公認会計士がベンチャー・スタートアップ企業に転職するには?メリットや年収、キャリアパスを解説!

公開日:2026.04.29

最終更新日:2026.04.29

公認会計士がベンチャー・スタートアップ企業に転職するには?メリットや年収、キャリアパスを解説!

監査法人でのキャリアを積んだ公認会計士のなかで、さらなる成長機会や裁量の大きい環境を求めて、ベンチャー・スタートアップ企業への転職を検討する方が増えています。

自分の可能性を試したい、将来はCFO(最高財務責任者)など経営幹部として企業経営に携わりたいと考える会計士にとって、ベンチャー、なかでもスタートアップ企業は魅力的な選択肢です。

そこで本記事では、ベンチャー・スタートアップ企業(以下、本文ではスタートアップ企業を中心に扱う)への転職を検討する公認会計士に向けて、ベンチャー・スタートアップ企業の定義や特徴から、具体的なポジション別の年収目安やキャリアパス、転職成功のポイントまで実務的な視点で詳しく解説します。



記事の監修者

CPAエクセレントパートナーズ 松岡宏紀

松岡 宏紀

2007年、公認会計士試験に合格。EY新日本有限責任監査法人にて、監査・アドバイザリー業務に加え、社内外での研修講師や研修プログラムの作成・管理などに従事。現在、CPAエクセレントパートナーズ株式会社において、コンテンツの作成、監修を担当。





ベンチャー・スタートアップ企業とは?|定義と特徴を解説!

ベンチャー・スタートアップ企業への転職を検討するにあたり、まずはベンチャー・スタートアップ企業とは何かを正しく理解することが重要です。

一般的なイメージだけで判断せず、定義や特徴を把握した上で自分に合った転職先を見極める必要があります。




ベンチャー・スタートアップ企業の定義

ベンチャー企業・スタートアップ企業とは、いずれも革新的なビジネスモデルや技術を活用し、成長を目指す企業を指す言葉です。

日本では両者が同義で使われることも多いものの、実際にはその意味合いには違いがあります。

スタートアップ企業は、シリコンバレー発のグローバル基準の呼称であり、ビジネスモデルの革新性や社会課題の解決力に加え、IPOやM&Aといった明確な出口戦略を前提に、短期間で大きなリターンを生み出すことを目指す企業を指します。

一方、ベンチャー企業は日本発の呼称(和製英語)であり、新規事業に挑戦する企業全般を指す、より広い概念です。

設立年数が浅い企業やスモールビジネスを展開する企業なども含まれ、必ずしも急成長や出口戦略を前提とするとは限りません。

本記事では、こうした違いを踏まえ、「スタートアップ企業」を対象として解説を進めていきます

スタートアップ企業は、事業の進捗に応じてシード期・アーリー期・ミドル期・レイター期といった成長フェーズに分類されるのが一般的です。

公認会計士の転職先として特に注目されるのは、VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達を受け、事業拡大を本格化させるミドル期以降や、IPO(新規株式公開)を目指す企業です。

これらのフェーズでは、事業成長に伴い、財務戦略の立案や管理体制の整備が経営上の重要課題となります。

そのため、決算体制の構築、資金管理、内部統制の整備などを担える会計・財務の専門人材に対するニーズが高まる傾向にあります。


スタートアップ企業の特徴

スタートアップ企業は、明確な出口戦略(IPOやM&A)を前提に、短期間で事業をスケールさせ、大きなリターンを生み出すことを目指す企業です。

革新的なビジネスモデルや新市場の創出を志向し、仮説検証と意思決定を高速で繰り返しながら、急成長を実現する点が大きな特徴です。

そのため、組織や制度は未整備なことも多く、自ら課題を見つけ、仕組みを構築していく“主体性”が強く求められます

経営陣との距離が近く、意思決定に深く関与できる一方で、裁量の大きさに比例して成果に対する責任やプレッシャーも大きい環境です。






スタートアップ企業の転職事情と公認会計士の採用ニーズ

スタートアップ企業の転職事情と公認会計士の採用ニーズ

スタートアップ企業への公認会計士の転職市場は、ここ数年で大きく拡大しています。

特にIPO(株式上場)を目指すミドル期以降の企業では、正確な財務報告体制の構築や内部統制の整備が不可欠となり、会計ファイナンス人材に対するニーズは非常に高くなっています。

