「マネージャーになってから転職するか、その前に転職するか悩んでいる。」
「次の目標が見つからない。キャリアの考え方がわからない。」
「監査でどういう経験を積めば、今後のキャリアにつながるかわからない。」
公認会計士のファーストキャリアは監査法人が一般的ですが、転職を検討し始めているという方も多いのではないでしょうか。また、既に転職して別の企業に移ったけれど、また新しいキャリアに向けて転職を考えている方もいるかもしれません。
結論から申し上げると、公認会計士の転職事情は「売り手市場」が続いており、年収アップを含めて優良な転職先を見つけられる可能性が高いといえます。
その上で、転職先によってその後のキャリアの方向性や働き方(ワークライフバランス)、年収などの待遇も大きく変わっていきます。
【公認会計士の7つの転職先】
転職先 | 年収レンジ | 働き方・特徴 |
監査法人 | 500~2,000万円程度 代表社員はそれ以上 | 繁忙期は残業が続く傾向がある。 リモートワークやフレックスタイム制度、産休・育休制度が充実している。 |
税理士法人・会計事務所 | 500~2,000万円程度 パートナーはそれ以上 | 法人の規模に左右されるが、大手では繁忙期は残業が続く傾向があるが、リモートワークやフレックスタイム制度、産休・育休制度が充実している。 |
コンサルティングファーム(アドバイザリー含む) | 600~3,000万円程度 パートナーはそれ以上 | プロジェクト単位で業務が行われ、プロジェクトの完了期日が近づくと、非常に忙しくなる。 一方、プロジェクト終了後はまとめて有給休暇を取得できることもある。 |
大手・上場企業 | 600~1,500万円程度 役員クラスはそれ以上 | 十分な休日数に加えて、リモートワークやフレックスタイム制度、豊富な福利厚生などがそろっており、長期就業がしやすい。 |
ベンチャー企業 | 500~1,000万円程度 役員クラスはそれ以上 別途ストックオプション | 経営層からの業務依頼や、上場準備等の難易度の高い業務に対応するため忙しいが、上場の達成などやりがいが大きい。 |
外資系企業 | 600~2,000万円程度 役員クラスはそれ以上 | ダラダラと残業はせず、限られた時間内に課せられたタスクを効率よくこなす必要がある。 一方で、時差を考慮しながら業務を行う場合もある。 |
金融機関(銀行系・投資系) | 700~5,000万円程度 実績に応じてそれ以上 | ポジションや配属先にもよるが非常に忙しい。入社一年目から比較的給与は高く設定されていることが多い。 |
そこでこの記事では、上記のような7つのフィールドについて詳しく解説するとともに、自分に合う転職先を見つけるポイントについても解説します。
公認会計士の資格を活かして後悔のない転職を実現したい方は、ぜひこの記事を参考にしていただき、理想のキャリアパスを描いていきましょう。
1. 公認会計士の転職事情|売り手市場で好待遇が期待できる

まずはざっくりと「公認会計士の転職ってどうなの?」という部分について解説していきます。
1-1. 公認会計士の転職事情1:売り手市場が続いている
公認会計士の転職市場は「売り手市場」が続いており、転職成功の可能性は高く、さらに年収などの待遇もアップさせやすい状況と言ってよいでしょう。
主な理由として、多くの監査法人や一般事業会社で、公認会計士が足りていないからです。
公認会計士の人手が不足している理由としては、「公認会計士の働き方が多様化したから」という理由に加えて、「公認会計士を必要とする業務が増加したから」という理由もあります。
公認会計士の登録者数自体は増えていますが、「監査法人で働き続ける」という考え方が刷新され、一般事業会社やコンサルティングファーム、会計事務所など働く先の選択肢が増えています。
そして、企業側は、会計基準の高度化、事業の高度化により複雑な会計処理が必要になるケースが増えていることから、企業はより高度な会計知識とスキルを持った人材を必要としています。
このような事情から、「公認会計士が欲しい」という需要は今後も続くと考えられます。
1-2. 公認会計士の転職事情2:人気の転職先にも変化があった
また、公認会計士の働く意識にも変化が出てきています。今までは「BIG4などの大手監査法人」が王道の勤務先でしたが、最近は「コンサルティングファーム」や「税理士法人・会計事務所」、「特化型の中小監査法人」に転職するという方や、「ホワイトな働き方ができる大手上場企業」に転職する方も増えてきています。
ただし、転職先によってその後のキャリアの方向性が決まってくるケースも多く存在します。そして、キャリアの方向性によって、働き方や年収イメージも異なってきます。だからこそ、自分のキャリアのゴールを描いた上で、戦略的に転職先を決めることが大切です。
2. 公認会計士の7つの転職先とキャリアの方向性

冒頭でも記載した通り、公認会計士が力を発揮できる場所は監査法人だけでなく、様々です。
公認会計士の転職先には、(1)監査法人、(2)税理士法人・会計事務所、(3)コンサルティングファーム(アドバイザリー含む)、(4)大手・上場企業、(5)ベンチャー企業、(6)外資系企業、(7)金融系機関と、大きく分けて7つの選択肢があります。
そして、同じ公認会計士でも、転職する先によって、年収のレンジや働き方(ワークライフバランス)、将来拓けるキャリアパスも違ってくるため、転職前に十分にリサーチしておく必要があります。
その方の状況や個別の勤務先によってもかなり違いますが、簡単にまとめたのが以下の表となります。
【公認会計士の7つの転職先】
転職先 | 年収レンジ | 働き方・特徴 |
監査法人 | 500~2,000万円程度 代表社員はそれ以上 | 繁忙期は残業が続く傾向がある。 リモートワークやフレックスタイム制度、産休・育休制度が充実している。 |
税理士法人・会計事務所 | 500~2,000万円程度 パートナーはそれ以上 | 法人の規模に左右されるが、大手では繁忙期は残業が続く傾向があるが、リモートワークやフレックスタイム制度、産休・育休制度が充実している。 |
コンサルティングファーム(アドバイザリー含む) | 600~3,000万円程度 パートナーはそれ以上 | プロジェクト単位で業務が行われ、プロジェクトの完了期日が近づくと、非常に忙しくなる。 一方、プロジェクト終了後はまとめて有給休暇を取得できることもある。 |
