経理から転職するなら?10年後を見据えた強みを活かすキャリアチェンジの選択肢と成功ポイントを解説

公開日:2026.08.13

最終更新日:2026.08.13

経理から転職するなら?10年後を見据えた強みを活かすキャリアチェンジの選択肢と成功ポイントを解説

経理担当として日々の業務をこなす中で、「このまま同じ環境で仕事を続けていて、キャリアは広がるのだろうか」そんな不安を感じたことはありませんか。

例えば、大手上場企業の経理部門では、業務の高度化・分業化が進んでおり、仕訳や決算、開示など特定領域に特化した経験に留まっていると感じやすい傾向にあります。

一方で、大手上場企業の経理として培ってきた経験は、他の事業会社の経理、財務、経営企画、内部監査、IR、会計事務所など、様々な業界・領域で高く評価されます。視座を上げ、マネジメントや経営に近い立場へステップアップすることも十分に可能です。

本記事では、経理からキャリアチェンジできる具体的な転職先やポジション、評価される経験、キャリアの方向転換を成功させるポイントを解説します。

記事の監修者

CPAエクセレントパートナーズ 松岡宏紀

松岡 宏紀

2007年、公認会計士試験に合格。EY新日本有限責任監査法人にて、監査・アドバイザリー業務に加え、社内外での研修講師や研修プログラムの作成・管理などに従事。現在、CPAエクセレントパートナーズ株式会社において、コンテンツの作成、監修を担当。


経理からキャリアチェンジできる主な領域やポジション

経理業務で鍛えられた財務諸表への理解や数値分析力、正確性の高い業務遂行力は、経理はもちろん、様々な部門で通用する「汎用スキル」です。

こちらでは、経理から別のフィールドへ踏み出す際に選択肢となる代表的な8つの領域について、それぞれの業務内容や求められるスキル、キャリアパスを詳しく見ていきましょう。

経理からキャリアチェンジできる主な領域・ポジション・業務内容・求められるスキル・キャリアパス例

(CPASSキャリア編集部 作成)




他の事業会社の経理部門

まず現職からのキャリアチェンジを考える場合、他の事業会社の経理部門へ転職するという選択肢があります。これは、経理領域の専門性をさらに高めたい皆様にとって、王道のキャリアパスのひとつです。

現在の職場で特定の経理業務しか担当できていない場合でも、より幅広い業務に携われる環境へ移ることで、経験の幅を着実に広げることができます。

例えば、大手上場企業からスタートアップ企業へ転職した場合、より広範な経理業務を経験できる可能性が高まります。

大手企業では業務が細分化されている一方、スタートアップ企業のように中小規模の企業では、決算や税務などを含めた幅広い業務を担当するケースが一般的です。

また、経理体制や業務フローが未整備な企業も多く、仕組みづくりや体制構築の段階から関われる点も大きな特徴といえるでしょう。

さらに、IPO準備企業へ転職すれば、上場準備に関する実務経験を積むことができ、将来的なキャリアの選択肢を大きく広げることにつながります

年収は企業規模や年次、業績や評価、ポジションなどによって変動しますが、スタッフクラスでそれぞれ下記が目安になります。

  • 大手上場企業:400万〜700万円程度
  • 新興上場企業:400万〜650万円程度
  • スタートアップ企業:350万〜600万円程度
  • 中小企業:300万〜550万円程度
  • 外資系企業:500万〜800万円程度



会計事務所

会計事務所では、複数のクライアント企業に対して経理支援サービスを提供しています。

多様な業界の企業に関われる点が魅力ですが、高い専門性が求められるため、会計に関する知識や経験が浅い、もしくは未経験からの転職の選択肢に含めるのはあまり現実的ではありません

担当業務の例としては、決算書の作成、法人税・消費税などの確定申告書の作成、月次・年次決算支援、節税など税務・会計観点からの経営改善に関するアドバイスなどが挙げられます。

事務所の規模にもよりますが、クライアントは中小企業や個人事業主が中心で、経営者と直接やり取りする機会が多く、経営に近い距離で仕事ができることが特徴です。

事務所の規模や業績、評価、ポジションなどによって変動しますが、中小会計事務所の税務会計スタッフで年収300万〜600万円程度が目安です。






会計系コンサルタント

会計系コンサルティングファームでは、企業の経理・財務領域における課題解決を専門的な立場から支援します。事業会社での経理経験をベースに、よりプロジェクト志向で企業変革に関わりたい皆様方に適したフィールドです。

手がけるプロジェクトの例としては、会計システム導入支援、業務プロセスの可視化・改善、内部統制の構築・高度化支援、M&Aに伴う財務デューデリジェンス(DD)などがあります。