さらに、スタートアップ企業ではベンチャーキャピタル(VC)などから資金調達を行うことが一般的であり、投資家への説明責任を果たすため、正確かつ透明性の高い財務情報の開示が求められます。

こうした背景から、会計基準への準拠、監査対応、開示体制や内部統制の整備といった監査法人での高度な実務経験は、転職市場において大きな強みとなります。

一方で、スタートアップ企業において重視されるのは、経理・財務の専門性だけではありません。

限られた時間とリソースの中で成果を出すスピード感や、事業成長に主体的に関与する姿勢が求められます。

数値分析や管理にとどまらず、ビジネスパーソンとしての総合力が問われる環境といえるでしょう。




公認会計士がスタートアップ企業で転職した際のポジションと年収目安

ベンチャー・スタートアップ企業での公認会計士のポジションと年収目安

(CPASSキャリア編集部作成)


スタートアップ企業ではさまざまなポジションで公認会計士が活躍しており、それぞれ役割や年収が異なります。

企業の成長ステージによっても求められる役割は変化し、年収水準にも大きな幅があります。

ここでは代表的な7つのポジションについて、具体的な業務内容と年収目安を解説します。




経理部マネージャー

経理部マネージャーは、月次・四半期・年次決算を中心に、経理実務をリードする中核人材です。

経理部長を補佐しながら、実務とマネジメントの両面を担います。少数精鋭のスタートアップ企業では、担当範囲が広く、開示資料作成や監査対応にも深く関与します。

年収の目安は600万〜900万円程度で、企業規模や業績、本人の能力や実績次第で変動します。

経理部長へと昇進し、CFOを目指す道も開かれています。


経営企画部マネージャー

経営企画部マネージャーは、中長期の事業計画や予算策定、KPI管理、資金計画の立案などを通じて、経営判断を数字の側面から支える役割を担います。

また、成長戦略の一環としてM&Aを検討・実行するケースもあり、財務デューデリジェンスのサポートや、買収後の事業計画・管理体制の整理などに関与する場面もあります。

経理・財務の知見をベースに、事業全体を俯瞰し、スピーディーに実行・推進することが求められます。

公認会計士の財務分析力や数値への強さは、経営企画業務において大きな武器となる一方で、事業戦略や市場分析、競合調査など、会計以外の幅広い知識も求められます。

経営全般への理解を深めながら、財務面だけでなく事業面からも企業成長に貢献できるポジションといえるでしょう。

年収の目安は800万円〜1,500万円程度で、企業規模や業績、本人の能力や実績次第で変動します。将来の経営幹部候補として位置づけられています。




内部監査部マネージャー

スタートアップ企業では、独立した内部監査部門が設置されていないケースがほとんどです。

IPO準備段階に入ると、監査役や内部監査機能の整備が必要となり、その際にマネージャー(もしくは候補)として、組織の立ち上げから役割を担うことが多いのです。

内部監査部マネージャーは、J-SOX対応を含む内部統制の構築・評価をはじめ、業務プロセスのリスク分析や改善提案、監査法人・経営層との連携を担うポジションです。

スタートアップ企業、特にIPOを見据えたフェーズでは、形式的な制度整備にとどまらず、実効性のある内部統制をスピード感をもって構築できる人材が求められます。

そのため、監査法人で培った内部統制監査や上場支援の経験を持つ公認会計士は、即戦力として高く評価される傾向にあります

年収目安は600万〜1,000万円程度で、企業規模や業績、本人の能力や実績次第で変動します。

内部監査部長など管理部門の責任者、常勤監査役へのステップアップを見据えたキャリア形成が可能です。




経理部長

経理部長は、決算・開示・税務といった会計実務全体を統括する責任者です。スタートアップ企業では既存の経理体制を前提とせず、財務領域も統括する場合もあります。

さらに、業務フローの構築や会計方針の整理、内部統制の整備をプロジェクトとして、推進する役割が求められます。

IPO準備段階では、過年度遡及や監査対応など負荷の高い業務も担います。

年収目安は800万円〜1,200万円程度で、企業規模や業績、本人の実績次第で1,500万円を超えるケースもあります。

CAOやCFOへとステップアップしていく王道のキャリアパスが描けるポジションであり、将来の経営幹部候補として期待されます。




CFO

投資家との折衝、IPO準備のリード、経営会議への参画など経営幹部として幅広い役割を担います。

特にIPO準備においては、監査法人や主幹事証券会社との折衝を主導し、上場スケジュールと品質を担保する重要な役割を果たします。

上場を達成した際の達成感と経験は何物にも代えがたく、その後のキャリアにおいても大きな実績として評価されます。

年収相場は企業の成長ステージによって異なりますが、目安として小規模の企業では800万〜1,200万円程度、中規模の場合は1,200万〜1,800万円程度、従業員200名以上の大規模な企業では1,800万〜2,500万円を超えることも珍しくありません。

