また、決算早期化や業務プロセスの改善を主導し、限られた期間で精度の高い決算を実現することも求められます。決算の精度とスピードの両立は、経理部門の実力を示す指標ともいえます。
複数の関係部署と連携しながら全社の数字を取りまとめる経験は、財務全体を見渡すCFOへの土台となります。
開示対応(対象企業の場合)│有価証券報告書や決算短信の作成を主導する
上場企業の場合、開示対応は経理部長にとって欠かせない業務です。
有価証券報告書や半期報告書などの法定開示書類、決算短信や四半期決算短信などの適時開示資料の作成を主導し、投資家に対して正確な財務情報を適時に提供する責任を担います。
開示書類は企業の信頼性に直結するため、記載内容の正確性と適時性の両立が強く求められます。開示対応では、会計基準や金融商品取引法、各種開示ルールへの深い理解が前提となります。
制度改正への対応も継続的に必要であり、新たな会計基準の適用に際しては、影響範囲を見極めて社内の体制を整える役割を担います。
また、開示の前提となる注記情報やセグメント情報の整理など、専門性の高い作業を統括します。
有価証券報告書では、サステナビリティに関する考え方や取り組み、人的資本・多様性に関する情報の開示も求められており、関連部署と連携して開示内容を整える場面も増えています。
正確で適時な開示を積み重ねることが、企業の市場評価を支える基盤になります。
監査法人対応│会計論点を整理し、経営陣に説明できる状態にする
上場企業の経理部長には、監査法人との折衝を担う役割も求められます。決算や開示にあたっては、会計処理の妥当性をめぐって監査法人と議論する場面が生じます。
経理部長は、自社の会計判断の根拠を整理し、監査法人に対して論理的に説明できる状態を整える責任を負います。重要な会計論点については、監査法人と見解が分かれることもあります。
その際には、会計基準や過去の事例を踏まえて自社の立場を主張しつつ、必要に応じて処理方針を調整する判断力が問われます。
こうした折衝を円滑に進めるためには、日頃から論点を文書で整理し、根拠となる資料を準備しておくことが重要です。
さらに、監査で明らかになった論点を経営陣にわかりやすく説明し、指摘事項を業務改善や内部統制の強化に反映することも重要です。
円滑な監査対応には、監査法人と粘り強く対話する姿勢が欠かせません。
会計の専門家同士の議論を経営の言葉に翻訳するこの経験は、取締役会や投資家に対して財務を説明するCFOの役割と共通する部分が多いといえます。
組織管理│経理部の業務改善・人材育成・評価まで担う

経理部長は、経理部門の責任者として組織管理も担います。
日々の業務を円滑に回すだけでなく、業務プロセスの改善や人材の育成、メンバーの評価までを含めて、部門全体のパフォーマンスに責任を持つ立場です。
経理部マネージャーがチーム単位のマネジメントを担うのに対し、経理部長は部門全体の運営を設計します。
組織管理では、属人化しがちな経理業務を標準化し、システム化や自動化によって効率を高める取り組みが求められます。
あわせて、メンバーが専門性を高められるよう育成方針を定め、適切に評価する仕組みを整えることも重要です。
決算の早期化や業務負荷の平準化といった課題に対しては、人員配置や業務分担を見直しながら解決を図ります。
限られた人員で増え続ける業務に対応するため、優先順位を見極めて部門全体のリソースを配分する判断も日常的に求められます。
部門を一つのチームとしてまとめる力が問われる領域です。
経営報告│経営会議や取締役会向けに数字の意味を説明する
経理部長には、経営会議や取締役会に向けて財務情報を報告する役割も求められます。
単に数字を提示するだけでなく、その数字が何を意味し、経営にどのような影響を与えるのかを説明することが重要です。
経営層は会計の専門家とは限らないため、専門的な内容を平易な言葉で伝える力が問われます。
経営報告では、決算数値の背景にある要因を分析し、業績の変動が生じた理由や今後の見通しを整理して伝える必要があります。
例えば、利益が計画を下回った場合には、その原因がコストの増加にあるのか売上の減少にあるのかを切り分け、対応策とあわせて報告します。
さらに、報告にとどまらず、経営課題に対する改善の提案までを行えると、経営陣からの評価も高まります。
経理部長は、こうした財務報告を通じて経営判断を支えます。数字の意味を経営の言葉に“翻訳”して伝える経験は、CFOとして取締役会で財務戦略を提言する際にも活かされます。
CFOに求められる業務範囲や経験