経理部門での経験だけでは触れにくい業務も多い一方で、現場で培った実務感覚は「机上の空論ではない、実行可能な提案」を行ううえで大きな強みとなります。

会計系コンサルタントへの転身では、会計知識に加えて、論理的思考力やプロジェクトマネジメント能力、クライアントと信頼関係を築くコミュニケーション力など、コンサルタントとしての基礎スキルも求められます。

ファームの規模や業績・評価、ポジションなどによって変動しますが、コンサルタントの年収は700万〜1,100万円程度が目安で、成果次第では短期間での年収アップも可能です。




財務部門

財務部門は、経理部門と密接に連携しながらも、より戦略的な視点で企業の資金繰りや資金調達を担う部門です。経理が「過去の数値を正確に記録・報告する」役割であるのに対し、財務は「未来に向けた資金戦略を立案・実行する」役割を担います。

主に担当するのは、資金繰り管理や銀行との融資交渉、資金調達、為替リスク管理、余剰資金の運用など、企業の“お金の流れ”をコントロールする実務です。

経理で鍛えた財務諸表の読解力やキャッシュフロー分析のスキルは財務部門との親和性が高く、特に資金繰り表の作成や分析において、決算業務の経験が武器になります。

経理から財務へのシフトは、同じ管理部門内のため比較的スムーズに進められます。まずは社内異動で実務経験を積み、その後に転職を目指すのが王道のルートです。

年収は企業規模や年次、業績や評価、ポジションなどによって変動しますが、例えば大手上場企業のスタッフクラスで450万〜700万円程度、新興上場企業のスタッフクラスで400万〜600万円程度が目安です。




経営企画部門

経営企画部門は、企業の中長期的な成長戦略を立案し、その実行を推進する部門です。経営層に最も近い立場で、会社の方向性を決める“司令塔”としての役割を担います。

具体的には、中期経営計画の策定や予算編成・予実管理、新規事業の企画立案、M&Aの検討と実行支援、KPI設計とモニタリングなど、多岐にわたる業務を担当します。

経理で培った数値分析力や財務諸表の理解は、事業計画の策定や投資判断の妥当性を検証するうえで不可欠なスキルです。

経営企画部門への進路は、「経理から一歩踏み込み、より経営に近い立場へ進むステップアップ」として人気を集めています

一方で、財務会計の知識だけでなく、事業そのものへの理解や市場・競合のリサーチ力、戦略的思考力も求められるため、幅広いインプットが欠かせません。

そこでまずは、社内異動で実務経験を積み、その後に転職を目指すのが着実なステップです。

年収は企業規模や年次、業績や評価、ポジションなどによって変動しますが、大手上場企業のマネージャークラスで800万〜1,500万円程度、新興上場企業のマネージャークラスで800万〜1,200万円程度が目安です。




内部監査部門

内部監査部門は、企業の業務プロセスやリスク管理体制が適切に機能しているかを、独立した立場から評価し、改善・提言を行う部門です。コーポレートガバナンスの強化が求められる現代において、「内部監査」の重要性は年々高まっています

実際の業務としては、年次監査計画の策定、業務監査・会計監査の実施、内部統制の評価、監査報告書の作成や改善提案のフォローなどが挙げられます。

経理での決算業務経験や会計基準への理解は、会計監査を行う場面で大きな強みとなり、現場の実務感覚を踏まえた指摘や助言につながります。

内部監査部門では会社全体の業務プロセスを俯瞰できるため、経営幹部を目指す場合の“土台作り”としても有効です。このキャリアを目指すなら、いきなり転職するのではなく、まずは社内異動で経験を積むことが重要になってきます。

そして、十分に経験を積んだ後に転職をして、さらなるキャリアアップを目指すのが堅実でスムーズな進め方です。

年収は企業規模や年次、業績や評価、ポジションなどによって変動しますが、大手上場企業のスタッフクラスで400万〜700万円程度、新興上場企業のスタッフクラスで400万〜650万円程度が一般的です。




IR担当者

IR担当者は、投資家や株主とのコミュニケーションを担当し、企業の価値や戦略を適切に市場へ伝える役割を担います。上場企業にとっては、株主・投資家からの信頼を高めるための“顔”となる重要なポジションです。

