元球児が会計士試験の先に掴んだ、経営支援という新たなマウンド

公開日:2025.12.09

最終更新日:2025.12.16


幼少期からの憧れだったプロ野球選手への道、そして大学生活を懸けて挑んだ公認会計士試験。2つの大きな夢に自ら区切りをつけながらも、田代怜大さんは今、税理士法人で「人生で一番楽しい」と胸を張って言える充実した日々を送っています。今回のインタビューでは、大学4年の冬というギリギリのタイミングで「就職(試験からの撤退)」へと舵を切った決断の裏側と、その先で見つけた新たなマウンドでの活躍に迫ります。

田代怜大さんプロフィール 

2002年生まれ。法政大学経済学部卒業。大学3年生から公認会計士試験の学習を本格的に開始。3度の試験挑戦を経て、大学4年の冬に就職活動へシフトチェンジを決断。CPASSキャリアを活用し、2025年4月より税理士法人ブラザシップに勤務。現在は会計士試験で培った知識を土台に、税理士資格取得を目指しながら実務に励んでいる。

1.「プロフェッショナル」への憧れと、会計士試験への挑戦

──田代さんが公認会計士を目指すことを決めたきっかけを教えてください。
幼少期からプロ野球選手を本気で目指していましたが、怪我が重なり、大学入学のタイミングでその夢は断念しました。それでも、「何かのプロフェッショナルとして生きていきたい」という憧れは消えなかったんです
転機は大学2年生の頃。友人の影響で簿記に出会い、自然と公認会計士という資格を意識するようになりました。明確なビジョンがあったわけではありませんが、三大国家資格と呼ばれる難関に挑むことが、自分の中にある「プロへの想い」と重なり、大学3年生から新たな目標に向かって本格的に勉強を始めました。
ただ、現実は厳しかったですね。大学3年の12月に初挑戦、そして4年の5月に2回目を受けましたが、どちらもボーダーには届きませんでした。勝負をかけた2回目も60%前半止まりで……。


──2回目の挑戦を終えた時点で、就職に切り替えることは考えましたか?
田代 かなり悩みました。「もし12月の試験を受けて、それでも駄目だったら、就職先なんてないんじゃないか」という不安が常にありましたから。
そんな時、CPA会計学院が開催していた受講生向けのオープン面談に参加したんです。そこで担当の方に、「12月から就活を始めても就職先は全然あるよ!」と力強く背中を押していただいて。その一言で本当に救われました。「駄目でも道は開ける」と安心できたことで、迷いを捨てて「12月にもう一度頑張ろう」と気持ちを切り替えることができました。


──そして通算3回目となる12月の試験ですね。結果を受けて、どのような決断をされたのですか?
自己採点の結果は69%でした。合格ボーダーラインに本当にあと一歩、というギリギリのラインです。「あと少しで届くかもしれない」という手応えがあった分、正直なところ浪人して挑戦を続けるべきか迷いました。
でも、親と「大学4年の12月までは受験して、そこで駄目だったらきっぱり就職する」と約束していたんです。個人的にも、デッドラインがないままズルズル続けるのは良くないという思いがあったので、そこは潔く就職活動へ切り替えました。あらかじめ期限を決めていたおかげで、すぐに気持ちを切り替えて動くことができました。


──リスクを取って勉強を続けるよりは、新卒のタイミングで社会に出るのがいいと判断されたのですね。最初はどのような軸で企業を探し始めたのですか?
田代 自分の中では、「働きながら会計士の勉強を継続する」というのが大前提でした。なので、まずは勉強への理解がありそうな監査法人を中心に見ていこう、というところから始まりました。
ただ、時期はすでに12月です。周りの同級生が進路を決めていく中で、自分は就活に関することを全くやってこなかったので、腹をくくっていたとはいえ、「正直、就職できないんじゃないか」という不安はなかなかぬぐえなかったです。



2.公認会計士試験から会計事務所へ。就職活動の軌跡

──CPASSキャリアを活用された経緯を教えてください。
田代 12月に短答式試験が終わった後にメールで合同説明会のお知らせをいただいて、そこでCPASSキャリアを初めて知りました。最初は自分で求人に応募しようと思っていたのですが、それでは間に合わないと思い、プロのエージェントを頼ることに決めました。


──内定先のブラザシップさんに、そこまで強く惹かれた理由は何だったのでしょうか?
田代 一番の決め手は、CPASS主催の合同説明会で代表の加藤が語っていた「理念」への共感です。 実は僕がプロ野球選手を目指していた根底には、「プレーを通じて人に感動を与えたい」という強い欲求がありました。だからこそ、ブラザシップの掲げる「中小企業に安心と感動を与える」という言葉を聞いた瞬間、胸が熱くなったんです。「自分が求めていた場所はここだ、ここしかない」と確信しました。


──般的な転職エージェントでは「とにかく数を打つ」ことを推奨されることも多いですが、CPASSキャリアの対応はいかがでしたか?
田代 私の「ブラザシップに行きたい」という熱意を汲んでくれて、無理に応募数を増やすようなことはありませんでした。 監査法人や他のコンサル会社も数社受けはしましたが、担当の方と相談の上で「本命はブラザシップ」と定め、そこに向けて徹底的にリソースを集中させてもらいました。私の意思を尊重し、一点突破の戦略を一緒に練ってくれたことが、内定に繋がったのだと思います。