大手・上場企業 | 600~1,500万円程度 役員クラスはそれ以上 | 十分な休日数に加えて、リモートワークやフレックスタイム制度、豊富な福利厚生などがそろっており、長期就業がしやすい。 |
ベンチャー企業 | 500~1,000万円程度 役員クラスはそれ以上 別途ストックオプション | 経営層からの業務依頼や、上場準備等の難易度の高い業務に対応するため忙しいが、上場の達成などやりがいが大きい。 |
外資系企業 | 600~2,000万円程度 役員クラスはそれ以上 | ダラダラと残業はせず、限られた時間内に課せられたタスクを効率よくこなす必要がある。 一方で、時差を考慮しながら業務を行う場合もある。 |
金融機関(銀行系・投資系) | 700~5,000万円程度 実績に応じてそれ以上 | ポジションや配属先にもよるが非常に忙しい。入社一年目から比較的給与は高く設定されていることが多い。 |
7つの方向性それぞれについて、転職先の概要や年収イメージ、働き方などを詳しく解説していきます。
2-1. 公認会計士の転職先1:監査法人
年収レンジ | 働き方・特徴 |
500万~2,000万円程度 代表社員はそれ以上 | 繁忙期は残業が続く傾向がある。 リモートワークやフレックスタイム制度、産休・育休制度が充実している。 |
公認会計士の転職先としてまず挙げるのが、王道の監査法人です。
公認会計士試験に合格後、多くの方がファーストキャリアに選ぶのは監査法人キャリアでしょう。
最近の傾向として、大手監査法人から、中小監査法人に転職する方も増えています。
その理由としては、
中小監査法人では、業務の幅が広く、法人によっては副業が認められる場合もあり、多様な働き方を実現しやすい。
大手監査法人と比較して人数が少ないため、若いうちから責任のある業務を経験できる機会が多い。
監査法人を転職先として選ぶメリットとしては、役職に応じた年収の目安が比較的明確であり、キャリアパスを描きやすい点が挙げられます。一定の経験と能力があれば、役職に応じて昇給し、安定した収入を得ることが期待できます。年収1,000万円を目指すことも十分に可能です。
また、監査法人での経験は、その後のキャリアにおいて一定の信頼性を担保するものとして評価される傾向があります。
ただし、確実に高年収を狙える一方で、「激務傾向にある」というデメリットがあります。特に繁忙期は残業を余儀なくされることが多くなります。しかし、残業が繁忙期でも極めて少ない中小監査法人もあるため、自分が望むワークライフバランスを追求することができるフィールドであるとも言えます。
公認会計士の独占業務である「監査」を続けたい方は、理想の働き方が実現可能な監査法人に転職して、自分が求める方向性でキャリアを歩んでいくのもおすすめです。
2-2. 公認会計士の転職先2:税理士法人・会計事務所
年収レンジ | 働き方・特徴 |
500万~2,000万円程度 パートナーはそれ以上 | 法人の規模にも左右されるが、大手では繁忙期は残業が続く傾向があるが、リモートワークやフレックスタイム制度、産休・育休制度が充実している。 |
公認会計士の転職先として、税理士法人・会計事務所で税務業務に関わっていくという選択肢もあります。
公認会計士の資格を持っている方は税理士登録のための試験が全科目免除され、税法に関する所定の研修を修了するだけで税理士資格を取得できます。税理士として税理士法人への転職活動を行うことができるため、「転職が成功しやすい」点は大きな利点です。
税理士にキャリアチェンジした場合の業務内容としては、税理士の独占業務である「税務の代理」「税務書類の作成」および「税務相談」から始まることが多いです。
税理士法人への転職がおすすめなのは、幅広く深く税務業務に関わって経験を積んで、将来的に税理士の肩書きで「税務のプロフェッショナルになりたい」「個人事務所を開業したい」という方です。
※公認会計士の独占業務である「監査」は大企業がクライアントになるため、会計事務所としての独立は難易度が高く、税理士事務所として独立・開業する方が多いという事情があります。
一方で、税理士法人に転職することで税務を中心とした仕事内容に限られてしまうため、その後のキャリアを狭めてしまう可能性があります。
キャリアの方向性をしっかり固めた上で、税理士へのキャリアチェンジが自分に合っているか判断して転職先を決めていきましょう。
監査法人への転職を検討中の方におすすめの求人例 某監査法人/監査業務 ・勤務地:東京 ・担当業務:監査業務 ・想定年収:800~1,200万円 ・応募条件:公認会計士かつ監査業務経験3年以上 ・備考:副業可能 |
2-3. 公認会計士の転職先3:コンサルティングファーム(アドバイザリー含む)
年収レンジ | 働き方・特徴 |
600万~3,000万円程度 パートナーはそれ以上 | プロジェクト単位で業務が行われ、プロジェクトの完了期日が近づくと、非常に忙しくなる。 一方、プロジェクト終了後はまとめて有給休暇を取得できることもある。 |
公認会計士の転職先として、コンサルティングファームも人気の選択肢のひとつです。
なお、一般的な定義の「コンサル」というと、経営課題を解決していく「戦略コンサル」をイメージしがちですが、公認会計士の知識・経験を活かせるのは「財務・会計系コンサルティングファーム」や「FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)」という領域になります。
※もちろん、経験を積み重ねていって、戦略コンサルファームに転職する方もいらっしゃいます。
具体的には、M&A(事業承継や買収)を成功させるためのアドバイスや合併するための統合作業、経営状態が厳しい企業や事業の再生支援など、業務内容は多岐にわたります。
コンサルティングファームの年収は高く、若手アソシエイトでも600万〜700万円程度、パートナーになると2,000万円以上のイメージです。経験を積むことで年収800万円や1,000万円程度は十分に目指せます。
ただし、業務負荷やプレッシャーは高めとなっており、労働環境も激務である現場が多いのが実情です。ワークライフバランスを重視する方には、少し厳しい環境かもしれません。
多少激務でも、「やりがいのある仕事を選びたい」「将来のキャリアパスを広げたい」という方に、コンサルティングファームは最適な環境です。ネクストキャリアとしては、戦略コンサルやベンチャー企業の役員(CEO・CFO・CAO)、年収がさらに高い投資銀行、そしてコンサル分野で独立・起業する未来があります。