主な業務は、決算説明会の企画・運営、IR資料の作成、投資家との個別面談、株主総会の運営サポート、適時開示資料の作成などです。

経理での決算業務経験や開示資料作成の経験は、IR担当者になってもそのまま活かせる実務スキルです。

IR担当者へのキャリアチェンジでは、経理・財務のバックグラウンドに加え、対投資家コミュニケーション力や分かりやすく説明するプレゼンテーション力が重視されます。英語力があれば海外投資家対応も任されるようになり、活躍の場がさらに広がります。

年収は企業規模や年次、業績や評価、ポジションなどによって変動しますが、大手上場企業のスタッフクラスで600万〜800万円程度、新興上場企業のスタッフクラスで500万〜700万円程度が目安になります。




税理士法人

税理士法人では、複数のクライアント企業に対して税務申告や経理支援などの一連の会計業務フロー全体をサポートします。事業会社の経理とは異なり、多様な業界・規模の企業に関わることができる点が魅力です。

担当業務の例としては、法人税・消費税などの税務申告書の作成、会計記帳の作成代行、月次・年次決算支援、税務相談、経営改善に関するアドバイスなどが挙げられます。

事業会社の経理での実務経験は、クライアント企業の実態や課題を理解する上で大きなアドバンテージとなります。

業績や評価、ポジションなどによって変動しますが、中小税理士法人のスタッフで年収300万〜550万円程度からスタートし、経験を積んでマネージャークラスになると600万〜1,100万円程度が目安です。





経理・財務の転職ならCPASSキャリア

経理からの転職で評価される経験・スキル

経理からキャリアチェンジする際、どのような経験やスキルが経理の転職市場でポイントとなるでしょうか。こちらでは、転職活動において特に高く評価されやすい経験・スキルについて解説します。

自身がこれまでに積んできた経験を棚卸しし、強みとして効果的にアピールできるよう整理しておくことが欠かせません。



経理からの転職で評価される経験・スキル

(CPASSキャリア編集部 作成)




日次・月次・年次決算に関する実務経験

決算業務の経験は、経理からの転職において最も基本的かつ重要な評価ポイントです。

日次での仕訳処理、月次での試算表作成、年次での決算書作成といった一連の流れを理解し、実務として遂行できることは、財務会計の基礎力を示す指標となります。

特に、月次決算の早期化に取り組んだ経験や、決算プロセスの効率化を実現した実績は、業務改善能力の証明として高く評価されます

「月次決算の締め対応日数を10営業日から5営業日に短縮した」「自動仕訳の仕組みを導入し、作業時間を30%削減した」といった具体的な成果は、選考でも効果的なアピールポイントになります。






連結決算や有価証券報告書・決算短信などの開示資料の作成

上場企業での経理経験者にとって、連結決算や開示資料作成の経験は大きな強みとなります。連結決算では個別決算とは異なる専門知識が求められるため、この経験があることで転職市場での評価が高まります。

連結仕訳の作成、セグメント情報の集計など、高度な会計処理を扱った経験は、上場企業やIPO準備企業において、即戦力として評価されやすいです。

有価証券報告書や決算短信などの開示資料作成の経験も、IR部門や財務部門への転職で必須のスキルです。

また、上場企業に義務付けられている制度であるJ-SOX(内部統制報告制度)の対応も、上場企業やIPO準備企業への転職において有利に評価される経験といえます。




税務申告や税務調査への対応

税務に関する実務経験は、会社法や税法に関する基礎的な理解があると評価されやすく、経理転職活動において有利に働く可能性が高いといえるでしょう。税務調査への対応経験も貴重です。

税務署との折衝、調査資料の準備、指摘事項への対応といった経験は、税務の実務能力を示す具体的な証拠となります。

また、税効果会計の実務経験も採用側が魅力に感じやすいポイントです。こうした経験は、特に少数精鋭で業務を担う中小企業や会計事務所の選考で、高く評価される傾向にあります。




M&AやIPOに関する経験

M&AやIPOに関する経験は、キャリアチェンジにおいて高く評価されるスキルのひとつです。

買収対象企業のデューデリジェンスへの参加、買収後の会計システム統合、連結決算への取り込みなどの経験は、経営企画部門や会計系コンサルティングファームへの転職で強みとなるでしょう。

IPO準備に関する経験、なかでも達成経験は希少性があり、貴重です。上場準備のための内部統制構築、監査法人との折衝、開示資料の作成支援などの経験は、IPO準備企業への転職やコンサルティング業務で活かせます。




管理会計経験

社内向けの会計手法である管理会計経験も、経理人材の転職で評価されやすいスキルのひとつです。管理会計の業務内容は幅広く、代表的なものとしては、製造業における原価計算や、予算と実績の差異分析などが挙げられます

