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経理担当者が年収アップする方法は?年代別の年収相場や年収アップに必要な経験やスキルアップ方法なども解説

公開日:2025.10.21

最終更新日:2025.10.21

経理担当者が年収アップする方法は?年代別の年収相場や年収アップに必要な経験やスキルアップ方法なども解説

「毎年同じ業務の繰り返しでスキルアップができていない気がする」
「今の自分にとってベストな年収アップの方法を知りたい…」


など、キャリアの悩みを抱えている経理担当者は多いのではないでしょうか。

年収アップを実現する方法は、スキルアップや資格取得、転職などさまざまです。一方、最適なアプローチはその人のスキルセットや業務経験などによって異なります

そこで本記事では、年代別の年収相場や年収アップの方法について解説します。





記事の監修者

CPAエクセレントパートナーズ 松岡宏紀

松岡 宏紀

2007年、公認会計士試験に合格。EY新日本有限責任監査法人にて、監査・アドバイザリー業務に加え、社内外での研修講師や研修プログラムの作成・管理などに従事。現在、CPAエクセレントパートナーズ株式会社において、コンテンツの作成、監修を担当。





【年代別】経理の年収相場と業務内容

まずは、20代から50代まで、経理の年代別年収相場と業務内容を見ていきましょう。

実際は、企業規模や担当する業務内容などによって年収が変わるため、目安としてください。

20〜50代の経理の年収相場と業務内容

(CPASSキャリア編集部 作成)


【20代前半】アシスタント/スタッフクラス|300〜350万円

20代前半のアシスタント/スタッフクラスの年収相場は300〜350万円です。

この年収で求められるスキルは、仕訳入力・伝票処理や、月次決算関連業務などが一般的です。

  • 仕訳入力や伝票処理
  • 売掛金・買掛金の管理と入出金の処理
  • 経費精算・旅費交通費の処理
  • 月次決算支援(残高確認や試算表の作成補助)


アシスタント・メンバークラスはこのように、経理の基本的業務を担う点が特徴です。

企業規模によって多少変動しますが、日次・月次の処理を中心に対応し、企業の会計処理の全体像を理解し、経理の基礎的なスキルを身に付けていきます。

アシスタントやスタッフとして実務経験を3〜5年ほど積むと、主任・リーダーという次のステージへのステップアップが見えてきます


【20代後半】主任/リーダークラス|350〜550万円

20代後半の主任/リーダークラスの年収相場は350〜550万円です。

この年収で求められるスキルは、月次決算業務や、年次決算の補助などが一般的です。

  • 月次・四半期・年次決算関連業務
  • 仕訳・伝票処理・入出金の確認
  • 予算管理・予算作成支援
  • 税務申告書作成支援
  • チームメンバーのマネジメント


主任・リーダークラスはこのように、実務とマネジメントの両面を担う点が特徴といえます。また企業規模によって、業務内容も変動します。

例えば、中小企業の経理部門では先述した業務に加え、給与計算や社会保険関連の手続きも担当したり、スタートアップ企業の経理部門では投資家向けの四半期報告の資料作成をしたりと、その業務範囲は会社によって異なります。


【30代】マネージャークラス|550〜800万円

30代のマネージャークラスの年収相場は550〜800万円です。求められるスキルは、年次決算を一人で締められる程度が一般的です。

主な業務内容は以下の通りです。

  • 月次・四半期・年次決算の統括
  • 経理チームのマネジメントと業務最適化
  • 財務諸表作成の統括や(上場企業の場合)開示資料作成管理


マネージャークラスは現場の責任者として、決算の統括やマネジメントなど多様かつ高度な業務を担います。

また上場企業などの一部企業においては、監査法人・税務当局対応や各種コンプライアンス確保といった業務を担う場合があります。

業界や企業規模によって、業務内容やメインで担当する業務に違いが生じます。例えば、上場企業の経理マネージャーは「有価証券報告書」や「決算短信」などの開示資料作成を担います

これは上場企業特有の業務で、まさに上場企業のマネージャーだからこそ経験できるものです。


【40~50代】部長クラス|800〜2,000万円

40〜50代は特に勤務先の規模や上場・非上場によって、年収に大きく差が生まれます

例えば非上場企業の部長クラスの場合、想定年収は800〜1,000万円、上場企業の部長クラスの想定年収は1,500〜2,000万円です。

部長クラスの主な業務内容は次の通りです。

  • 経理財務部門の統括や経営戦略への参画
  • 経営陣への財務分析と意思決定支援
  • 税務当局・監査法人との折衝および関係構築
  • 財務・会計制度の導入・改善プロジェクトのリード


