
転職を検討している経理職の皆様のなかには、タイミングを決めかねていたり、ベストな時期が知りたいと考えていたりするケースも多いのではないでしょうか。
経理職は企業の規模を問わず人手不足であり、キャリアアップを目指せる環境が整っていますが、求人数の増減には時期的な傾向があります。また、売り手市場とはいえ、戦略的に転職活動を進めることが重要です。
本記事では、経理職の求人が増えるタイミング、転職に必要とされる経験年数、転職成功のためのステップとポイントを解説します。
現職の業務や年収、将来のキャリアに不安を抱える皆様は、ぜひ参考にしてください。
目次
経理は引く手あまた?売り手市場?経理の転職市場動向

経理職の転職市場では、経験者を求める企業が多く、特に一定の実務経験を持つ人材は評価されやすい傾向にあります。
経理はビジネスモデルに関わらず、すべての企業で共通して必要とされる「代替の利かない専門職」であるためです。
さらに、少子高齢化による労働人口の減少や、IFRS対応、内部統制の強化、DX・AI推進などによる業務の高度化も相まって、経験者を求める動きが活発化しています。
特に、月次決算や年次決算(補助を含む)などの実務経験がある20代後半から30代の若手層は、企業からの引き合いが非常に強い傾向にあります。
目安年収は、若手であっても大手上場企業や条件の良い企業では400万〜500万円台からのスタートも珍しくありません。
転職先も、大手上場企業からIPO準備中のスタートアップ、外資系、中小企業まで選択肢は豊富です。
ただし、いくら売り手市場であっても、希望条件の絞り込みや事前の選考対策が甘ければ活動は長引きます。市場動向を冷静に見極め、戦略的に準備を進めることが成功の鍵となります。
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経理職におすすめの転職時期│求人数が増える3つのタイミング

(CPASSキャリア編集部 作成)
経理職の転職を有利に進めるためには、“求人数が増える時期を狙う”ことが効果的です。日本国内の企業の多くは4月始まりの会計年度を採用しているため、求人の動きには一定の傾向が見られます。
- 1〜3月│次年度の組織強化を目的とした求人が年間で最も増える時期
- 9〜10月│上半期業績を踏まえた下期の採用が活発化する時期
- 6〜8月│経理部門の現場が落ち着き、攻めのファイナンス求人が出回る時期
- 未経験からの転職│選択肢の多い1〜3月を狙うのがおすすめ
1〜3月│次年度の組織強化を目的とした求人が年間で最も増える時期
1〜3月は、経理職の求人が特に多く出回る時期です。新年度を迎えるための人員を確保すべく、年明けから採用活動を本格化させる企業が多いためです。
組織の見直しや事業拡大に伴う増員、退職者の補充など、採用ニーズが高まりやすい時期といえます。
4月入社を前提とした求人が中心となるため、新しい環境でスタートを切りたい方にとっては理想的なタイミングといえます。
年度切り替えのタイミングは現職での引き継ぎもしやすく、円満退職を実現しやすい点もメリットです。
ただし、同時に求職者の動きも活発化する時期でもあるため、競争率は高まります。書類選考から内定までは1〜3ヶ月ほどかかることが多いため、4月入社を希望する場合は前年11月〜当年1月頃に動き始めるのが理想的です。
9〜10月│上半期業績を踏まえた下期の採用が活発化する時期
9〜10月は、下期の人員計画や欠員補充により求人が動きやすい時期です。上半期決算を終えた企業が組織体制を見直し、新たな採用を進めるタイミングとなります。
3月決算企業の場合、9月末に上半期決算を迎えるため、その業績を踏まえて下期の人員計画を策定し、10月以降の中途採用へとつなげる流れが一般的です。
年度途中の退職者の補充や、上半期に予算化できなかったポジションの採用が動き出すことも、求人増加の要因です。
1〜3月ほどの求人数はありませんが、時期によっては応募者数も落ち着きやすく、じっくりと企業を吟味したい方にとっては取り組みやすいタイミングです。