転職先によって、業務の幅や得意とする領域が変わってくるため、転職前にしっかりと下調べをして、自分の将来のゴールにプラスになるような転職先を選ぶことがとても大切です。
コンサルティングファームへの転職を検討中の方におすすめの求人例 某BIG4コンサルファーム/戦略コンサルタント業務 ・勤務地:東京 ・担当業務:新規事業開発/M&A戦略 ・想定年収:800~2,000万円 ・応募条件:監査業務経験3年以上/TOEIC 900点以上 |
2-4. 公認会計士の転職先4:大手・上場企業
年収レンジ | 働き方・特徴 |
600万~1,500万円程度 役員クラスはそれ以上 | 十分な休日数に加えて、リモートワークやフレックスタイム制度、豊富な福利厚生などが揃っており、長期就業がしやすい。 |
公認会計士が転職先として安定的に人気なのが、大手・上場企業の組織内会計士です。具体的なポストとしては、経理・財務、経営企画、内部監査などが一般的です。
大手・上場企業は、利益率が高く収益が安定していること、年収の水準が高いこと、ワークライフバランスや福利厚生が充実していることなどさまざまなメリットがあります。監査法人はハードワークで残業が多くなりがちなので、ワークライフバランスを求めて大手企業や上場企業に転職したいという方も、多くいます。
組織内会計士のデメリットとして、年齢によっては監査法人より年収が下がりやすいというものがあります。
しかし、大手企業や上場企業でも業界によっては大幅に給与水準が下がらないケースもあり、また福利厚生も充実しているのでこれが人気の理由でもあります。
激務になりやすい監査法人と比べてワークライフバランスに優れており、年収も下がらないとあれば、人気の転職先になるのも納得です。その企業で部長職や幹部・役員クラスを目指せば、さらに年収アップも狙えます。
大手事業会社への転職を検討中の方におすすめの求人例 某大手事業会社/内部監査業務 ・勤務地:東京 ・担当業務:海外子会社を含むグループ全体の内部監査 ・想定年収:700万円~1,200万円 ・応募条件:公認会計士かつ監査業務経験3年以上 |
2-5. 公認会計士の転職先5:ベンチャー企業
年収レンジ | 働き方・特徴 |
500万~1,000万円程度 役員クラスはそれ以上 別途ストックオプション | 十経営層からの業務依頼や、上場準備等の難易度の高い業務に対応するため忙しいが、上場の達成などやりがいが大きい。 |
組織内会計士になるという選択肢の中でも、ベンチャー企業(スタートアップ)やIPO準備会社に転職するという選択肢を選ぶ人も増えてきました。。
特に、大手監査法人で一定の経験を積んだ公認会計士が、ベンチャー企業のCFO(最高財務責任者)など幹部クラスのポストに転職するケースは多くあります。大手企業や上場企業で役職クラスに就くのは難しいですが、ベンチャー企業では公認会計士は優遇されるため、重要なポストに就きやすいといった事情があります。
さらに、20代〜30代の若手の公認会計士の間でも、最近ではベンチャー企業への転職が増えてきている印象があります。ベンチャーは従業員全体の年齢が若いため、20代や30代の会計士でも、「ある程度裁量を持って働けるベンチャー企業」にチャレンジしたいという方が増えています。
上場前のIPO準備会社に転職すれば、IPOの実務に携わることができ、より実務的なスキルが身に付くメリットもあります。さらに自分の頑張り次第でストックオプションを通じて大きな利益を得られる可能性があるのは大きな魅力でしょう。
もちろん、ベンチャー企業への転職には、年収や福利厚生などの待遇面で一時的に変化が生じる可能性や、企業の成長に伴うリスクも伴います。
しかしながら、ベンチャー企業での経験(特にCFOに就任した経験)があると、実力も転職市場価値も上がるため、その後のキャリアパスの選択肢も広がります。企業経営、M&A、IPOの経験、企業会計、資金調達などさまざまなスキルが身に付くため、市場価値の高い人材になれるでしょう。
やりがいを持ちつつキャリアパスの可能性を広げたい方におすすめの転職先です。
ベンチャー会社への転職を検討中の方におすすめの求人例 某ITベンチャー会社/CFO候補 ・勤務地:東京都 ・担当業務:資金調達(エクイティ・デット)の戦略立案と実行 ・想定年収:800万円~1,500万円(ストックオプション含む) ・応募条件:公認会計士かつ監査業務経験8年以上 |
2-6. 公認会計士の転職先6:事業会社(外資系企業)
年収レンジ | 働き方・特徴 |
600万~2,000万円程度 役員クラスはそれ以上 | ダラダラと残業はせず、限られた時間内に課せられたタスクを効率よくこなす必要がある。 一方で、時差を考慮しながら業務を行う場合もある。 |
外資系の一般事業会社は、英語力を活かしたい方や年収アップを実現したい方、海外赴任を目指している公認会計士に人気の転職先です。
外資系企業で公認会計士が転職する場合の募集職種は、経理、会計、財務、内部監査など様々です。仕事内容としては、経理業務や管理会計に関するものの他、本国へのレポーティングや業務フローの改善、経営・財務分析なども担当することが多いでしょう。
外資系企業を転職先に選ぶメリットは、英語力を活かせること、グローバルな働き方を実現できること、給与水準が高いこと、国際業務を経験することでキャリアパスの選択肢を広げられる点があります。
外資系企業は、一人ひとりの専門性・即戦力が重視され、役割が明確になっているなど、日本企業とは異なる働き方の特徴があります。
一方で、外資系企業は「実力主義」の傾向が強く自分で仕事を切り開いていかないといけないため、結果を出すためにはコミュニケーション能力が非常に重要となります。成果が出せれば年収アップを実現できますが、成果を出せない場合はなかなか昇進できないケースもあります。
会計の知識だけでなく英語力を活かしグローバルな働き方をしたい方や、実力で評価されたい方におすすめのキャリアといえるでしょう。
外資系企業会社への転職を検討中の方におすすめの求人例 某外資系企業/経理トップ候補 ・勤務地:東京都 ・担当業務:月次、四半期、年次決算業務の統括、連結決算業務 ・想定年収:1,000~1,800万円 ・応募条件:監査業務経験5年以上/TOEIC 900点以上 |
2-7. 公認会計士の転職先7:金融機関(銀行系・投資系)
年収レンジ | 働き方・特徴 |
700万~5,000万円程度 実績に応じてそれ以上 | ポジションや配属先にもよるが非常に忙しい。入社一年目から比較的給与は高く設定されていることが多い。 |
