ここでは転職エージェント(人材紹介会社)の仕組みについて解説していきます。会社によって多少、異なる部分もあると思いますが基本的な仕組みは同じです。転職エージェントを利用する際には、しっかりと相手のことも理解しておくことが重要です。
登録手続き
まずは転職を検討しはじめた段階で、支援をして欲しいと思った転職エージェントに登録をするところから全てが始まります。昨今、人材紹介会社はあらゆる広報手段を使って登録者をかき集めている状況です。ですから、電車に乗っていても、ネットサーフィンをしていても、いつも転職を煽る広告やバナーが散見される状況となっていると思います。広告に記載されている内容だけを信じるのではなく、過去に利用した経験のある方の意見なども参考にしながら、自分の志向や希望にマッチした転職エージェントを選んで登録をするようにしてください。
カウンセリング
今までのご経歴や今後のご希望条件を把握させていただくために、キャリアアドバイザーとの面談が行われます。お時間がない方のための簡易な電話カウンセリングや、最近ではオンライン面談も多用されていますが、もしも本当にお時間が許す場合は直接対面でのカウンセリングを行うのが最も良いと思います。オンラインでもある程度の精度でカウンセリングをすることはできると思いますが、その方がお持ちの空気感なども実は重要なマッチング要素になりますので、より精度の高いマッチングをご希望の場合は対面で相談をするのが良いでしょう。カウンセリングの所要時間は、電話だと30分程度、オンラインだと30分~1時間程度、対面だと案件紹介も含めて1時間~1時間半程度のイメージです。
求人紹介
前述の通り、対面カウンセリングだと、その直後に対面で詳細説明を受けながら案件紹介を受けられることが多いです。電話やオンライン面談の場合は、その内容に基づいてマッチすると思われる案件がメール等で紹介されます。マイページがあるエージェントの場合はマイページを通じて案件紹介が行われます。キャリアアドバイザーによっては、検索条件にヒットした方に対して案件を一斉送信するケースも多く、本当に自分にマッチした案件が紹介されてくるか微妙な場合があります。一方で、懇切丁寧にマッチメイクをしたと思われる求人紹介をしてくれるキャリアアドバイザーもありますが、大量のメールや案件の中に埋もれてしまう場合があります。面倒かも知れませんが、紹介された案件についてはサッとでも良いので目を通すようにした方が良い案件を見逃さずに済むのではないかと思います。また、辞退の場合でもちゃんとキャリアアドバイザーに返信するようにするとキャリアアドバイザー側としては安心して、今後も積極的に案件紹介をしてくれるようになると思います。反対に、案件紹介があってもスルーをし続けると次第に、案件紹介が来なくなるので注意してください。
書類選考
紹介された求人の中で、応募したいものがあったらキャリアアドバイザーの方に正式に応募希望の旨を連絡します。そうすると、キャリアアドバイザーに預けている履歴書・職務経歴書といった応募書類をキャリアアドバイザーから応募企業の方に提出してくれます。その際、キャリアアドバイザーはまずは面接をしていただけるように企業側に積極的に交渉をします。書類選考の通過率を少しでも上げるために入念に応募書類の添削をしてくれるキャリアアドバイザーもありますし、取り敢えず投げておこうという感じであまり応募書類のチェックをしてくれないキャリアアドバイザーもあります。また、応募企業とのパイプの強さによって、書類選考の通過率は大きく異なりますので、そのキャリアアドバイザーと応募企業がどの程度の強さでリレーション構築をしているのか、過去の紹介実績はどの程度かについても確認をしておくと良いでしょう。書類選考の所要時間は早ければ即日~数日、遅いと1週間~2週間程かかる場合もあります。但し、2週間以上の時間を要する場合は他に有力な候補者がいるなど、あまりポジティヴな状況ではない場合が多くなります。
面接
書類選考に通過したら、いよいよ応募企業との面接になります。キャリアアドバイザーの方から面接依頼が来た旨と、面接調整可能日程の確認が入りますので、少し幅広く日程を提示するようにするとスムーズな調整に繋がります。面接日程が決定すると、当日の面接場所、持参物、面接部署や面接官の情報等と合わせて連絡が入ります。面接前に入念な対策をしてくれるキャリアアドバイザーもあれば、特に何もフォローがないキャリアアドバイザーもありますし、面接に同席をしてくれるキャリアアドバイザーなどもあります。ご自身のお考えや希望もあると思いますので、キャリアアドバイザーの方にしっかりと確認をしておくと良いと思います。面接は基本的には対面で行われることが多いものですが、最近は一次面接はオンラインで行われるケースも多くなっています。また、役職者との面接や最終面接の時などは面接後に会食が行われるケースもあります。採用企業側が何としても応募者を採用したいと考えている場合などは、会食やランチなどを通じて既存社員とのコミュニケーションを増やそうとする傾向が強くなります。