なお、経理関連の転職希望者は、GW明け〜お盆前や11月〜2月にも増えやすい傾向があります。
賞与支給後や年度の区切り、繁忙期前後に現職での働き方や待遇を見直す方が多いため、この時期も早めに情報収集を進めておくとよいでしょう。
6〜8月│経理部門の現場が落ち着き、攻めのファイナンス求人が出回る時期

6〜8月は、5月の本決算発表や6月の定時株主総会を終え、経理部門の現場が落ち着きを取り戻し、採用活動が活発になる時期です。
新年度の経営方針や投資戦略が固まり、企業が「今年度はこのM&Aや新規事業を強化する」と方針を決めるタイミングでもあるため、経営企画や財務といった、より「攻めのファイナンス求人」が多く出回りやすい点が特徴です。
また、内部監査職についても、J-SOX対応や期末監査が一段落した後、組織再編や次年度の監査計画を見据えた募集がこの時期に活発化します。
この時期の求人は秋以降の入社を前提としていることが多いため、現職での引き継ぎや円満退職の手続きをスムーズに進められる点もメリットといえます。
ただし、この時期の求人はポテンシャル採用ではなく「即戦力採用」の枠が中心となるため、個々の専門性がより厳しく見られる傾向にあります。
未経験からの転職│選択肢の多い1〜3月を狙うのがおすすめ
経理未経験から転職を目指す場合は、求人数が最も多い1〜3月を狙うのが効果的です。
求人総数が増える時期は、未経験者を受け入れるポテンシャル採用枠も比例して増える傾向にあるためです。新年度に向けた組織拡大を計画している企業では、経験者と未経験者の両方から人材を募るケースも見られます。
未経験者の場合、即戦力としての評価を受けにくい分、社内研修制度や教育体制が整った企業を選ぶことが重要です。
20代の第二新卒であれば、ポテンシャル採用の対象として歓迎する企業も多くあります。
日商簿記検定2級などの資格を取得しておくと、基礎的な会計知識をアピールでき、選考通過率の向上が期待できます。志望動機や転職理由を明確に整理し、論理的に説明できるよう準備を進めましょう。
経理転職で“必要”とされる経験年数

転職活動では、経験年数が選考結果を左右する重要な指標の1つです。年数によって任される業務範囲や求められるスキルが異なるため、企業はそれに応じた採用基準を設けている傾向にあります。
年収レンジにも直結するため、自身の市場価値を把握するうえでも欠かせません。
原則として業務経験3年以上あることが望ましい
経理職への転職において、選考で一定の評価を得るためには、原則として業務経験3年以上が望ましいとされています。
3年以上の実務経験があれば、月次・年次決算を含む基本的な経理の実務をこなせる“戦力”として評価されます。
特に20代後半でこの経験があれば、若手層の目安年収(350万〜550万円)の上限に近い条件を狙うことも十分に可能でしょう。中小企業から大手企業への転職や、異業界への転職を目指す場合でも、3年以上の経験があれば応募できる求人の幅が広がります。
また、チームメンバーや後輩育成などのマネジメントにつながる経験があればさらに選択肢は広がるでしょう。
一方で、経験が3年未満の場合であっても、日商簿記検定2級などの資格や、特定の業務領域における専門性があればチャンスは豊富にあります。
いずれの場合も、まずは現職での担当業務を整理し、自分の強みを定量的な実績として可視化しておくことが選考突破の第一歩です。
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業務経験5〜10年未満│即戦力として評価されやすい
業務経験5〜10年未満の経理担当者は、「即戦力」として評価されやすい層です。
年次決算を一人で締められるレベルや、税務申告、連結決算、開示書類の作成補助など、幅広い業務を主担当として遂行できる経験が備わっているためです。
この経験層では、担当業務や企業規模によって年収に幅があります。上場企業の経理部マネージャー候補やリーダー層では、600万円以上も視野に入るでしょう。