公認会計士の転職先として最後に紹介するのは、金融機関への転職です。金融機関といっても転職先は幅広く、銀行や外資系銀行、証券会社、投資銀行、ベンチャーキャピタルやファンドなどが当てはまります。
金融機関は、公認会計士の資格を活かす方向性としてはやや異色の転職先かもしれません。なぜならば、金融機関への転職は、公認会計士が必須資格になっていないケースが多いからです。優遇条件に記載はあっても、「公認会計士にしかできない仕事ではない」ケースがほとんどです。
例えば「投資銀行(IBD)」は非常に年収が高くて人気の転職先です。特に外資系投資銀行は年収が高く、20代のアナリストでも年収1,000万円を超えるケースが多く、役職によっては1億円を超える年収を手にする方もいます。
デメリットとしては、かなりハードワークになる点です。転職活動においても「根性があるか」「ストレス耐性があるか」などが必ず見られます。サバイバル精神や意欲、コミュニケーションの高さが問われる傾向にあるため、向いている人と向いていない人がいるかもしれません。
金融機関への転職は、転職先にもよりますが、監査・会計などの経験よりもM&Aや投資判断などの経験が優遇されるケースがあります。そのため、こうした分野の経験を身に着けてから転職するという選択肢もありです。
キャリアの方向性に迷う場合には、公認会計士の転職に強い転職エージェントに相談することをおすすめします。
金融機関(銀行系・投資系)への転職を検討中の方におすすめの求人例 某外資系投資銀行/アソシエイト ・勤務地:東京 ・担当業務:M&Aアドバイザリー業務 ・想定年収:900~1,500万円 ・応募条件:公認会計士かつ、監査業務経験3年以上 |
3. 公認会計士の一般的な転職先の選び方

「2.公認会計士の7つの転職先とキャリアの方向性」では、公認会計士が転職する場合の選択肢を7つ解説しました。ここからは、どの方向性を目指して転職活動を進めるか決めるためのポイントをいくつか解説します。
公認会計士といっても、転職で重視するポイントは人によって180度変わってきます。そのため、自分が重視する選び方のポイントを見つけることが大切です。
公認会計士が自分に合う転職先の選び方4つ |
---|
・選び方1:転職後に目指したい年収の高さで選ぶ ・選び方2:将来目指す目標達成に必要な転職先を選ぶ ・選び方3:理想的なワークライフバランスを実現できる転職先を選ぶ ・選び方4:やりがいを重視して転職先を選ぶ |
ここで解説するポイントを見て、「自分が転職において重視したいポイントはどれか」を確認してみてください。
3-1. 選び方1:転職後に目指したい年収の高さで選ぶ
公認会計士が転職先を選ぶ場合に重視すべきポイントのひとつは、転職後の年収です。
転職直後の待遇はもちろん、「転職した後にどのレベルまで年収が上がる見込みがあるのか」を考えることも重要です。
▼高年収を目指したい場合の転職先候補
転職先候補 | 概要 |
投資銀行(特に外資系) | ・公認会計士のキャリアの中でも特に年収水準が高い ・若くても1,000万円~2,000万円を目指せる |
コンサルティングファーム | ・BIG4を中心に、高年収を得られる |
外資系企業 | ・成果を出せば、高年収を得られる |
大手・上場企業 | ・ワークライフバランスを重視しながら、高年収を得られる |
監査法人 | ・順当に役職を上げていけば、安定して高年収を得られる |
一方で、キャリアチェンジをして、一時的に年収が下がっても「やりがいを重視したい」「そこでしか得られないポジションや経験を獲得したい」という考え方もあります。
例えば、税理士法人・会計事務所への転職は、年収が下がる可能性もありますが、体系的に税務業務を身に着けて独立したい方には向いています。また、ベンチャー企業への転職も年収が下がる可能性はありますが、CFO(最高財務責任者)になりたい人にとっては他では得られない価値があるでしょう。
その後のキャリアを見据えて、あえて年収を落としても経験・実績を積むという考え方もあります。
3-2. 選び方2:将来目指す目標にプラスになる転職先を選ぶ
公認会計士が転職先を選ぶ場合に、自身が目指すキャリアのゴールを考えて、その目標達成を実現するために転職先を選ぶという考え方もあります。
例えば、現職が監査法人の「監査部門」の場合、将来、財務コンサルティングなどをメインに独立・開業したい場合には、コンサルティングの経験・実績を積む必要があります。目標に対して足りていない部分を、転職先で身に着けようという考え方です。
さらに、転職する先によってクライアントも変わってくるため、構築していきたい人脈を戦略的に築くことも可能です。
▼転職先別のその後のキャリアの方向性
転職先候補 | その後のキャリア |
監査法人 | 王道なので、その後のキャリアの選択肢が広がる |
税理士法人・会計事務所 | 独立して個人事務所を作りたい方に向いている |
コンサルティングファーム(アドバイザリー含む) | 戦略コンサル・ベンチャー企業CFO・投資銀行・独立など |
大手・上場企業 | 有名企業・大企業への在籍歴は武器になるため、キャリアの選択肢が広がる |
ベンチャー企業 | ベンチャーCFO、大手企業・M&Aコンサル・独立など |
外資系企業 | 海外勤務・CFO・独立など |
金融機関(銀行系・投資系) | 独立・CFOなど |
このように、転職先を決める時には、待遇ややりがいはもちろん、将来自分が目指したい方向性にプラスになるかどうかを考えることも非常に大切となります。
3-3. 選び方3:ワークライフバランスを重視して転職先を選ぶ
最近では、ワークライフバランスを重視した転職も人気です。
「忙しくてもいいから、とにかく稼ぎたい!」という方とは対極に、「年収が下がってもワークライフバランスを重視したい」という転職者も多くいます。
その理由としては、公認会計士がファーストキャリアとして選ぶことが多い監査法人は非常に忙しいことが多いからです。
例えば、監査法人の繁忙期は特に忙しく、帰りが遅い日が毎日続くことも多いでしょう。優秀な社員が多い中、「ついていけない」などプレッシャーを感じるケースがあります。
▼ワークライフバランスを重視する場合の転職先候補
転職先候補 | 概要 |
大手・一般事業会社(経理) | ・法令遵守意識が強い大手企業の中でも、経理職がおすすめ ・クライアントワークはなく、業務量が把握しやすい ・精神的なプレッシャーも少ない |
大手・一般事業会社(経営企画) | ・大手企業は法令遵守意識が強いため、ホワイトな働き方を実現できる ・ワークライフバランスを整えつつ、経営の意思決定ができるやりがいのある仕事ができる |