内定
最終選考を終え、企業側が採用したいという流れになると内定が出ます。しかし、ここでは十分な注意が必要です。「採用することは決まったが、ここから年収条件が決まるところだ」、「もし内定を受諾してくれるならば正式に内定を出す」など、まだ正式な内定とは言えない状況でキャリアアドバイザーから連絡が来るケースも多いのです。前者は「内定は出ることが決まったが、まだ希望年収が出るか分からない」という状況で、後者は「内定受諾の意思を示さないと内定を正式に出してくれない状態で、他社の条件と比較検討ができない」といったような状況となります。他にも、内定通知書がポンっと送られてきて1週間以内に受諾か否かを迫られるというようなパターンもあります。キャリアアドバイザーが採用企業側と十分な交渉を行っている場合もありますし、企業の言いなりになっているケースもあります。ここはキャリアアドバイザーの交渉力、企業とのリレーションの強さなど、総合的な力量が一番試される場面となりますので、この場面におけるキャリアアドバイザーの対応力でそのキャリアアドバイザーのレベルが一目瞭然となると言っても過言ではないと思います。また、内定が出た瞬間になんとしても受諾をさせるような圧力を露骨にかけてくるキャリアアドバイザーもありますので、その内定を受諾することが自分にとって本当に良いのか否かを十分に検討をされることをお薦めいたします。
内定承諾
十分な検討を行った上で、内定を受けることにしたら、その旨をキャリアアドバイザーに連絡します。そして、採用企業側にもその旨が伝わったことを確認できたら、ひとまずは転職活動の大きな山場を越えたことになります。内定を受諾した案件があるということは、反対に内定をお断りする案件があるという場面も想定されますが、その場合、丁寧に誠意を持って内定をお断りするようにしてください。内定を断っても、もう一度、面談をさせて欲しいと食い下がってくるキャリアアドバイザーもありますが、その気がないのであれば安易にそのような場面を設けても全くメリットがありませんので、きっぱりとお断りをするのが良いと思います。
退職交渉
転職活動の2つ目の山場が退職交渉になります。まずは直属の上司に退職したい旨を伝えます。退職の相談をした時に親身に応じてくれる上司もいるでしょうし、激怒したり、態度が豹変して熱心に慰留をしてくる上司などもいると思います。上司としては、部下が退職することにより自分の担当業務に負担が増えると判断したり、マネジメント能力が低いというレッテルを貼られることを嫌がるために、部下の退職を拒もうとするケースが少なくありません。待遇UPや希望部署への異動を交換条件に慰留をされるようなケースもありますが、残留して良い方向に転じるケースは非常に少ないので、強い気持ちで退職交渉を続けることが大切です。また、口頭での交渉だと話が進まない場合は、書面で退職届をしっかりと作成して写しも取っておくことを推奨いたします。但し、可能な限り円満退職ができるように最大の努力をするようにしてください。退職交渉は基本的には自分自身で行うものですが、どうしてもうまく話が進まない場合などはキャリアアドバイザーに相談してみるのも良いと思います。
入社準備
退職交渉を終えたら入社までの準備となります。有給休暇が残っている方は、またとないリフレッシュ期間になると思いますので、思い切り羽を伸ばすのも良いですし、次の職場に向けて勉強をしたり読書の時間にあてるなどされる方も多いと思います。入社時に提出しなければならない書類なども色々とありますので、しっかりと漏れのないように準備をしておきましょう。この間、キャリアアドバイザーが間に入ることはあまりありませんが、入社が決定した企業の人事ではなくキャリアアドバイザー経由で連絡が入る場合もありますので、念頭に置いておくと良いでしょう。
入社日とその後
入社手続き、既存社員の方々への挨拶、オフィスの使い方のオリエンテーションなどで、あっという間に初日は終わってしまうことと思います。入社当日にはキャリアアドバイザーから会社に出勤確認の連絡があったり、入社初日の感想などを確認するためのフォローが入る可能性があります。初日はとにかく気疲れすると思いますので、まずは1週間、2週間、1ヵ月と様子を見ながら、徐々に新しい職場に馴染んでいっていただければと思います。入社をしてからは基本的には過度なフォローをすることはありません。しかし、入社前に聞いていた情報と全く異なっている、何か様子がおかしいなど、違和感を感じるようなことがあれば、そこは遠慮せずにキャリアアドバイザーに問い合わせをいれた方が良いでしょう。