特に上場企業やIPO準備企業では、開示業務やJ-SOX対応の経験を持つ人材へのニーズが高く、専門的なスキルを備える場合は同年代の平均を上回る水準も狙えます。
さらに、チームリーダーとして業務マネジメントの経験を積んでいる場合は、マネージャー候補としての採用も視野に入ります。応募企業の業界特性を事前に把握し、自身の経験をどう活かせるかを伝えられるよう準備しましょう。
業務経験10年以上│マネジメント経験で差がつくハイクラス人材
業務経験10年以上の経理担当者、特に経理部門のマネジメント経験や、部下の育成、部門予算の管理などの経験を持つ方は、課長クラスや部長クラスのポジションでの採用が期待できるでしょう。
また、年収レンジは企業規模や役職によって大きく異なります。経理部長の場合は、大手上場企業で1,200万〜2,500万円、新興上場企業で700万〜1,500万円が目安です。
10年以上の経験者に求められるのは、経理実務のスキルだけではありません。
経営層への報告、監査法人との折衝、内部統制の構築・運用、グループ会社管理など、経営に近い領域での経験が高く評価されます。
ハイクラス求人は非公開求人として動くケースが多いため、エージェントの活用が有効な選択肢となります。
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未経験〜1年未満でも転職できる可能性はあり
未経験や経験年数1年未満であっても、転職できる可能性は十分にあります。
特に20代の若手層は、ポテンシャル採用の対象となりやすく、現職での実績や学習意欲を評価する企業も少なくありません。特に第二新卒層を対象とした求人では、即戦力よりも将来性で判断されることが多い傾向にあります。
未経験者が転職を成功させるうえで効果的なのは、経理に関連する資格取得をはじめとした会計ファイナンスに関する知識の習得です。
なかでも日商簿記検定2級は、経理職の基礎知識を証明する資格として広く認知されており、選考時のアピール材料として有効です。
また、営業事務として請求書発行や入金管理に携わった経験、総務として経費精算を担当した経験なども、経理業務との親和性が高い実務経験として評価される傾向にあります。
経理の転職を成功させるステップとポイント

(CPASSキャリア編集部 作成)
経理職の転職を成功させるためには、計画的な準備と戦略的な行動が欠かせません。こちらでは、希望条件の求人と出合い、選考で本来の力を発揮するための具体的なステップとポイントを解説します。
- 転職しやすい時期から逆算して準備をスタートする
- 自身の経験やスキルを具体的に棚卸し、自己分析をする
- 長期的な視点から将来のキャリアプランを立てる
- スキルアップにつながる経理業務に積極的に取り組む
- 経理の実務につながる他のスキルも磨く
転職しやすい時期から逆算して準備をスタートする
経理の転職を成功させる第一歩は、求人が増える時期から逆算して準備をスタートすることです。
上記でも述べましたが、書類選考から内定獲得までの期間は、順調に進んだ場合で1〜3ヶ月程度が目安となります。
例えば、4月入社を目指す場合は前年の10〜11月頃、10月入社を目指す場合は6〜7月頃から動き始めるのが理想的です。
目安として、以下の流れを把握しておくとよいでしょう。
- 準備〜転職活動スタート:1〜2ヶ月程度(自身の経験やスキルの棚卸し、応募書類の作成、求人情報の収集など)
- 応募から選考、内定まで:1〜2ヶ月程度
- 内定〜現職の引き継ぎ:1〜2ヶ月程度
経理特有の繁忙期である決算期を避けて活動できるよう、年間スケジュールを把握したうえで計画を立てることをおすすめします。
自身の経験やスキルを具体的に棚卸し、自己分析をする
転職活動を進めるうえで欠かせないのが、自身の経験やスキルの具体的な棚卸しです。これまで担当してきた業務範囲や習得したスキルを書き出すことで、自身の強みや市場価値が明確になります。
棚卸しの際には、担当業務の内容だけでなく、対象となる事業規模や売上高、使用していた会計システムなども整理しておくと効果的です。