上場企業(内部監査) | ・期限内に実施すべき監査手続きなどがないため、監査法人よりワークライフバランスに優れている |
ベンチャー企業(監査役) | ・週3~4日・6時間勤務などが多いため、子育て中の方にも向いている |
中小監査法人 | ・BIG4監査法人のような膨大な量の仕事がないため、ストレス負担が減る |
ワークバランスを追求する場合には、大手監査法人以外の転職先がおすすめです。
そうはいっても転職先の会社や部署によっても状況は異なるので、内情を知りたい場合には、会計ファイナンス人材の転職に詳しい転職エージェントに相談してみることをおすすめします。
3-4. 選び方4:やりがいを重視して転職先を選ぶ
公認会計士の転職先の選び方4つ目は、やりがいを重視して転職先を選ぶという方法です。
少し抽象的な選び方となりますが、「自分が仕事してやりがいを感じた瞬間を思い出して、それと同じ体験ができる転職先」を見つけていく方法が良いでしょう。
例えば、大手監査法人で働いていると、組織が大きい分ポジションがかなり細分化されており、一つの案件に対して関われる業務範囲が狭いことがあります。このようなケースでは、自分に割り当てられている仕事が決まっており、やりがいを感じづらいことがあります。
一方で、同じ状況でも、その業務を気に入っている方なら「好きな分野の専門的なスキルが身に付く」とやりがいを感じて働ける方もいるはずです。
自分がやりがいを感じる状況は人それぞれ異なるため、まずは自身の経験を棚卸しして、「どのような業務が好きか」「どのような体験で楽しいと感じたか」などを見つけ出す作業を行うのがおすすめです。そして、そうした体験ができる転職先がどこかを考えると、自分に合う転職先が見つかります。
例えば、前述した「業務範囲の狭い仕事でやりがいを感じにくいケース」では、今よりも小規模な監査法人への転職やFASコンサルに転職することで、より幅広い業務に関わることができ、やりがいを持って働ける可能性が広がるでしょう。
「自分のやりがいを見つけるのが難しい」場合や「自分の求めるやりがいを得られる転職先がどこか分からない」場合には、転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談してみるのがおすすめです。
4. 公認会計士が転職・応募する時の7つのルート(直接応募・求人サイトなど)

ここからは、公認会計士が転職先を見つける時や応募する時に使える7つの手段について解説していきます。
具体的に言うと、(1)直接応募、(2)求人広告サイト、(3)リファラル採用、(4)スカウトサイト、(5)ヘッドハンター、(6)総合型転職エージェント、(7)特化型転職エージェントの7つがあります。
▼応募チャネルごとのメリット・デメリット
メリット | デメリット | |
(1)直接応募 | ・入社したい熱意を伝えられる ・採用コストがかからないため、採用可能性が少し上がる可能性がある | ・情報を全て自ら収集する必要がある ・面接対策や転職先の相性などを相談できない |
(2)求人広告サイト | ・求人数がとにかく多い ・条件が合えばそのまま応募できる | ・情報を全て自ら収集する必要がある ・面接対策や転職先の相性などを相談できない |
(3)リファラル採用 | ・事前に転職先の雰囲気や年収イメージ、転職するメリット・デメリットを聞ける | ・転職先の企業研究を怠ってしまい、転職後にミスマッチが起こる可能性がある |
(4)スカウトサイト | ・登録するだけで相手側からスカウトが届く | ・大量の連絡が届き、選択肢が多すぎて迷いが発生しがち |
(5)ヘッドハンター | ・待遇が大幅アップになる可能性が高い | ・年収アップに惹かれて安易に転職先を決めてしまいがち |
(6)総合型の転職エージェント | ・取り扱っている業種・職種が多いため、求人数も多い | ・公認会計士特有のスキルや経験をエージェントのアドバイザーがなかなか理解してくれない |
(7)特化型の転職エージェント | ・専門ならではの非公開・優良求人を持っている ・解像度が高い状態で強みやスキルを理解してくれる | ・総合型と比べると求人数が多くない |
4-1. 応募手段(1)直接応募
転職先が具体的に決まっている場合には、転職先の公式サイトから「採用情報」にアクセスして、直接応募する方法があります。公認会計士を積極採用している大手監査法人や中小監査法人などでは、直接応募できるフォームを用意しているところがほとんどです。
<直接応募のメリット>
求人広告サイトからの応募よりも、企業サイトから直接応募する方が、「どうしても御法人に入りたいです」という気持ちを伝えることができるメリットがあります。また、採用側としても、公式サイトからの応募は採用コストがかかっていない(※)メリットがあり、採用される確率が若干上がる可能性があります。
※求人広告サイトに掲載するための広告費や、転職エージェントに支払う紹介料がかからないため。
<直接応募のデメリット>
デメリットとしては、情報を全て自ら収集する必要があること、面接対策など誰の力も貸りることができないこと、その転職先が自分に合っているか客観的に相談できる相手がいないことなどがあります。
また、監査法人は直接応募できるページが用意されていることが多い一方で、大手企業などの一般事業会社での公認会計士が必要とされるポストは、企業公式サイトから応募できないケースもあります。
一般事業会社の場合、条件が合う方にのみ採用条件を伝える企業も多く、そうした企業では転職エージェントを使って採用が行われるケースがあります。
4-2. 応募手段(2)求人広告サイト
公認会計士以外の通常の転職活動で多く使われるのが、転職専用の「求人広告サイト」です。具体的には、「マイナビ転職」や「エン転職」、「Indeed」などが該当します。
しかしながら、公認会計士の転職においては、「転職エージェント」や「直接応募」をメインにしている転職先も多く、必ずしも希望する転職先の情報が見つかるとは限らない点に注意が必要です。
<求人広告サイトのメリット>
求人広告サイトを利用するメリットは、求人数がとにかく多いという点です。
具体的な転職先や方向性が定まっていない時には、求人広告サイトで「公認会計士」とキーワードを入れれば、公認会計士が優遇される企業の情報が見つかるため、参考にできます。
自分では考えていなかった転職先が見つかることもあり、条件が合えばそのまま応募できる気軽さもメリットと言えます。