(CPASSキャリア編集部 作成)
前述した通り、CFOは財務戦略を通じて企業価値の向上を主導する経営陣の一員です。資金調達や経営戦略、M&AやIR、リスク管理まで、より広範な経験と視点が求められます。
こちらでは、CFOに求められる代表的な業務範囲や経験を5つの観点から整理します。
財務戦略│資金調達・投資判断・資本政策を一体で考える
CFOに求められる最も重要なスキルの一つが、財務戦略を立案・実行する力です。経営戦略を財務面から支え、資金調達や投資判断、資本政策を一体で考える役割を担います。
財務戦略では、事業計画を実現するために必要な資金をどう確保するかを判断します。
必要な資金は、社債発行・銀行借入・増資などの手段から、資本コストや返済負担を比較して最適な組み合わせを選びます。
同時に、限られた資金をどの事業に配分すれば企業価値が高まるかという投資判断も重要です。株主還元と内部留保のバランスをとる資本政策も、CFOが担う領域です。
これらは相互に関連するため、整合性を保ちながら設計する必要があります。財務戦略を描く力は、経理で培った正確性と将来を見通す視点を組み合わせた、CFOの中核的な資質です。
経営戦略│事業成長と財務数値を結び付けて意思決定する
CFOには、財務の専門性にとどまらず、経営戦略に関わる視点が求められます。事業の成長と財務数値を結び付け、経営陣の一員として全社的な意思決定に参画する役割です。
財務の論理だけで判断するのではなく、事業の方向性や市場環境を踏まえて、数字の裏付けを提供することが重要になります。
例えば、新規事業への参入や撤退を検討する際には、財務シミュレーションを通じて投資対効果を示し、経営判断の材料を提供します。
事業部門が描く成長戦略を財務の観点から検証し、実現可能性やリスクを明らかにする役割も担います。
また、中長期の経営計画を数値に落とし込み、目標達成までの道筋を財務面から描くことも求められます。
CFOは全社の事業戦略に財務面から関与するため、事業の言葉と財務の言葉を行き来できることが、経営陣として意思決定に加わる前提になります。
事業と数字を往復しながら意思決定を支えるこの視点は、経営企画やIRといった経理以外の領域での経験を通じて培われます。
M&A・IPO準備経験│投資判断・財務デューデリジェンス・PMIへの理解を深める

CFOには、M&AやIPO準備に関する経験も求められます。CFOはM&A戦略の策定と実行を担う立場であり、投資判断から実行後の統合までを見通す力が問われます。
これらは経理部長の通常業務では関わる機会が限られるため、意識的に経験を積む必要がある領域です。
M&Aでは、対象企業の財務デューデリジェンスを通じてリスクや課題を把握し、買収価格の妥当性を判断します。
さらに、買収後の統合プロセスであるPMIにおいて、想定したシナジーを実現する役割も担います。
IPO準備では、監査法人対応や内部統制の構築、開示体制の整備など、上場に向けた財務面の舵取りが求められます。
また、スタートアップ企業のCFOでは、資金調達やIPO準備が主要業務になりやすい一方、新興上場企業のCFOでは、IPO後の資本政策やIR、成長戦略の推進が中心になります。
こうした経験は、複数の案件を通じて実践的に磨かれます。FASや監査法人での実務は、投資判断やPMIへの理解を深めるうえで役立ちます。
IR・対外説明│株主・投資家・金融機関に経営方針を説明する
CFOには、株主や投資家、金融機関に対して経営方針を説明するIR・対外説明の役割が求められます。IR活動を統括し、投資家や金融機関との関係を構築する立場にあります。
決算発表や投資家向けの説明会では、CFOが前面に立ち、財務数値の背景にある戦略や将来の見通しを説明します。
対外説明では、財務情報を正確に伝えるだけでなく、投資家が知りたい論点を先回りして整理し、納得感のある説明を行う力が問われます。
継続的な対話を通じて投資家との信頼関係を築くことは、円滑な資金調達にも寄与します。
厳しい質問にも冷静かつ論理的に応答し、企業の戦略や価値を正確に伝えることがCFOの重要な役割です。
なお、経理部長として培った報告の経験もIRの場で活かせるでしょう。
リスクマネジメント│全社的な財務リスクを管理する視点を持つ
CFOには、全社的な財務リスクを管理する視点も求められます。企業活動に潜む様々なリスクを先読みし、対応を指揮する立場にあるためです。
具体的には、為替や金利の変動、資金繰りの悪化、投資先の信用リスクなど、企業の財務に影響を与えるリスクを把握し、適切な対策を講じます。
例えば、海外展開を進める企業では、為替予約などのヘッジ手段を用いてリスクを抑えます。また、複数のシナリオを想定して資金需要を予測し、不測の事態に備える役割も担います。
リスクを過度に避けるのではなく、許容範囲を見極めて成長に必要な挑戦を後押しする判断も必要です。
経理で培った数字を読む力に加え、財務の健全性と成長機会を全社的に捉える視点が求められます。
経理部マネージャーがCFOを目指すキャリアパス