例えば、「月次決算を担当」だけではなく、「売上高100億円規模の企業で、月次決算を5営業日締めの主担当として遂行」と具体化することで、応募先企業にとってのイメージが明確になります。
自身の客観的な振り返りが難しい場合は、転職エージェントのキャリアアドバイザーを活用するのもおすすめです。
長期的な視点から将来のキャリアプランを立てる

転職を成功に導くためには、長期的な視点から将来のキャリアプランを立てることが重要です。
目先の年収や働き方の改善だけを目的とした転職では、入社後にミスマッチを感じるケースもあるため、5年後、10年後の理想像を見据えた選択が求められます。
経理職のキャリアパスは、以下の通り多岐にわたります。
- 会計コンサルなど経理スペシャリストとして専門性を極める道
- 財務や経営企画など隣接領域へのキャリアチェンジ
- CFOや管理部長を目指すハイクラスなゼネラリストとしてのキャリア
長期的なプランが明確になると、現在の転職で優先すべき条件も見えてきます。
例えば、将来CFOを目指すのであれば、上場企業の経理部門で開示業務や監査対応の経験、M&Aなどファイナンスの経験を積めるポジションが有力な選択肢となります。
スキルアップにつながる経理業務に積極的に取り組む
転職市場での評価を高めるためには、現職においてスキルアップにつながる業務へ積極的に取り組むことが重要です。経理職は経験を積むほど任される業務範囲が広がる職種であり、業務経験そのものが市場価値の向上に直結します。
特に評価されやすい業務領域として、以下が挙げられます。
- 年次決算の主担当経験
- 連結決算
- 税務申告書の作成
- IFRSや海外子会社の会計処理
- 内部統制(J-SOX)対応
- 開示書類の作成
これらは中小企業では経験できる機会が限られる場合もありますが、可能な範囲で業務領域を広げる姿勢が評価につながることがあります。
また、日商簿記検定1級や税理士試験の科目合格、米国公認会計士(USCPA)などの資格取得も、求人によっては知識の証明や学習意欲を示す補助的な材料となる可能性があります。
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経理の実務につながる他のスキルも磨く
現代の経理職は、会計実務のスキルだけでなく、AI活用を含むITスキルや英語力など周辺領域のスキルも重視される傾向にあります。多くの企業でDX推進や業務効率化が進められており、ITツールを使いこなせる人材へのニーズが高まっているためです。
具体的に磨いておきたいITスキルとしては、以下が挙げられます。
- Excelの応用
- 会計システムの理解や活用
- データ分析ツール運用
- 生成AIやRPAの基礎知識と活用
特にExcelの上級スキルは決算の効率化や報告資料作成において欠かせず、選考時にも頻繁に問われます。
また、外資系企業や海外子会社を持つ日系企業では英文での会計資料作成が発生するため、ビジネスレベルの英語力を備えた人材の希少価値は高まっています。
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まとめ
経理の転職市場は長らく売り手市場の状態が続いており、3年以上の業務経験があれば多くの企業から評価される傾向にあります。
求人が増える時期としては、新年度に向かう1〜3月と、下期の採用が活発化する9〜10月、攻めのファイナンス人材求人がオープンする6〜8月の3つが挙げられます。
それぞれの時期の特徴を把握したうえで、行動計画を立てることが重要です。
転職を成功させるためには、求人が増える時期から逆算した準備と、段階的なステップを踏むことが大切です。経理は専門性の高い職種であり、適切な準備と戦略があれば、現職の不安を払拭できるキャリアの実現は可能です。
自身の市場価値や転職時期の判断は容易ではないため、業界特化型エージェントに相談することで、新たな選択肢が見えてくる可能性もあります。
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