<求人広告サイトのデメリット>
デメリットとしては、直接応募と似てますが、転職先の情報を自ら収集する必要があること、面接対策など誰の力も貸りることができないこと、その転職先が自分に合っているか客観的に相談できる相手がいないことなどがあります。
また、頻繁に求人広告サイトを使って大量採用している転職先の場合、ブラックな働き方で離職率が高い可能性もあるので注意が必要です。
4-3. 応募手段(3)リファラル採用
リファラル採用とは、既存社員から知り合いを紹介してもらって採用を進める方法で、近年主流にもなりつつある転職ルートです。
採用する側の企業にとっては、既に活躍している社員と類似の属性(出身校や前職経歴等)の人材を採用できるため、定着性が高く活躍するであろう人材を採用できるメリットがあります。また、求人広告サイトへの掲載料や転職エージェントに支払う紹介料などもかかりません。
そこで浮いたお金を人材を連れてきてくれた社員や入社してきてくれる人材に還元して、インセンティヴとする会社も多くなっています。
<リファラル採用のメリット>
リファラル採用のメリットは、自分の知り合いから転職先のうそ偽りのない内情を聞けるため、事前に転職先の雰囲気や年収イメージ、転職するメリット・デメリットを聞けるという点にあります。
<リファラル採用のデメリット>
デメリットとしては、信頼している知人の言葉を鵜呑みにして、転職先の企業研究を怠ってしまい、転職後にミスマッチが起こる可能性が起こりえるところです。
既に働いている知人にとって良い会社であっても、自分と合うかどうかは別問題です。そのため、自分に合っている会社なのか、知人が気付いていないデメリットはないかなどを事前に調べておく必要があります。
採用した後に、思うような活躍ができずに早期退職に至ってしまった場合、知人との関係性が悪化する可能性がある点もデメリットと言えます。
4-4. 応募手段(4)スカウトサイト
TVCMでおなじみの「ビズリーチ」など、自分の経歴やスキルを登録しておくと、転職先の企業の方からスカウトが届くのがスカウトサイトです。
<スカウトサイトのメリット>
スカウトサイトを使うメリットとしては、自分から積極的にアクションをしなくても、登録するだけで相手側からスカウトが届くのが最大のメリットです。そのため、とにかく忙しくてなかなか転職活動に時間を割けない人には非常に便利なサービスと言えます。
<スカウトサイトのデメリット>
デメリットは、待っているだけで声がかかる分、人によっては大量の連絡が届き、選択肢が多すぎて迷いが発生しがちという点が挙げられます。
また、お目当ての企業からはあまり声がかからずに、結局は転職エージェントやヘッドハンターからのスカウトばかりが届くという事態に陥り易いという点もあります。
4-5. 応募手段(5)ヘッドハンター
ヘッドハンターは、ライバル企業で活躍している人材や、有名な人材、新規参入しようとしている分野のリーダー的人材などをヘッドハンティングするサービスです。採用希望企業がヘッドハンターに依頼して動く形です。
採用企業はヘッドハンターにまずは着手金(リテーナーフィー)を支払い、マーケット調査や勧誘活動をさせます。そして、無事に採用決定・入社となった場合に、また高額の成功報酬(サクセスフィー)を支払うという採用モデルになっています。対象ターゲットとなる人材レイヤーは、超ハイクラスの役員や部長クラスといった人材がメインになりますが、公認会計士であればスキルベースでターゲットとなることもあります。
また、最近はヘッドハンターが以前と比較するとコモディティ化したこともあり、比較的若年層の人材もヘッドハンターからハンティングされる傾向も強くなりました。
<ヘッドハンターのメリット>
ヘッドハンターを通じて転職するメリットとしては、自分が転職先が求めている人物像と近いことが分かった状態で転職できる点です。
特に、特定のスキルや経験を買われて転職する場合には、現状の年収よりも大幅アップとなる良い待遇を用意してもらえる可能性が高くなるでしょう。思いもよらぬ企業からスカウトをされることで、人生の選択肢が大きく広がるということもあるかも知れません。
<ヘッドハンターのデメリット>
ヘッドハンターを通じて転職するデメリットや注意点もあります。
ヘッドハンターされる経験はそれほど無いことなので、単純に嬉しいという気持ちが生まれて、年収アップにも惹かれて安易に転職先を決めてしまう危険性があるからです。
ヘッドハンティングが転機となり幸せになる人も決して少なくはありませんが、反対に転職をする気もなかったのに流れで転職することになり、その後、成果を出せずに失敗してしまうケースもあります。
4-6. 応募手段(6)総合型・転職エージェント
最後に紹介するのが転職エージェントですが、総合型と特化型に分けて説明していきます。特化型は7番目として次の「4-7.応募手段(7)特化型・転職エージェント」で解説します。
総合型の転職エージェントとは、主に大手人材系企業が提供している人材紹介サービスです。一部例外はあるものの、ほぼ全てのあらゆる業界・職種を対象にしていることが特徴で、利用対象となる地域も企業も人材も幅広いので総合型と呼ばれます。
転職エージェントでは、企業が求める人物像と転職者の希望をマッチングしてくれるため、双方にとってミスマッチが起きにくい転職ルートです。非公開求人も多く、最近の転職市場において、かなり多く活用されているチャネルと言えるでしょう。
<総合型の転職エージェントのメリット>
転職エージェントを使うメリットとしては、希望に近い求人情報を見つけて紹介してくれること、逆に企業側の求める人物像に近い求人情報を教えてくれることなどがあります。総合型は取り扱っている業種・職種が多いため、求人数も多いというメリットがあります。
その他、面接対策など転職活動を有利に進めるための相談・アドバイスに応じてくれるのも大きなメリットです。
<総合型の転職エージェントのデメリット>
転職エージェントはとても良い仕組みですが、会計業界に特化していない総合型の場合には、公認会計士特有のスキルや経験をエージェントのアドバイザーがなかなか理解してくれないというデメリットがあります。
もちろん、会計業界に強いアドバイザーが付けば良いのですが、そうではない場合、自身のスキルセットが十分に伝わらないせいで、転職先の企業側にも自分の魅力が伝わりにくいケースがあります。また、転職先の企業が求める人物像についても、理解の解像度が低いケースが考えられます。