(CPASSキャリア編集部 作成)
将来的にCFOを目指すにあたって、その到達ルートは決して一つではありません。社内での昇格を目指す道もあれば、財務や経営企画といった他部門で経験を積む道、あるいは転職によって領域を広げる道もあります。
こちらでは、経理部マネージャーからCFOを目指す場合を例に、代表的なキャリアパスを5つの観点から整理していきます。
社内昇格ルート│経理部長を経由してCFOに昇格する
最も基本的なルートが、社内で経理部長を経てCFOに昇格する道です。
経理部マネージャーとして決算統括や開示対応の経験を積み、経理部長として部門全体の責任を担ったうえで、財務全体を統括するCFOへと昇格します。
会計・決算・開示の専門性を土台に、段階的に責任範囲を広げていくルートです。
自社の事業や歴史を深く理解したうえでCFOに就ける点は、このルートの強みといえます。ただし、現職で部長ポストが詰まっている場合には、昇格の機会が限られることもあります。
また、経理の延長だけではCFOに必要な財務戦略やIR、M&Aの経験を十分に得られない可能性もあります。
社内昇格を目指す場合でも、経理以外の領域に関わる機会を意識的に求めたり、経営層と接点を持つ業務に主体的に関与したりすることが重要です。
社内の人脈や信頼を活かせる点も、このルートならではの利点です。焦らず計画的に経験を積み重ねる姿勢が問われる道筋です。
自社のなかでCFOに必要な経験を積めるかどうかを見極めたうえで、足りない経験を補う方法を考えることが、このルートを実現する鍵です。
財務部門への異動ルート│資金調達や金融機関対応の経験を積む
財務部門へ異動し、資金調達や金融機関対応の経験を積むルートです。経理は決算・開示など実績数値の管理を中心に担い、財務は資金調達や資金繰り、投資判断など将来の資金計画を中心に担います。
ただし、企業によって両者の業務範囲は重なります。CFOには財務戦略の経験が欠かせないため、財務部門での経験はその不足を補う有効な手段です。
財務部マネージャーに転身すると、財務戦略の立案や予算管理、資金調達・運用の最適化、経営陣への財務分析情報の提供などを担います。
経理で培った数字を読む力を活かしながら、資金面の業務へと領域を広げることで、財務全体を見渡す視点が養われます。
金融機関や投資家とのやり取りを重ねるなかで、社外との折衝力やネットワークも身につきます。
経理と財務の双方を経験することは、両領域を統括するCFOにとって大きな強みとなります。資金の流れを設計する実務はCFOの財務戦略に直結し、他者との差別化にもつながります。
社内での異動が難しい場合には、財務部門の経験を得られる企業への転職も選択肢となります。
経営企画への異動ルート│経営計画や投資判断に関わる経験を積む

