5回の挑戦で見つけた「合格に一番近い道」。未経験から監査法人に就職

公開日:2025.12.15

最終更新日:2025.12.16

公認会計士試験合格という大きな目標に、5回の挑戦を経て「あと一歩」まで迫った和田辰徳さん。仕事を辞めて勉強だけに専念する日々の次に選んだのは、「監査法人で実務経験を積みながら勉強を継続する」という現実的な戦略でした。実務を通じて知識を深め、経済的な基盤を整えながら合格を目指す和田さんのアプローチは、キャリアチェンジや勉強との両立に悩む人々に新たな視点を与えてくれるでしょう。

和田辰徳さんプロフィール

駒沢大学経営学部卒を卒業後、IT企業でSEとして勤務。その後、公認会計士を目指して退職し、約3年間勉強に専念。簿記1級を取得するも、公認会計士試験には5回挑戦し合格には至らず。しかし、その真摯な学習姿勢と会計知識が評価され、業界未経験ながらシンシア監査法人に就職。現在は週4日勤務・残業なしという環境で、実務経験を積みながら公認会計士試験合格を目指している。

1.SEから公認会計士を目指してキャリアチェンジ

──大学は経営学部だったそうですね。その頃から簿記に触れていましたか? 
和田 必修科目に簿記がありました。親が経理職だったこともあり、「どうせやるなら簿記検定に挑戦したほうがいい」と勧められ、在学中に2級まで取得。ただ、当時は公認会計士になりたいという気持ちは特になくて、就職活動も明確にやりたいことがあったわけではないので、「IT業界ってかっこいいな」という軽い気持ちでSE職を選びました。


──文系からSEとは思い切った挑戦ですね。実際、働かれてみていかがでしたか?
和田 人間関係は良好でしたし、研修もみっちりやったのですが、実務は研修の内容と乖離がすごくて……。このまま何十年も続けられる仕事ではないな、と痛感しました。そこから「手に職をつける」というか、社会で通用する確かな知識を身につけるべきだと思い、大学時代に取得した簿記の勉強を深め、その先にある公認会計士を目指すことに決めたんです。

──そして勉強に専念するため1社目を退職されたそうですね。すぐに勉強専念の生活に入られたのですか?
和田 簿記2級の勉強で通っていたスクールで公認会計士講座を受けようと決めたのですが、会社を辞めてから実際の講義が始まるまで4~54~5か月ほど期間が空いてしまって。その間は、自習をしつつアルバイトをしていました。そして、いざ講義がスタートするタイミングで仕事はきっぱり辞めて、そこから勉強一本の生活に入った、という感じです。

──勉強に専念する生活はいつ頃から始まり、最初の挑戦はいつでしたか? 
和田 2022年の6月ぐらいに学習を始めて、2023年の5月にお試しで短答式試験を受けました。理論系の科目はほとんど頭に入ってなかったので、20点ぐらいだったかな(笑)。でも計算は得意だったので、講義内でやっていた内容はしっかり正解できました。 厳しい結果ではあっても、「これはもう無理だ」と心が折れるほどではなかったですね。
そこから短答を計5回受けることになります。点数は順調に上がっていったのですが、「今回はこの科目が良かったけど、次はこの科目が駄目」といったように、出来・不出来の波が結構激しくて。ただ、計算の力試しとして受験した簿記1級には合格。これには、「もしも公認会計士を諦めることになった場合、勉強してきた証としてこの資格があれば、転職の際に少なからず有利に働くんじゃないか」という、保険的な意味合いもありました。

2.悔しさからの決断。学習継続から「両立」へのシフト

──5回目の挑戦の後、勉強に専念する生活から「勉強と仕事の両立」へと大きなシフトチェンジをされますが、その背景には何があったのでしょうか?
和田 通っていた予備校で「勉強開始から3年」が一つの区切りだと言われていたんです。5回目の挑戦がちょうど3年ぐらいになるタイミングでしたし、金銭的な面でも余裕がなくなっていました。 ただ、5回目の短答試験の後に自己採点をしたら、ケアレスミスをしていなかったら合格ラインに届いたことが分かったんです。本当に悔しかったですね……。それなら勉強しながら働いてお金を稼ぐというやり方で続けたいと思ったんです。

──その大きな決断に際して、ご両親からは何かお言葉はありましたか?
和田 親は「自分で決めた道だから、やるならやり通せ」と、私の挑戦を応援してくれていました。ですが、ちょうどそのタイミングで父が定年で仕事を辞めることになったんです。もし、勉強に専念する生活を続けるとなれば、自分のお金もカツカツだったので、親に金銭的な援助を頼らざるを得ない状況でした。「そこは自分で何とかしなければ」という思いが、働きながら合格を目指す道を選ぶ大きな決め手になりました。

3.未経験から監査法人への転職

──そして、いざ転職活動へ。数あるエージェントの中で、CPASSキャリアに登録していただいた決め手は何だったのでしょうか?
和田 5月の試験が終わった時点で「駄目だったら就職しよう」とは決めていたんです。ただ、いざ動こうにも、どこに相談したらいいか全くわからず、戸惑っていたところで、たまたまX(旧Twitter)でCPASSキャリアが開催する就職説明会の広告を見つけたんです。試験が終わって11週間ほどのタイミングで開催されたイベントでした。「これなら早く行動できる!」と思い、すぐに申し込みました。

