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【公認会計士への転職】会計ファイナンス業界未経験スタートでも◎広がるキャリアの可能性と転職成功のポイント

公開日:2025.10.08

最終更新日:2025.10.11

会計ファイナンス業界未経験の社会人が公認会計士試験を受験して合格を果たした場合、どのような企業や職種に転職できるのでしょうか?

まずは公認会計士になるためには実務経験を3年以上積む必要があり、その要件を満たすための転職先として監査法人を選択する場合が非常に多いです。

そのほか大手・中小事業会社やベンチャー企業などの選択肢も検討できます。

そして、監査法人や事業会社で実務経験を積み、晴れて公認会計士になった後にはさらに多様なキャリアを歩める可能性が広がっています

そこで本記事では、業界未経験から公認会計士試験に合格し、監査法人や一般事業会社への転職事情について紹介するとともに、転職を成功させるポイントやキャリアの可能性などについて解説します。

公認会計士への転職を成功させたい方は、ぜひ参考にしてください。





記事の監修者

CPAエクセレントパートナーズ 松岡宏紀

松岡 宏紀

2007年、公認会計士試験に合格。EY新日本有限責任監査法人にて、監査・アドバイザリー業務に加え、社内外での研修講師や研修プログラムの作成・管理などに従事。現在、CPAエクセレントパートナーズ株式会社において、コンテンツの作成、監修を担当。





未経験でも◎売り手市場の公認会計士の転職事情

業界未経験から公認会計士試験に合格し、監査法人や一般事業会社への転職は十分可能です。

ここでは売り手市場が続く公認会計士の転職事情について解説します。


公認会計士は売り手市場|慢性的な人手不足

公認会計士の転職市場は「売り手市場」が続いており、多くの監査法人や一般事業会社では慢性的な公認会計士不足の状態にあります。

主な理由は以下の通りです。

公認会計士
不足の理由
詳細
公認会計士が働く場の多様化 監査法人以外にも事業会社やコンサルティングファームなど、
公認会計士の活躍の裾野が広がっている
高スキルな公認会計士の需要増 近年の会計の複雑化や社会的なガバナンス強化の要請から、
監査業務の拡大および高度化が進んでいる

特に20〜30代の場合、公認会計士試験合格後、複数社の面接を受ければ、業界未経験者であっても転職自体はできる可能性が高いでしょう。


業界未経験でも社会人経験が活きる公認会計士転職

20〜30代で公認会計士試験に合格し、公認会計士資格取得に向けて転職をする場合、これまでの社会人経験で得られたスキルや知見をアピールすることで、より希望の条件に合う監査法人や事業会社へ転職できる可能性が高まります。

特に、コミュニケーションスキルやマネジメントスキル、ITスキルなどは、転職先から高く評価されるポイントです。

40代以上で公認会計士試験に合格する方は、公認会計士合格者全体からすると割合は少なくなっています。

年齢がネックになる場合もありますが、一方で20〜30代の公認会計士試験合格者に比べ、異業種での圧倒的な経験やスキルがあることが強みになります。

業界未経験であっても、マーケティングや営業経験、データ分析や顧客対応といったスキルは、公認会計士になってからの大きなアドバンテージにつながることがあります。



すぐ行動できる!他業種から公認会計士として転職を成功させるポイント

すぐ行動できる!他業種から公認会計士として転職を成功させるポイント

会計ファイナンス業界以外で営業職や事務職、技術職などを含む異業種での社会人経験を経て、業界未経験から公認会計士試験合格、転職を果たし、公認会計士として活躍している人材は数多くいます。

ここでは、異なる業界・業種から公認会計士として転職を成功させるためのポイントを大きく2つに分けて解説します。




これまでのキャリアやスキルセットを棚卸しし、自己アピールする

まず公認会計士試験合格後、業界未経験から会計ファイナンス業界に転職する際は、これまでのキャリアやスキルの棚卸しを行い、自分の強みを明確化することが重要です。

応募先の人材ニーズをリサーチした上で、「どのキャリアでの経験とスキルを強調して、自己アピールをするのか」を戦略的に組み立てておくことが大切です。


【重要】キャリアビジョンを3段階で可視化して考えて行動する

公認会計士としてキャリア形成をしていくなら、まず理想のキャリアの実現に向けてキャリアビジョンを3つの段階に整理し、そこから逆算して戦略的に行動を起こすことが大切です。

例えば、将来的にベンチャー・スタートアップ企業のCFOを目指したい場合、監査法人でまずは監査経験を積んだのち、独立系コンサルティングファームで監査法人では得られないコンサルティング経験・実績を得てから、ベンチャー・スタートアップ企業のCFOに転職する必要があります。