経営企画部門へ異動し、経営計画や投資判断に関わる経験を積むルートもあります。CFOには事業と財務を結び付けて意思決定する力が求められるため、経営戦略に近い立場での経験は有効です。
経営企画では、全社的な視点から、経営戦略や中長期経営計画の策定、M&A・事業提携の検討、取締役会や経営会議の運営などを担当します。
経理で培った財務の素養を活かしながら、事業の方向性を考える経験を積むことで、CFOに求められる経営的な視点が養われます。
経営企画では各事業部門と連携する機会が多く、全社を俯瞰する立場で意思決定を支える経験ができる点も特徴です。
経営計画の策定や投資判断に携わることは、数字で会社を動かす感覚をつかむための貴重な機会になるでしょう。
数字の正確性を担保する経理の経験と、将来を構想する経営企画の経験を組み合わせることが、CFOへの道を後押しするといえます。
転職ルート1│他社の経理部長・財務部長候補として経験の幅を広げる
現職での昇格が見込みにくい場合には、他社の経理部長や財務部長の候補として転職し、経験の幅を広げる方法もあります。
現職で部長ポストが詰まっている状況でも、他社であれば責任あるポジションに就ける可能性があります。より大きな責任を担うことで、CFOに必要な経験を前倒しで積むことができます。
転職によって企業規模や業種が変われば、これまで関わる機会のなかった業務に携わるきっかけにもなります。
例えば、グローバル連結やIFRS(国際財務報告基準)の導入、資金調達の実務など、現職では得にくい経験を積めるでしょう。
異なる組織で通用する力を身につけることは、自身の市場価値を高めることにつながります。
会計ファイナンス人材の転職市場は売り手市場の傾向にあり、経理部マネージャーとしての経験は、求人要件によって高く評価されやすいといえます。
新たな環境への挑戦は、視野とスキルの両方を広げてくれ、将来CFOを目指すうえで説得力ある裏付けにもなります。
自身に不足している経験を明確にし、それを補える環境を選ぶことが、CFOを見据えた転職を成功させる鍵になります。
転職ルート2│スタートアップ企業のCFO候補としてジョインする
スタートアップ企業のCFO候補に転身するルートでは、比較的早い段階から経営に近い立場へ挑戦できます。想定年収は1,000万〜2,500万円であり、想定年齢は30〜45歳です。
経理部マネージャーの経験を活かして、早い段階で経営に近い立場に挑戦できる道です。
スタートアップ(中でも特にシード~アーリー期)企業のCFOは、資金調達やIPO準備、キャッシュフロー管理など、財務全般を担います。
大手上場企業ほど分業されていないため、短期間で多様な実務に携われる点が特徴です。
IPOを目指す企業に創業期から関われば、上場までの一連のプロセスを当事者として経験できる可能性があります。
一方で、求められる業務範囲が広く、変化の激しい環境に対応する力も必要です。若いうちに経営の当事者として働く経験は、その後のキャリアの幅を広げる可能性があります。
スタートアップ企業や新興上場企業のCFO候補への挑戦は、CFOを目指す有力なルートの一つです。
経理部長・CFOを目指すうえで意識したい行動

経理部長やCFOを目指すには、日々の業務で経営に近い仕事や隣接領域へ主体的に関わることが重要です。こちらでは、意識したい2つの行動を紹介します。
現職で経営層と接点を持つ業務に主体的に関わる
一つ目は、現職で経営層と接点を持つ業務に、自ら手を挙げて関わることです。
経営会議や取締役会への報告資料の作成、予算策定、経営層から依頼された分析などに積極的に関わることで、経営に必要な視点を養えるでしょう。
経営層と接点を持つことで、経営陣がどのような情報を求め、どのような視点で意思決定を行うのかを肌で理解できます。この理解は、数字を経営の言葉に翻訳して伝える力を養ううえで欠かせません。
経理部マネージャーの立場でも、決算報告の場で数字の背景や今後の見通しを補足したり、経営課題に関する分析を自ら提案したりすることは可能です。
日頃から経営の目線で数字を捉える習慣が、上位ポジションへの準備につながります。
こうした積み重ねにより、経営に必要な視点と社内からの信頼を高められます。受け身にならず、経営課題に対する分析や提案の機会を自らつくる姿勢が重要です。
経理以外の領域(財務・経営企画・IR)で経験を積む
もう一つ意識したいのが、経理以外の領域で経験を積むことです。CFOには財務戦略やIR、経営戦略に関する知見も求められるため、経理の専門性だけでは補いにくい領域があります。
財務・経営企画・IRの実務に関わることで、CFOに必要なスキルを培えます。
財務では資金調達や投資判断、経営企画では経営計画やM&A、IRでは投資家対応に携われます。これらの業務を通じて、経理だけでは得にくい全社的な視点を養えます。
まずは社内の異動希望や部門を横断するプロジェクトへの参加など、現職で取り組める方法から検討するとよいでしょう。
社内での異動やプロジェクトへの参加が難しい場合には、こうした経験を得られる企業への転職も有効な手段です。複数の領域を経験した実績は、転職市場でも高く評価されやすくなります。
経理を起点としながら経験の幅を広げることが、経理部長やCFOという次のキャリアを実現する基盤になります。
管理部長・CFOへの転職事例
こちらでは、「CPASSキャリア」で転職支援を行い、キャリアアップを実現した管理部長・CFOの転職事例をご紹介します。
【転職事例1】大手上場企業経理副部長からIPO準備企業の経営企画・管理会計責任者へ、現状維持からの脱却