これらの業務は、コストや収益構造を可視化し、経営陣やマネジメント層の意思決定を支援する役割を担います。

また、管理会計の業務は管理部門内で完結するものではなく、他部署・他部門との連携が欠かせません。こうした管理会計のスキルや実務経験は、経営視点を持った人材として評価されやすく、経営企画部門をはじめ転職市場で高く評価される傾向にあります。





経理からキャリアチェンジ転職を目指す場合の成功のポイント

経理からキャリアチェンジ転職を目指す場合の成功のポイント

経理からのキャリアチェンジを実現させるには、計画的かつ戦略的なアプローチが必要です。こちらでは、キャリアの転換を成功に導くために押さえておきたい4つの視点を解説します。






まずは、実務で得た成果や身につけたスキルを整理する

転職活動の第一歩は、自身のこれまでの経験とスキルを客観的に棚卸しすることです。担当してきた企業の業種や業務内容、達成した成果、直面した課題とその解決方法、身につけた専門知識などを書き出してみましょう

特に、数値で示せる成果は説得力が高まります。「経費精算システムの導入により、月間処理時間を40時間削減した」といったように具体的に整理していきましょう。




転職したい業務領域で求められるスキルや応募要件を把握する

自身の経験・スキルの棚卸しができたら、次は転職したい領域で求められるスキルや要件を調査します。興味のある職種の求人情報を複数確認し、共通して求められているスキルや経験を把握しましょう。

求められるスキルと自身の現状とのギャップがある場合は、そのギャップを埋めるためのアクションを起こしましょう。

不足しているスキルを習得するために、現職での業務の中で経験できる機会を探したり、資格取得や自己学習を通じて知識を補完したりすることが必要です。




転職後の各実務にも活用できるソフトスキルを磨いておく

次のステージへ移行するためには、専門知識だけでなくソフトスキルの向上も欠かせません。特に、キャリアチェンジでは未経験の領域に挑戦するため、学習能力やコミュニケーション能力といった基礎的な能力が重視されます。

コミュニケーション能力は、どの職種・ポジションでも重視されるスキルです。複雑な会計処理を分かりやすく説明する力や、異なる立場の人と協力して業務を進める調整力を磨いておくことが求められます。

論理的思考力とプレゼンテーション能力も鍛えておきたいスキルです。




転職エージェントを活用する

キャリアチェンジを伴う転職では、専門的なサポートを受けることが成功への近道となります。特に、会計ファイナンス人材に特化した転職エージェントの活用は非常に有効です。

業界特化型の転職エージェントは、総合転職サイトやエージェントでは紹介されない非公開求人を保有しています。

また、各企業の詳細な情報や、経理からキャリアチェンジする際の課題やアピールポイントを熟知しているため、あなたの状況に即した適切なアドバイスやサポートを受けられます。



経理・財務の転職ならCPASSキャリア

経理からの転職で悩んだら「業界特化型転職エージェント」にご相談ください

経理からの転職で悩んだら「業界特化型転職エージェント」にご相談ください

経理からのキャリアチェンジにおいて、自分一人で情報収集から応募書類の作成、面接対策まで進めるのは容易ではありません。そこで活用したいのが、会計ファイナンス人材に特化した転職エージェント「CPASSキャリア」です。

「CPASSキャリア」の強みは、単なる求人紹介にとどまらない総合的なサポート力です。丁寧なヒアリングを通じて、あなたの経験やスキル、価値観、将来のビジョンを整理し、最適な転職先やキャリアパスを提案します。

経理から転職したいが、具体的にどの領域が自分に合っているか分からない」という段階でも、一緒にキャリアプランを考えます。

また、応募書類の添削や面接対策も充実しており、経理からキャリアチェンジする際の効果的な自己PRの組み立て方、志望動機の説得力を高める方法など、きめ細かなサポートを提供します。




まとめ

経理実務を通じて身につけた知識やノウハウは、多様な業界・領域で高く評価されます。現状に不安を感じている方も、適切な準備と戦略があれば、理想のキャリアチェンジは十分に実現可能です。

転職成功の鍵は、自身の経験・スキルの棚卸し、転職先で求められる要件の把握、ソフトスキルの向上、そして専門的なサポートの活用です。

今の環境で不安を感じているなら、それはキャリアを見つめ直す良い機会です。企業経営の基盤となる経理・財務の知識を持つ人材として、あなたの市場価値をさらに高めてみませんか

「CPASSキャリア」は、あなたの長期的なキャリアビジョンの設計と実現をサポートします。



経理・財務の転職ならCPASSキャリア

CPAグループは

CPAグループは
会計ファイナンス人材の
キャリアをサポートし続けます