──ブラザシップでは、具体的にどのような事業を行っているのですか?
田代 会計事務所ですので、税務業務がメインになります。税務上のリスクからお客様を守ることは非常に重要なため、税務のプロフェッショナルとして責任を持って取り組んでいます。ただ、私たちにとって税務業務は、あくまで提供しているサービスの一つです。私たちは財務を中心に、会社の成長フェーズに応じて必要なサービスを展開しています。具体的には、クラウド会計の導入支援や、財務を経営に活かすための集合研修『Brothership COLLEGE(ブラザシップカレッジ)』、さらに財務を軸としたコンサルティングなどを通じて、社長が常に勝ち続けるためのさまざまな支援を行っています。中小企業経営者の財務リテラシーを向上させるという、人生を賭けて熱くなれる使命を掲げており、その実現を本気で目指せる環境に一番の魅力を感じました。

──税務業務にとどまらない、幅広い経験ができるのは魅力的ですね。面接では「勉強の継続」について、どのように伝えられたのですか?
田代 はい。「税理士に切り替えます」と正直に伝えました。 就職活動を通じて、監査よりも経営支援をやりたいという気持ちが明確になっていましたし、働きながら目指すなら税理士の方が両立しやすいという現実的な判断もありました。

──CPASSキャリアの面接対策は、具体的にお役に立てましたか?
田代 もう、頼りっぱなしでした(笑)。自分一人では何をどう準備すればいいか全くわからなかったのですが、会社ごとの傾向や具体的な想定質問を細かく教えていただけたのが本当に大きかったです。
12月という時期もあり、焦りやこだわりたい部分との葛藤がなかったわけではありません。ですが、最初の段階で私のやりたいことや考えを深くヒアリングしてくれていたので、アドバイザーの方を心から信頼できました。「この人が勧めてくれる対策なら間違いない」と思えたからこそ、迷いなく安心して目の前のことに取り組めたのだと思います。


──会計士の勉強を頑張ってきたことが、今の実務の現場で役立っていると実感する瞬間はありますか?
田代 それはもう、毎日感じています。正直なところ、会計士の勉強をしていなかったら、今の業務は本当にきつかったと思います。 業務の中心はどうしても会計になりますから、その前提知識が自分の中にしっかりあるというのは、実務を進める上で最大の武器になっています 。


──内定から入社までの期間は、どのように過ごされましたか? 
田代 「CPAラーニング」を活用して準備を進めました。実は、弊社代表の加藤もCPAラーニングで講師を務めているんです 。 そこで、当社のサービスの核である中小企業経営者向けビジネススクール「Brothership COLLEGE(ブラザシップカレッジ)」の導入部分についても解説していたので、動画を通じて自社サービスの理解を深めたり、未習だった税法を勉強したりしました 。入社前に代表の考えや主力商品に深く触れられたのは、非常に有意義な時間でした 。



3.「結果がすべてじゃない」。視野を狭めないことの重要性

──いずれ税理士資格を取得された後、その先にはどのようなキャリアプランを描いていますか?
田代 転職などは全く考えておらず、ブラザシップでキャリアを積み重ねていきたいです。組織としてもまだまだ成長過程で、仕組み化できる余地もたくさんあるので、ここでやりたいことが山ほどあります。 今は資格取得と実務の両立で必死ですが、将来的には部下を持ち、周囲に良い影響を与えられるような存在になって、自分の仕事を通じて「影響の輪」を広げていきたいですね。


──これから試験の結果を受けて、「継続か、就職か」という大きな岐路に立つ学生も多いと思います。後悔しない選択をするために、アドバイスはありますか?
田代 一つの目標を目指していると、どうしても無意識のうちに視野が狭くなってしまいます。そのため、「受かったらOK、受からなかったら駄目」という二元論に陥りがちです。でも、そうではない。試験に受からなかった私が、今こうして人生や働く意味を見出して、生き生きと働けている。その事実が何よりの証拠だと思います。だからこそ、「自分で自分の選択肢を狭めないこと」がすごく大事です。 自分一人で考えているとどうしても視界は狭まります。だからこそ、CPASSキャリアの方々のようなプロに話を聞いてもらい、選択肢を広げてもらうことが、僕にとっては本当に良かったなと思います。


──今まさに勉強を頑張っている人や、結果が出ずに落ち込んでいる人たちへ、田代さんからエールを送るとしたら?
田代 「それが全てじゃない」と、声を大にして伝えたいです。 仕事人生は40年近く続きます。その中の1年や2年でうまくいった・いかなかったというのは、長い目で見れば小さなことです。向かうべき方向さえ間違っていなければ、必ずなりたい自分になれます。 僕も野球で挫折し、会計士試験でも挫折しました。でも、「今が人生で一番楽しい」と胸を張って言えます。そうなれることが、挫折したばかりの時には想像もできませんでしたが(笑)。そして、 今があるのは、一人で抱え込まずに「他人に頼ること」を覚えたからです。受験勉強はどうしても個人の戦いになりがちですが、本当に悩んだ時こそ、友人や、人生の先輩に相談してみてください。きっと違う景色が見えてくるはずです。


──子供のころから「プロフェッショナル」として働くことを夢見ていた田代さん。幼少期の憧れの存在だったイチロー選手の言葉で、今も大切にしているものはありますか?
田代 「小さいことを重ねることが、とんでもないところに行くただ一つの道」。 これは野球をやっている時から、僕の心の支えになっている言葉です。野球も、会計士試験も、そして今の仕事も、一気に大きな成果が出る魔法のような方法はありません。 焦らず、無理しすぎず、でも方向性は見失わずに。目の前の小さなことを一つひとつ積み上げていくこと。それが結局は、自分が目指す場所へたどり着く一番の近道なんだと信じて、これからも進んでいきたいと思います。

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