また、エージェント選びが難しいというのもデメリットの一つと言えるでしょう。
もちろん優良な転職エージェントもたくさんありますが、一部の総合型の転職エージェントでは、成約させるノルマを達成するために、エージェント側の都合で成約させたい転職先をゴリゴリに勧めてくるケースがあります。最悪の場合、公平であるべきエージェントが、転職先のデメリットをあえて伝えずに、良い面だけを話してくる可能性もあり、エージェント選びにも注意を払う必要があります。
4-7. 応募手段(7)特化型・転職エージェント
特化型の転職エージェントとは、医療系やコンサル系など、ある分野に特化した人材紹介会社をいいます。公認会計士に向いている特化型転職エージェントは、会計業界に特化した転職エージェントです。
例えば、現在ご覧いただいている「CPASSキャリア」は、公認会計士をはじめとした会計ファイナンス人材や業界に特化をしたエージェントです。
<特化型の転職エージェントのメリット>
公認会計士の転職で会計分野に特化したエージェントを使うメリットは、何といっても「専門性が高い」という部分になります。公認会計士の業界や職種をひたすら探求しており、実際に働いている公認会計士より会計業界や職種について詳細に知っていることもあるほどです。
解像度が高い状態で、転職者の強みやスキルを理解してもらえるため、十分に転職先にアピールしてもらうことが可能です。さらに、転職先が求める人物像やシーンについても高い解像度で理解できるため、ミスマッチが起きにくいです。
また、専門ならではの非公開・優良求人を持っているのもメリットといえます。
限られた業界で活動するエージェントは自ずと人脈も広く深くなっていくので、特化型の転職エージェントのキャリアアドバイザーは、特定の業界において豊富なネットワークを持っております。
<特化型の転職エージェントのデメリット>
デメリットとしては、特化している分、総合型と比べると求人数が多くないこと、エージェントによって保有している求人情報が偏る可能性がある点が挙げられます。
こうしたデメリットを補うためには、複数の特化型転職エージェントに登録したり、他の応募チャネルも活用したりするのがおすすめです。
5. 納得できる転職を実現するには特化型転職エージェントがベスト

「4.公認会計士が転職・応募する時の7つのルート(直接応募・求人サイトなど)」で解説した通り、公認会計士の資格を活かして転職する場合、求人広告サイトやスカウトサイトを利用する方法や、リファラル採用(知人からの紹介)など、さまざまな転職方法があります。
しかしながら、転職に後悔したくないならば、公認会計士の事情に詳しい会計専門の転職エージェントがおすすめです。
納得できる転職を実現するには特化型転職エージェントがベスト |
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(1)公認会計士の価値を理解しているので転職のチャンスを逃しにくい (2)特化型なので本当に活躍できる・スキルを活かせる転職先を見つけられる (3)リファラル採用のように知人を信頼しすぎてミスマッチに気づかずに転職してしまうケースを避けられる |
その理由を3つ解説していきます。
5-1. 公認会計士の価値を理解しているので転職のチャンスを逃しにくい
公認会計士が転職を進める際に、直接応募や求人広告サイトを利用する場合、自分の価値を過小評価しがちである点に注意が必要です。その結果、より良い待遇での転職の機会を逃してしまう可能性があります。
特に、新卒の就職活動を経ずに初めての転職活動を行う方にはこの傾向が強いケースがあります。新卒の場合、初任給はほぼ一律で、同じ待遇で働くことが一般的です。しかし、転職活動では、公認会計士の資格を持つなどの貴重な人材の場合、実務経験やスキルに応じて高待遇で迎えられることが多く存在します。
場合によっては、自分が想定していなかったり認識していなかったりした強みを、積極的に採用している企業があるかもしれません。
転職エージェントを利用すると、例えば「ITの知識も持つ公認会計士を高年収で雇いたい」という企業の要望にマッチした場合、高待遇の案件を紹介されるようなことが結構あります。
転職エージェントを利用することによる好待遇の案件の例としては次のようなケースです。
求人広告サイトに掲載されている年収500万円の人材と同じ経歴を持つ人材を探している企業に、転職エージェントを通じることで年収600万円や800万円の高待遇で紹介されることもあります。
転職エージェントは、自分でも気づいていない強みや経験を見つけ出し、最適な案件を紹介してくれるのが大きなメリットと言えるでしょう。
5-2. 特化型なので本当に活躍できる・スキルを活かせる転職先を見つけられる
求人広告サイトで転職先を探したり、スカウトサイトからオファーを受けたりしていると、選択肢が多すぎて決められず、最終的には選考が進んだ企業に決めてしまうことがあります。この結果、後悔することも少なくありません。
会計士の人手不足のため、公認会計士の転職市場は「売り手市場」となっており、有利な条件で転職しやすい状況が続いています。さらに、公認会計士のキャリアは多方面に広がっており、さまざまな分野で活躍できるため、転職先の選択肢は非常に多くなります。
選択肢が多いと、「自分は何をしたいのか」と悩むことが多くなり、その結果として中途半端な転職先を選んでしまうことがあります。これでは、長期的に見て納得感を得られず、後悔することもあるでしょう。
そこで活用すべきなのが、会計専門の転職エージェントです。公認会計士の多様なキャリアパスに精通した担当者が、あなたの強みや経験に合わせて最適な転職先を見つけるサポートをしてくれます。
5-3. リファラル採用のように知人を信頼しすぎてミスマッチに気づかずに転職してしまうケースを避けられる
最近では、リファラル採用に力を入れている監査法人や企業が増えており、転職者も「知り合いの紹介だから安心」とリファラル採用で転職を決めることが多いです。
しかし、リファラル採用の場合、紹介者を信頼するあまり、企業研究や自分との相性の確認を怠り、後で致命的なミスマッチに気付くことがあります。
このような後悔を防ぐためには、紹介者から企業の内情を聞くだけでなく、自分自身でもしっかりと企業研究を行うことが大切です。また、業界に詳しい転職エージェントという「第三者」の視点を取り入れ、十分に下調べを行い、自分に合う企業かどうかを確認することが必要です。
これらの理由から、すべての選択肢を広く見て整理できる専門のエージェントに相談することをおすすめします。