部長クラスになると、経営の意思決定にまで深くコミットするようになります。

例えば、スタートアップ企業の経理部長であれば、資金調達に繋がる投資家とのコミュニケーションや経営陣との財務戦略の議論など会社の成長を財務面から支える多くの業務をこなします。



経理担当者が年収をアップさせる方法

経理担当者が年収アップする4つの方法

(CPASSキャリア編集部 作成)

経理担当者はどうすれば年収をアップさせられるのでしょうか。主に以下の4つの方法があります。



経理の業務経験を積む

経理担当者は、処理できる業務の種類が増えたり、業務が高度になったりするほど、年収が上がりやすくなります。では、どのような業務経験が年収アップにつながりやすいのでしょうか

以下、大きく3つの業務経験がポイントになります。



年次決算・月次決算

経理の転職市場で最も重視される業務経験が、月次決算業務および年次決算業務です。主に以下のような業務内容が挙げられます。

  • 仕訳・帳簿の整理
  • 決算整理仕訳
  • 財務諸表の作成(月次決算は月次損益計算書の作成)
  • 税務申告関連業務
  • 社内外への報告(経営陣への報告資料作成や金融機関や投資家への提出書類の準備など)


これらの決算業務経験が重視される理由は、業務遂行のために日々のお金の流れを俯瞰的に把握することが必須であり、財務管理に精通している必要があるからです。

月次・年次決算の業務経験は、社内の昇進や高年収の転職を実現するための武器になり得ます。


連結決算や有価証券報告書・決算短信等の開示資料作成

複雑な処理が必要な連結決算業務を経験していると、年収水準の高い上場企業で評価される可能性があります。

なお先述した通り、有価証券報告書や決算短信等の開示資料作成は上場企業ならではの業務で、この経験を有していることは上場企業への転職に有利に働くことがあります。

このほか、J-SOX(内部統制報告制度)も上場企業に義務付けられた仕組みで、この対応経験も上場企業に対して自身の市場価値の高さをアピールできる業務経験の一つです。


税務業務(税金計算、申告書作成)

企業が支払う各種税金の計算や納税作業、申告書の作成などの税務業務に関する経験も、年収アップに寄与する可能性があります。

特に、人手が不足しがちな中小企業で評価される傾向にあり、転職時には応募企業から即戦力として高年収を掲示されることもあります。


ビジネススキルが積める業務を担う

経理担当者の転職市場において、特に評価されるビジネススキルを養える業務を担うことも、年収アップのポイントです。では具体的に、どのようなスキルが経理の転職市場で評価されるのでしょうか。

主に、以下の4つのビジネススキルが重視される傾向にあります。



コミュニケーションスキル|他部門との円滑な折衝能力

経理部門では、他部門と日常的に様々な場面でコミュニケーションをとります。

例えば、事業部門と新サービスの売上や費用の計上タイミングについて話し合ったり、未承認や予算を超える経費の申請や不正が懸念される場合には、該当部門へ断固とした対応をとらなければなりません。

相手の立場や考え方を理解し、円滑に折衝を行うコミュニケーションスキルは、重要な評価対象となります。


ITスキル|経理関連ツールやシステムを理解し使いこなす

昨今は多くの経理部門で会計ソフトやERP、RPAツールなどを導入しています。これらのツールを効果的に使いこなすことが、日々の業務効率を大きく左右します。

つまり、経理担当者にとって「ITスキル」は欠かせない能力だといえるでしょう。

また、経理部門の業務最適化は常々課題になっているため、スクラッチのシステム開発案件に携わった経験なども年収アップにプラスに働く可能性があります。


マネジメントスキル|チームをまとめ上げるマネジメントスキル

主任クラスからマネージャー、部長クラスまで幅広い役職で求められるのが、マネジメントスキルです。

高年収求人の応募資格として「マネジメント経験」を条件に掲げている求人も少なくありません

マネジメントスキルは当然ながら、マネジメント経験がなければ身につきません。

仮に今の会社ではマネジメント業務を担うまで時間がかかりそうであれば、早期にマネジメント経験を積めるベンチャー・スタートアップ企業などへの転職を視野に入れるのもよいでしょう。