ストックオプションの付与も期待でき、現金報酬とあわせた総合的な報酬水準はさらに高くなるケースもあります。




CAO

CAO(最高管理責任者)は、スタートアップ企業の組織基盤を支える司令塔です。

財務・資金管理、人事戦略、リスク管理、情報システム構築といった管理機能全般について、企業が成長し続けるための多彩な業務を担います

特にスタートアップフェーズでは限られたリソースで急成長を目指すため、適切な資金管理と継続的な調達活動、人材の獲得と定着、効率的な体制構築と組織運営という重要な責務を負います。

年収は成長段階にもよりますが、700万円〜1,200万円が目安です。

CAOポジションの経験をもとに、より大規模な企業のCOOやCEOへの道も期待できます。特にIPO経験を持つ場合、転職市場において大きなアドバンテージとなります。


常勤監査役

常勤監査役は、取締役の業務執行を独立の立場で監視・助言し、コーポレートガバナンスの実効性を担保します。

さらにIPO準備中の企業であれば、上場に向けた内部統制整備や財務監査の調整も、常勤監査役の重要な業務になります。

監査法人での豊富な経験を持つ公認会計士は、経理・財務面だけでなく内部統制やリスク管理の観点からも適切な助言ができるため、常勤監査役として高く評価されます。

年収の目安は600万〜1,200万円程度、企業規模や業績、就任するタイミング、勤務日数、本人の能力・実績次第で大きく変動します。

執行側のポジションとは異なり、独立した立場でコーポレートガバナンスに関わるという特殊な役割を担いますが、企業の健全な成長を支える重要なポジションです。






公認会計士のスタートアップ企業でのキャリアパス

公認会計士のスタートアップ企業でのキャリアパス

スタートアップ企業でのキャリアは多様な可能性に満ちています。社内での昇進や他社への転職など、将来のキャリアパスを理解した上で転職先を選ぶことが重要です。

ここでは代表的な3つのキャリアパスを紹介します。




社内昇進で上級管理職やCFOを目指す

スタートアップ企業では、成果を出せば年齢や経験年数に関係なく早期に昇進できる環境があります。

例えば、経理部マネージャーから経理部長、そしてCAOやCFOといった経営幹部にまで昇進していくケースが考えられます。

企業の成長フェーズや本人の実力次第ではありますが、20代後半〜30代前半でもCFO候補として、若手のうちから経営に参画することもあります。

また、スタートアップ企業においては、その成長フェーズに応じて求められる役割が変化する点も特徴です。

アーリー期では会計・管理体制の立ち上げ、ミドル期以降は資金調達やIPO準備、上場後はガバナンスや管理体制の高度化など、ステージごとに異なる経営課題に向き合う経験を積むことができます。

こうした一連の経験を通じて、経理・財務にとどまらず、経営課題に向き合いながら意思決定を支える力が身に付きます

その結果、“経営を担える人材”としての市場価値を高めることにつながります。


大手上場企業や新興上場企業へ転職

ベンチャー企業で培った経験は転職市場で非常に高く評価される傾向にあります。

特に、IPO準備、資金調達、管理体制の構築といった経験は、他企業でも再現性の高いスキルとして評価されやすいポイントです。

少なくともマネージャー、部長クラスの経験を有していることが前提となりますが、大手上場企業の経理部門や財務部門のマネージャーとして、安定した基盤のもとで高度な専門業務に携わるキャリアが考えられます。

一方、新興上場企業では上場後の成長フェーズで、管理体制の強化や業務高度化を担う中核人材として活躍することも可能です。


コンサルティングファームや投資銀行へ転職

コンサルティングファームのアドバイザリー部門や投資銀行、PEファンド、ベンチャーキャピタルといったファイナンス領域へのキャリアチェンジも可能です。

スタートアップ・ベンチャー企業で培った経理・財務の実務経験は、コンサルティングファーム投資銀行といったプロフェッショナルファームへの転職においても評価されることがあります。