6. 公認会計士の転職は「CPASSキャリア」にお任せください
「5.納得できる転職を実現するには特化型転職エージェントがベスト」で述べた通り、後悔しない公認会計士の転職には、会計に特化した転職エージェントの活用が欠かせません。
ここからは、その中でも、会計ファイナンス人材特化型転職エージェントの「CPASSキャリア」の3つの強みについて紹介いたします。
6-1. 転職者第一主義!生涯を通じたキャリアを考えて提案
会計ファイナンス人材特化型転職エージェントの「CPASSキャリア」は、転職者第一主義を貫いた転職エージェントです。私たちは単なる転職先の紹介にとどまらず、5年後、10年後、さらに次の転職も見据えた上で、転職者のキャリア全体を考慮しベストな提案をすることを心がけています。
将来的に独立したいという方に向けては、どの道で独立するのか(税務メインかコンサルメインか)に合わせて、どのような実務経験やスキルを積んでおくと有利になるかをアドバイスしたり、その経験やスキルを積める転職先を紹介したりすることが可能です。
こうした提案は、会計ファイナンス人材と長く接してきた私たちだからこそできることだという自負があります。
「CPASSキャリア」は、毎年多くの公認会計士を輩出している「CPA会計学院」を運営しているCPAグループが運営しています。さらに、「CPASS」という会計ファイナンス人材の生涯支援プラットフォームでは、公認会計士の交流会やセミナー、優良企業を集めた説明会などをおこなっています。
こうしたバックグラウンドがあるため、「CPASSキャリア」は公認会計士の独自の人脈を持っており、さまざまな業界で活躍しているOB・OGとのつながりもあります。
公認会計士と密につながりを持ち続けている私たちだからこそ、転職者第一主義を貫いて、生涯を通じたキャリアを最優先した転職の提案が可能なのです。
転職エージェントは転職先を紹介することで紹介先企業から紹介料をいただく仕組みであるため、残念ながら「転職を決めること」にばかり注力している質の低い転職エージェントが存在するのも事実です。
しかし、「CPASSキャリア」はそのようなエージェントとは一線を画し、新天地をお探しの皆様に最適な転職先を見つけることに注力しています。
6-2. 約7,000人の会計士との繋がりから得た非公開求人・優良求人が強み
会計ファイナンス人材特化型転職エージェントの「CPASSキャリア」には、公認会計士資格スクール「CPA会計学院」のグループ会社として、約7,000人の会計士とつながりを持っている強みがあります。リアルな交流イベントも開催しており、多くの会計士とのネットワークを築いています。
このネットワークには、BIG4を含む大手監査法人、中堅・小規模の監査法人、税理士法人、会計事務所、上場企業で重要な役職を務める方々が多く含まれています。
今回紹介したように、公認会計士には、監査法人以外にも税理士法人、コンサルティングファーム、事業会社(上場企業、ベンチャー企業、外資系企業)、金融機関など多くの転職先の選択肢があります。
このような幅広い分野で活躍する公認会計士との強いネットワークを持つことで、他にはない求人を紹介できるのが強みです。さらに、キャリアアドバイザーには公認会計士資格を持つスタッフが多く、最適なキャリアを築くための転職先を提案できます。
また、全てのケースではありませんが、現場で働くOB・OGとのカジュアルな面談を調整できる場合もあります。
6-3.会計士資格保有者からの強力なサポートを得られる
会計ファイナンス人材特化型転職エージェントの「CPASSキャリア」は、会計士資格保有者からのサポートを得られるのも大きな特徴のひとつです。「CPASSキャリア」は20年以上の実績と3,000名以上の転職支援実績を持つキャリアアドバイザーがおり、会計士資格を持つ経験豊富なキャリアアドバイザーがあなたの転職活動を支援します。
総合型の転職エージェントでは、公認会計士の転職事情や会計業界の内情、キャリアプランに詳しいキャリアアドバイザーの数が限られています。もしも、専門知識が不足しているキャリアアドバイザーが担当になってしまうと、資格を活かしたベストな転職が難しくなることがあります。
私たちは会計専門の転職サービスとして、転職者一人ひとりのスキルや経験をどのように転職先で活かせるかを的確に説明し、転職先にアピールすることができます。また、業界特有の慣習や昇進スピードも把握しているため、現在だけでなく将来を見据えたキャリアパスの相談にも対応可能です。
さらに、転職先企業の求める人物像も的確に把握できるため、ミスマッチなく企業と転職者を繋げることが可能なのです。
「CPASSキャリア」は、転職活動期間中だけでなく、長期的に渡る生涯サポートを提供する点で、他の転職エージェントにはない大きなメリットがあります。
\年収600万円~2,000万円の非公開求人多数/
本記事では「公認会計士の転職」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
(1)監査法人 (2)税理士法人・会計事務所 (3)コンサルティングファーム (4)大手・上場企業 (5)ベンチャー企業 (6)外資系企業 (7)金融機関(銀行系・投資系) |
7つのキャリアパスをご紹介しましたが、これらはあくまで代表的な例であり、公認会計士の資格を活かせる活躍の場は多岐にわたります。会計の専門知識と経験は、ビジネスのあらゆる分野で求められるため、あなたの興味や適性次第で、無限の可能性が広がっています。
▼公認会計士が転職・応募する時の7つのルート(直接応募・求人サイトなど)
(1)直接応募 (2)求人広告サイト (3)リファラル採用 (4)スカウトサイト (5)ヘッドハンター (6)総合型の転職エージェント (7)特化型の転職エージェント |
「CPASSキャリア」では、以下のような流れで転職先を選択することを推奨しています。
まずは、自分が何をしたいか、どんな人になりたいかという目標・軸を定めます。そのようにして定めた将来目指す目標・軸から逆算して自分に合った業界や職種への転職を検討します。その際に、自分の理想の年収・時間・やりがいのバランスを理解することで、自分自身で納得のいく転職を成功させることができます。
転職を考えているけれど、自分の将来の目標や軸がわからない方や、年収や働き方のバランスの理想について相談したい方は、ぜひ公認会計士の転職に強い転職エージェントに相談しながら、あなたに合った転職を成功させましょう。