──転職の軸は、当初から監査法人でしたか?
和田 そうですね。公認会計士試験の勉強している中で、どうしても監査論がふわっとしていて、「これって実務で何やってるんだろう?」と、イメージが掴みにくかったんです。それなら監査法人に入って、実務を間近で見た方が、かえって勉強もすんなり進むんじゃないかと考えました。また、仕事と勉強と両立したいという自分の希望も、監査法人なら融通も利きやすいのではないか……という期待もありました。


──選考はシンシア監査法人さん以外にも受けられたのですか?
和田 はい、監査法人と税理士法人を数社受けました。その中で第1志望だったシンシア監査法人から内定をいただいた形です。選考のタイミングが他社と重なっていたのですが、ある税理士法人の一次面接で、「もし監査法人から内定が出たらどうする?」と聞かれたんです。そこで正直に「監査法人に行きます」と伝えたら、その場で面接が終わってしまって(笑)。それでも悔いが残らないほど、監査法人への思いは強かったですね。

──面接で印象に残ったことを教えてください。
和田 実は面接で念入りに聞かれたのは、勉強のことよりも「合格した後も、会社を辞めずに残ってくれるか」ということと、「勉強専念だった人が、本当に仕事と両立できるのか」というスケジュールの部分だったんです。そこで、自分の覚悟や両立の計画をしっかり伝えられたのが、結果的に良かったのかなと思っています。合格後に関しても「ぜひシンシアさんでキャリアを積みたい」と伝えました。また、中小の法人で幅広く監査業務を経験することに魅力を感じていたので、合格した後も働く意思があることを示しました。

──そして提示された勤務条件が「週4日勤務」だったと。
和田 はい。私と、あともう2人勉強中の方がいるのですが、その3人は週4日勤務です。他の正社員の方は週5日で働かれていますが、勉強中のメンバーは残業なしの9時出社・17時退社という形です。

──試験勉強への理解が非常に深い、まさに理想的な環境ですね。
和田 代表から直接言われた言葉が本当にありがたかったです。「仕事を覚えることも大事だけど、採用した理由は試験勉強を応援したい気持ちが大前提にある。だから、もし仕事がつらくて勉強が手につかないようなことがあったら、何でも言ってくれ」と。その言葉を聞いて、ここでなら本気で両立を目指せることが分かり、本当に気持ちが楽になりました。

──今回の転職活動を振り返って、CPASSキャリアのサポートはいかがでしたか? 他のエージェントも利用された中で、違いを感じた点があれば教えてください。
和田 他のエージェントにも何社か登録しました。ですが、監査法人の求人を具体的に紹介してくれたのはCPASSキャリアだけでした。他のエージェントは経理や税理士事務所の求人がメインで、そもそも監査法人の求人がなかったり、あっても書類審査で落ちてしまうことがほとんどでした。やはり、公認会計士試験で圧倒的な実績を持つCPA会計学院と連携しているからこその、監査法人との強固な繋がりの差は圧倒的だと感じました。CPASSキャリアのサポートがなければ、この道は拓けなかったと思います。


──今回、和田さんが理想的な環境を掴み取れた一番の要因は何だったと思いますか?
和田 スピード感と行動力だと思います。自分の性格上、一つのことに集中している時に他のことが出てくると、どっちつかずになってしまうのが嫌なんです。「5月が駄目だったら就職する」と決めていたので、試験が終わった瞬間からアンテナを張っていました。試験の手応えで合否はだいたいわかるじゃないですか。そこから合格発表までの1ヶ月間をモヤモヤして過ごすより、結果がわかってるなら、すぐに行動した方がいい。CPASSキャリアが一番動きたいタイミングで門戸を開いてくれていたことが、本当に助かりました。


──改めて、5回もの挑戦とキャリアチェンジを経てもなお、「会計士になりたい」と思い続けられた、その核となる原動力は何だったのでしょうか?
和田 やっぱり一番は、前職で「自分が役に立ててない」と感じた、あの悔しさです。研修でやった内容と実務の乖離がすごくて、自分の知識がないばかりに何もできないという感覚が、ずっと心に引っかかっていました。何としてでも資格を取って、自分の誇りじゃないですけど、「自信を持ってこういうことをやってきました」と胸を張って言えるようなことを成し遂げたい。その思いが、ずっと自分を支えてくれていた原動力ですね。

──最後に、かつてのご自身と同じように、合格できずに自信を失いかけている方々へメッセージをお願いします。これまで積み重ねてきた努力は、本当に「武器」になりましたか?
和田 はい。間違いなく「武器」になったと断言できます。例えば、簿記1級を持っていることは、実務で役立つのはもちろんですが、「自分にはこれがある」という自信が、面接での受け答えにも繋がりました。資格があるからこそ、マインド的にも自信を持って話せるんです。働き始めて2ヶ月ですが、監査法人での仕事でも「あ、これ勉強したことじゃん!」と感じる瞬間は本当に多いです。

──まさに、和田さんが選んだ「働きながら学ぶ」戦略の成果ですね。
和田 そうですね。実務を経験することで、今までテキストだけでは掴みきれなかった監査論のふわっとした部分が、ようやく腑に落ちる感覚があります。 だから、今まさに勉強している方々も、たとえまだ合格という結果が出ていなくても、勉強を頑張ってきた自分にもっと自信を持ってほしいです。試験に合格していなくても、その知識と努力は無駄にはなりません。私のように実務経験と結びついた瞬間、その知識は本物の、確かな「力」に変わる。私自身が今、それを強く実感しています。

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