キャリアビジョンの3段階の例

(CPASSキャリア編集部 作成)

キャリアビジョンの3段階の例
  • フェーズ1:監査法人に就職
  • フェーズ2:独立系コンサルティングファームに転職
  • フェーズ3:ベンチャー・スタートアップ企業のCFO

キャリアビジョンの可視化にあたっては、ビジョンが「絵に描いた餅」にならないように、一定の現実性を担保することが重要です。

またどこかのフェーズで希望通りの転職が難しかったとしても、無理に当初設定したフェーズに適した転職を繰り返すのではなく、適宜キャリアの軌道修正を行い、柔軟にキャリア形成を進めていくことが大切です。

このように聞くと「自分一人では現実的なキャリアビジョンを描くのが難しそう」と感じる方もいるかもしれません。

その場合は先輩の公認会計士に話を聞いたり、転職後のキャリアのサポート体制も整った「業界特化型の転職支援サービス」を活用して情報収集に取り組んでみるといいでしょう。

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公認会計士のキャリアパスとキャリア可能性

公認会計士が描けるキャリアパスおよびキャリアの可能性について解説します。自身のキャリアビジョンを描く際の参考にしてください。


【王道】BIG4をはじめとする「監査法人」

公認会計士試験合格後のキャリアとして王道なのが、BIG4を始めとする「監査法人」です。

就職先に監査法人を選ぶメリットは以下の通りです。

メリット 詳細
公認会計士登録支援の充実 実務補習所での単位取得に対する職場の理解があり、登録料補助などの支援体制も提供されている
安定した収入を得やすい 役職に応じた年収体系が設定されている法人が多く、安定した収入を見込める
転職にも有利 監査法人での実務経験は転職市場で高く評価される傾向がある

そのほか、リモートワークやフレックスタイム制度、各種福利厚生が充実している点もポイントです。

繁忙期にあたる4〜5月・8〜9月は激務傾向にありますが、中には繁忙期であっても残業が少ない中小監査法人も存在します。


30~40代なら「事業会社」という選択肢も

異職種・異業種での知見やスキルを有した30〜40代であれば、「事業会社」への転職も視野に入ります。

事業会社への就職メリットは以下の通りです。

メリット 詳細
一定の年収水準が見込める 年収レンジは600万~1,500万円程度
ワークライフバランスの充実を図れる 監査法人と比べて残業が少なく、プライベートの時間をより確保できる傾向にある
幹部候補として転職できる 幹部候補として採用され、将来的に企業戦略や経営計画の策定などの
業務にも携われるチャンスがある

そのほか、特に大手企業や上場会社の場合は福利厚生も充実している点も特徴です。一方、監査法人よりも年収が下がるケースが見受けられる点には留意しておきましょう。







公認会計士の7つの転職先とキャリアの可能性

公認会計士の7つの転職先とキャリアの可能性

公認会計士の7つの転職先候補およびキャリアの可能性について解説します。




監査法人|大手監査法人→中小監査法人へ

公認会計士のファーストキャリアとして最も多いのが「監査法人」です。年収レンジは500万〜2,000万円が目安になります。パートナーとなる代表社員は2,000万円以上になるでしょう。

監査法人でキャリアを重ねていくメリットとして、役職に応じた年収の目安が比較的明確であり、キャリアパスを描きやすい点が挙げられます。

大手監査法人に就職して実務経験を積んだ後に、中小監査法人へ転職する方も増えています。

中小監査法人へ転職する理由
  • 少数精鋭で若手のうちから幅広い業務に携われる
  • 大手監査法人と比べ、残業時間が少ない場合がある
  • 副業が認められる場合がある