特に、事業計画の策定、資金調達、IPO準備、管理体制の構築に携わった経験は、クライアントの経営課題に向き合う業務との親和性が高いといえます。

もっとも、これらの領域では高い専門性に加え、スピード感や論理的思考力、タフな業務環境への適応力も求められます。

そのため、スタートアップ企業での経験を通じて、経理・財務の実務にとどまらず、事業や経営の視点を持って意思決定に関与してきたかどうかが、転職成功の重要なポイントとなります。



公認会計士必見!スタートアップ企業転職に向いている人の特徴

公認会計士のベンチャー・スタートアップ企業への転職が向いているかのチェックリスト

(CPASSキャリア編集部作成)


スタートアップ企業で活躍できる人材には共通の特徴があります。

自分がスタートアップ企業に向いているかどうか、以下の3つの特徴と照らし合わせて確認してみましょう。




前向きで成長意欲がある|ビジネスパーソンとして大きく成長できる

スタートアップ企業では前例のない状況に直面することが日常的にあります。

整備されたマニュアルや手厚い指導体制があるとは限らず、自ら考え、行動し、常にPDCAを回しながらスピーディーに成長していく姿勢が求められます。

また会計の領域を超えて事業戦略、マーケティング、組織づくりなど幅広い分野に興味を持ち学び続ける意欲が必要です。

もちろん困難も多い環境ですが、その分、経営の意思決定に近い立場で実務を担う経験を積むことができます。

こうした経験を通じて、ビジネスパーソンとしての視野や対応力が飛躍的に広がり、将来的なキャリアの選択肢を増やすことにつながります


全社横断し動かすコミュニケーション能力がある|組織を動かし結果を出すマネジメント能力が身に付く

スタートアップ企業では組織規模が比較的小さく、部門間の壁が低いため、全社横断で業務を進める場面が多くあります。

経理や財務の“プロ”として経営陣、営業、開発、マーケティングなどさまざまな部門と連携しながら業務を進める必要があります

監査法人では「指摘する側」の立場で関与することが中心ですが、スタートアップ企業では事業を前に進める「当事者」としての視点が不可欠です。

フラットな関係性の中で信頼関係を築き、関係者を巻き込みながら財務面から事業成長を支える経験を積むことができます。

こうした経験を通じて、組織を動かし、成果につなげるマネジメント力が身に付いていきます。


企業が掲げるミッションやビジョンに深く共感できるか|経営幹部として企業成長にフルコミットできる

スタートアップ企業では、急成長を目指す過程で、難易度の高い意思決定と迅速な実行が求められます。

こうした環境で失敗をおそれず活躍していくためには、その企業が目指すミッションやビジョンに深く共感し、そのためにコミットできるかが重要です。

日々さまざまな課題に向き合い、最適な解決策を見つけ、ときには自らつくり上げていくーそんな刺激的な経験が得られる一方で、報酬面では必ずしもそのコミットに見合ったリターンを実感しにくい場合もあります。

そうした状況において支えとなるのが、「ミッション・ビジョンへの深い共感」です。

会社の成長を自分ごととして捉えながら、成果を積み重ねていくことこそが、スタートアップで働く醍醐味です。

こうした考え方や姿勢はメンバーや管理職に限らず、経営幹部として企業経営に関わるうえでも欠かせない素養といえます。






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スタートアップ企業への転職はキャリアにおける大きな転機となります。

CPASSキャリア」は公認会計士をはじめとする会計ファイナンス人材の転職支援に特化したエージェントです。

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まとめ

公認会計士としてのキャリアを飛躍させたい方にとって、スタートアップ企業への転職は魅力的な選択肢の一つです。

監査法人やコンサルティングファームなど他の業種では得られない幅広い経験と大きな成長機会があり、企業経営の多様な側面に関わることで将来的にCFOとして活躍する道も開けます

転職を成功させるためには、長期的なキャリア設計に基づいた準備を進めながら、転職後にも活きる経験・スキルを意識的に獲得していくことが重要です。

企業選びが成否を分けるため、公認会計士のスタートアップ企業でのキャリア形成に精通し、幅広い業界・業種に知見を持つ転職エージェントを活用することで、より確かな判断が可能となります。

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