プレゼンスキル|業務状況や決算内容などをわかりやすく説明する能力

管理職やリーダークラスになると、経営陣や他部門へ自社の経営状況や決算内容などについて説明したり、提案や意見を上申したりする機会があります。

その際に重要なのが「専門用語を噛み砕いて説明をする」「表現を工夫して聞き手に納得してもらう」などのプレゼンスキルです。

一方で、多くの企業において、経理担当者がプレゼンスキルを体系的に学ぶ機会は乏しいのが実情です。

そのため、同スキルを高いレベルで持つ人材は企業に高く評価される可能性があります。

独学で身につけるのが難しいスキルなので、例えば、経理部門内で勉強会を実施してみるのもおすすめです。自身のプレゼンスキルを向上させるとともに、経理メンバーの知識の習得にも効果があります。

もし、経験を積む機会に恵まれないのであれば、外部のセミナーなど体系的に学べる場に足を運んでみてもいいでしょう。


経理のスキルアップにつながる資格を取得する

資格取得を通じて経理の関連スキルを高めておくと、スキルセットの強化や経理業務の解像度向上につながり、将来的な年収アップに寄与する可能性があります。

ここでは例として、以下4つの資格をピックアップし解説していきます。



簿記検定

企業の経営活動を記録・計算・整理し、その経営成績や財政状態を明らかにする技能に関する資格が、「簿記検定(日商簿記検定)」です。

簿記検定が経理の転職市場で評価されるのは2級以上だといえます。そのため最低でも2級、可能であれば1級を取得したいところです。

また簿記1級は、特に大企業が評価する傾向にあるため、大企業への転職により年収アップを図れる可能性もあるでしょう。




税理士試験科目合格(簿記論、財務諸表論)

税務全般の知識やスキルを有していると証明できるのが税理士資格です。

この資格を取得するためには、全11科目のうち合計5科目の合格が必要ですが、「科目合格制度」が採用されているため、1度の試験で5科目全てに合格する必要はありません。

税理士試験で一度合格した科目は生涯にわたり有効なため、1科目ずつ受験して合格を積み重ねることで、資格を取得することもできます。

税理士試験の必須科目である「簿記論」および「財務諸表論」は、税務スキルの基礎の習得につながる科目です。

まずはこの2科目だけでも勉強し、合格しておくと、「基礎的な経理・会計のスキルがある」と転職市場でも評価をされやすいでしょう。


ビジネス会計検定試験®

「ビジネス会計検定試験®」とは、大阪商工会議所が主催する、財務諸表に関する知識や分析力を問う試験および検定です。

同資格を取得することで、財務諸表から企業状況を把握するスキルを身に付けることができます

同資格の受験資格に学歴・年齢・性別・国籍の制限はなく、経理・会計系の資格の中では受験ハードルが低い点が特徴です。

年収アップに向けたスキルアップを図る第一歩として取り組みやすい資格です。


FASS検定(経理・財務スキル検定)

「FASS検定(経理・財務スキル検定)」とは、経済産業省が開発した「経理・財務サービス・スキルスタンダード」をベースに、経理・財務分野の客観的な実務知識やスキルを測る検定です。

同検定では合否ではなく、A~Eの5段階で評価されます。同検定の学習を通じて、資産・決算・税務・資金の4分野に関する定型業務の実務スキルを向上させることができます。

簿記検定と比べて認知度は低いものの、実務能力を証明できる資格として有効です。


転職する

「転職」は年収アップに有効な手段です。特に経理担当者はスキルセットで年収が決まることが多い職種です。

経理業務の経験を十分に積んでいて、相応のスキルも身に付けている経理担当者であれば、転職による年収アップを狙うことができるでしょう。

年収アップを目指す転職と一口に言っても、その道のりは多様です。例えば、大手上場企業の経理部スタッフへの転職を目指す場合、以下のようなルートが考えられます。

ルート1 経理アシスタント・一般事務

中小企業の経理部スタッフ

大手上場企業の経理部スタッフ
ルート2 税理士事務所スタッフ

大手上場企業の経理部スタッフ

転職の道のりはさまざまなため、自身の可能性を狭めずに、幅広い選択肢の中から最適なキャリアパスを描くことが大切です。


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まとめ

経理担当者が年収アップを実現するためには、業務経験やビジネススキルを積むこと、スキルアップに繋がる資格取得などが有効です。

また「転職」も効果的な手段であり、特に一定のスキルセットを持つ方はぜひ検討したいところです。

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