監査法人と一口に言っても、その規模によって特徴は異なります。

そして中小監査法人も繁忙期は激務になる傾向があるので、自身の理想とする働き方やキャリアを実現できる監査法人を見極めることが大切です。


税理士法人・会計事務所|税理士にキャリアチェンジ

公認会計士の資格保有者は、税理士試験の全科目が免除され、所定の研修を修了するだけで税理士資格を取得できます。

そのため、税理士にキャリアチェンジを行い、税理士として「税理士法人」や「会計事務所」への転職も選択肢として出てきます。

なお、将来的に独立・開業をする場合、監査業務だけの独立は難しく(※)、税務業務を請け負うことがほとんどです。

理想のキャリアとして「独立・開業」を目指す方は「税理士法人・会計事務所」への転職をフェーズに加えておくのもいいでしょう。

税理士法人や会計事務所における年収レンジは500万〜2,000万円が目安になります。

※公認会計士の独占業務である「監査業務」は、多くが監査法人の顧客となる大手上場企業で求められるものであり、独立・開業では求められない場合がほとんどです


コンサルティングファーム|業務内容は多岐にわたりキャリアパスが広がる

多様な業務経験を積むことができる「コンサルティングファーム」も、公認会計士の人気の転職先です。

一般的に「コンサルティングファーム」と聞くと、経営課題を解決していく「戦略コンサル」をイメージしがちですが、公認会計士の専門知識・経験を活かせるのは「財務・会計系コンサルティングファーム」や「FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)」になります。

業務内容はM&Aの関連業務や事業再生支援、不正調査など多岐にわたります。なお、年収レンジは600万〜3,000万円が目安になります。

また難易度は高いものの、将来的に企業の事業戦略や新規事業立ち上げなどに携われる「戦略コンサルティングファーム」に転職するという選択肢もあります。


大手上場企業|組織内会計士として活躍する

「大手上場企業」に雇用される「組織内会計士」として活躍するキャリアも実現できます。主な業務内容は経理業務・財務業務・内部監査です。

配属される部署によって業務が変動しますが、会計・財務のプロフェッショナルとして、大手上場企業の安定した環境の中で着実にキャリアを積み重ねることができます

こうしたワークライフバランスの取りやすさからも人気のキャリアパスの一つになっています。

監査法人との違いの一つが、「監査・助言」ではなく、予算の「作成」に深くコミットできることです。

なお、年収レンジは600万〜1,500万円が目安で、役員クラスになると1,500万円以上も期待できます。


ベンチャー・スタートアップ企業|実力も市場価値も上げたいなら

同じ組織内会計士でも、大手・上場企業ではなく、「ベンチャー・スタートアップ企業」に勤める選択肢もあります。

年収レンジは500万〜1,000万円が目安になります。役員クラスは1,000万円以上が見込め、別途ストックオプション制度を設けている企業もあります。

監査法人のマネージャークラスからCFOやCAOといった経営幹部ポジションに転身することもあり、上場前審査やIPO準備など、ベンチャー・スタートアップ企業ならではの実務経験を積める可能性がある点も特徴です。


外資系企業|語学力を活かしたい、海外赴任を叶えたいなら

「語学力を活かしたい」「海外で働きたい」という方に人気なのが、「外資系の事業会社」です。年収レンジは600万〜2,000万円が目安で、役員クラスは2,000万円以上も期待できます。

業務内容は、経理業務や管理会計に係る業務フロー改善、本国へのレポーティング、経営・財務分析などです。日系企業と比べて給与水準が高い一方で、実力主義の傾向が強く見られます。

また、会計の知識やスキルに加え、英語でのコミュニケーション能力も求められます。


金融機関(銀行系・投資系)|やや異色だが、さらなる高年収を目指せる

“公認会計士が転職の必須資格ではない”という意味で、やや異色のキャリアではありますが、高年収を目指す方は「金融機関」も選択肢に入ります。

年収レンジは700万〜2,000万円が目安になり、実績に応じてそれ以上を目指すこともできます。

例えば投資銀行(特に外資系)の場合、年収は20代アナリストでも年収1,000万円超、役職によっては1億円以上ということもあります。

一方激務になる傾向があるため、一定のストレス耐性や体力が求められるキャリアでもあります。



公認会計士の7つの転職先とキャリアパスまとめ

(CPASSキャリア編集部 作成)



未経験から公認会計士として転職を成功させるなら

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また、公認会計士資格を持ち、業界に精通したキャリアアドバイザーが多数在籍している点もポイントです。

そのほか、転職後のニーズに応じて、「CPASS(シーパス)」や「CPAラーニング」などを通じて同業界の人材と交流したり、学び続けることも可能です。

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まとめ

公認会計士は業界未経験からでも十分転職が可能な職種です。また王道の監査法人のほか、税理士法人やコンサルティングファーム、金融機関など、多様な転職先でキャリアを築ける職種でもあります。

一方、公認会計士という資格を持っていたとしても、自分一人では必ずしも満足のいく転職を実現できるとは限りません。なぜなら、個人でリーチできる情報には限りがあるためです。

「業界未経験から、公認会計士の理想のキャリアを築きたい」という方は、ぜひ会計ファイナンス人材特化型の転職エージェント「CPASSキャリア」の活用をご検討ください。

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