(CPASSキャリア編集部 作成)
東証プライム大手小売りの経理副部長として勤務されていた、40代前半の男性の事例です。年収や社内でのポジションが頭打ちになったことで、現状のキャリアに停滞を感じておられました。
そこで、これまで培ってきた知識や経験を活かしさらなるキャリアアップを目指し転職を決意されました。
当初スタートアップのCFOを希望されていたものの、IPO経験やエクイティ資金調達の経験がありませんでした。
そのため、「CPASSキャリア」では一定の知名度があり、事業も伸びているIPO準備企業の経営企画・管理会計責任者のポジションを提案いたしました。その結果、約5か月で内定に至っています。
転職後は年収が1,080万円になり、前職よりは下がったものの、会社の事業フェーズ、事業の社会貢献性、今後のキャリアアップの可能性などを魅力に感じ、年収ダウンでも意思決定をされました。
ご本人からは、
「目先の肩書きだけではなく、はじめての転職で会社の規模や事業フェーズも大きく変える意思決定ハードルの高い選考でしたが、CPASSキャリアの担当者と対話を続ける中で適時適切にフォローしていただけたことで安心して意思決定することができました」
というお声をいただいています。
【転職事例2】投資ファンドからスタートアップ企業のCFOへ、年収200万アップを実現

(CPASSキャリア編集部 作成)
大手コンサルティングファームから投資ファンドのアソシエイトを経て、スタートアップ企業のCFOへ転職された40代半ばの男性の事例です。
会社の方向性と自身が目指すキャリアの方向性に違いを感じたことで転職を決意されました。
スタートアップ企業での勤務や転職の経験が一定数ある方だったこともあり、「CPASSキャリア」では複数の選択肢を提示しながら、当初ご自身が想定している希望とは異なるアーリー期のスタートアップ企業の求人を提案いたしました。
その結果、転職後はキャリアアップだけでなく、年収が1,300万円から1,500万円になり、200万円アップを実現することができました。
ご本人からは、
「転職の相談をした当初、CPASSキャリアの担当者からはそこまで関心がない分野の提案をいただきました。
ですが、そのおかげで自身の選択肢の幅が広がりアーリー期のスタートアップ企業のCFOに転職することができました。
複数の選択肢を提示していただいたことで、大変満足度の高い転職が出来て感謝しております。ありがとうございました」
というお声をいただいています。
経理部長・CFOへの転職なら「CPASSキャリア」をご活用ください

経理部長やCFOを目指したキャリアの実現には、自身に不足している経験を見極め、それを補える環境を選ぶことが欠かせません。
「CPASSキャリア」は、主に公認会計士や経理・財務のマネージャー候補などを支援する、会計ファイナンス人材特化型転職エージェントです。
年収600万円以上のハイクラス層をコアターゲットとし、上場企業やIPO準備企業の経理財務部門、会計コンサルティングなど、専門性を活かせる求人を取りそろえています。
会計ファイナンス領域を知り尽くしたキャリアアドバイザーが、「転職すること」ではなく「理想のキャリアを実現するために最適な選択は何か」を軸にサポートします。
なかには公認会計士の資格を持つキャリアアドバイザーも在籍しており、専門的な相談にも対応できる体制が整っています。
キャリアビジョンから逆算して求人を提案するため、CFOまで見据えた中長期のキャリア設計にも対応できます。
経理部長やCFOという次のキャリアをお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
CPASSキャリアの「CFO・エグゼクティブ転職」の詳細はこちら >>
まとめ
経理部長は決算・開示などの経理機能を統括し、CFOは財務戦略を通じて全社的な意思決定に関与します。
例えば、経理部マネージャーからCFOを目指す場合には、経理の専門性を土台としながら、財務戦略やIR、M&Aといった経験をどう獲得するかが鍵になります。
社内昇格や財務・経営企画への異動、他社への転職など、複数のルートのなかから自身の状況に合った道筋を選ぶことが重要です。
特に、現職で部長ポストが詰まっているなど昇格が見込みにくい場合には、他社への転職によって経験の幅を広げ、CFOに近づくルートが有力な選択肢になります。
現職にとどまるだけでは得にくい財務やIR、M&Aの経験も、環境を変えることで効率的に積める場合があります。
まずは自身に不足している経験を整理し、それを補える求人や環境を見極めることが、次のキャリアへの一歩です。
経理部長やCFOを見据えたキャリア戦略を整理したい方は、「CPASSキャリア」の無料相談をご活用ください。専門のキャリアアドバイザーとともに、皆様の未来を描いてみませんか。









